相続した実家を売りたくない時の対策は?放置しない4つの方法や注意点も
相続した実家を売りたくないが、適切な対策が見付からず、そのまま棚上げになっている方も多いのではないでしょうか。
想い入れのある実家であっても、何も対策をせずに放置したままにしてしまうと、様々なリスクが顕在化することがあります。大切な資産であるからこそ、適切に管理し、有効に活用していくことが重要と言えるでしょう。
この記事では、相続した実家を売りたくない時、放置しないための対策について説明していきます。
目次
- 相続した実家を売りたくない時、放置しないための対策
1-1.自己居住用にする
1-2.リフォームして賃貸用にする
1-3.ローンが残っている場合リースバックをする
1-4.更地にできる場合は土地活用をする - 相続した実家を維持する際の注意点
2-1.「特定空き家」に指定されると強制執行のおそれがある
2-2.資産価値下落リスクがある
2-3.相続した空き家の売却にかかる税制優遇は3年以内限定である - まとめ
1.相続した実家を売りたくない時、放置しないための対策
想い入れのある実家を相続しても、誰も居住せずにそのままにすると、管理や維持に費用がかかり有効に活用できている状態とはいえないでしょう。かといって放置すると、老朽化してしまうだけでなく、後述するような「特定空き家」に指定されてしまうようなリスクもあります。相続した実家を売却しないのであれば、できる限り利活用したいといえます。
また、売却せずに維持したいが、ローンが残っているために躊躇してしまうケースもあるでしょう。このような時の対策として、次のようなものが考えられます。
- 自己居住用にする
- リフォームして賃貸用にする
- ローンが残っている場合リースバックをする
- 更地にできる場合土地活用をする
以下で詳細をみていきましょう。
1-1.自己居住用にする
相続した実家を売却せずに放置しないためには、居住用にするのが最も手間のかからない方法といえるでしょう。自己居住用にすることで、家賃の支出を節減することができ、なおかつ、実家に住みながら維持管理することもできます。
注意点としては、実家の築年数によっては経年劣化が起きており、快適な居住空間を維持することが難しいケースがあることです。リフォームや改修が必要であるか、またリフォームが必要な場合はどの程度の資金が必要になるのかも併せて確認しておきましょう。
1-2.リフォームして賃貸用にする
相続した実家をリフォームして入居者を募集し、賃貸用とすることで、家賃収入を得ることができ、なおかつ、維持管理をすることもできます。
ただし、入居者が入居できるようにするには、生活必需設備を修繕し、入居者が住みたいと思えるような清潔感のある状態までリフォームする必要があります。さらに、相続した実家の立地する地域に賃貸需要があることも前提になります。
また、入居者の入居後は、民法上、賃貸人として、入居者が、その建物を使用・収益に適する状態にする義務を負うことになります。当然おこなうべき管理や修繕をおこなわず、そのために入居者に事故が発生した場合、損害賠償義務を負うことにもなりかねないので注意しましょう。
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1-3.ローンが残っている場合リースバックをする
相続した実家を維持したいが、ローンが残っているため躊躇しているような場合、リースバックという方法もあります。
リースバックとは、住宅を不動産業者に売却して現金を得た後、売却後はその不動産業者に毎月家賃を支払うことで、その住宅に引き継続き住むことができるというサービスです。一括して資金を受け取ることができるだけでなく、契約条件によっては、住宅の維持管理に伴う費用を支払う必要がなくなります。
ただし、実家を売却することになるため、自由に設備を改変できなくなったり、契約によっては住むことができる期間が限られていたりするなどの制限があります。また賃料も相場よりやや高めに設定されるケースが多いという点にも注意しましょう。
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1-4.更地にできる場合は土地活用をする
相続した実家が戸建ての場合、更地にすることができるため、更地として土地活用ができることがあります。その立地や土地の広さ・形状によっては、アパート経営や事業用建物経営、駐車場経営など、様々な土地活用の方法があり得ます。
土地活用は、その土地に適した収益化ができるため、高利回りで運用したい場合に検討するとよいでしょう。
しかし、リフォームして貸し出す場合と比較すると、初期投資の費用も高額になるだけでなく、事業性が高くなり収益化の難易度は上がるため、市場性の調査をおこない、慎重に検討するようにしましょう。
土地活用を検討する際は一つの活用方法だけにこだわらないことも大切です。どのような土地活用でも投資金や維持費が回収できないリスクがあり、このようなリスクは土地の特徴によって大きく差が出てくるためです。
まずは土地の調査を行い、どのような活用方法が検討できるのか、また将来の収益性や初期費用に必要な資金など、多角的な視点から検証されていくと良いでしょう。
HOME4U(土地活用)
複数の活用方法を比較する際は、「HOME4U」の利用を検討してみましょう。HOME4Uではマンション経営やアパート経営、駐車場経営、賃貸併用住宅、大規模施設など土地の活用方法を選択することで、最大7社からの収益最大化プランを比較することが可能です。
また、土地の利用規制についてもHOME4Uを通して無料で診断できるため、土地調査の手間を省くことが出来ます。「どのような活用手段があるのか知りたい」「複数の活用手段を比較したい」という場合には、利用を検討してみると良いでしょう。
2.相続した実家を維持する際の注意点
相続した実家を売却せずに維持する際は、以下の点に注意しましょう。
- 「特定空き家」に指定されると強制執行のおそれがある
- 資産価値下落リスクがある
- 相続した空き家の売却にかかる税制優遇は3年以内限定である
以下で詳細をみていきましょう。
2-1.「特定空き家」に指定されると強制執行のおそれがある
相続した実家が、空き家になって、適切な管理をされていないと「特定空き家」に指定され、強制執行のおそれがあります。
空家対策の推進に関する特別措置法(以下、空家法) に基づき、適切な管理が行われていない空き家等に対して、市区町村が「特定空き家」に指定し、その所有者に対して様々な措置をおこなうことが可能になっています。
具体的には、保安上危険な状況にあったり、著しく衛生上有害となるおそれがあったり、著しく景観を損なっていたりする場合が、「特定空き家」の条件に該当します。
市区町村は、「特定空き家」の所有者に対して、「助言・指導」「勧告」「命令」をおこなうことができ、一定要件を満たせば、行政代執行の方法により解体などの強制執行も可能となっています。
このように、相続した実家を適切に管理していなかった場合、その所在地の市区町村によって「特定空き家」に指定され、各種措置を受けるリスクがあるといえるでしょう。
2-2.資産価値下落リスクがある
相続した実家を売却せずに維持する場合、その資産価値が下落するリスクがあります。
マンションの場合は建物価値が占める割合が大きく、全体の価値が半分以下に下落する可能性もあります。また、一戸建ての場合は、建物が全体の価値に占める割合は小さいものの、建物価値は築20年程度でほぼゼロになります。戸建には土地がありますが、土地の価値も人口減少などにより下落してしまうリスクがあります。
不動産は決まった価格が定められておらず、売り手と買い手の相対取引で価格が決まります。その不動産の資産価値が経年劣化や需要減によって下落してしまうリスクが高いのであれば、そのようなリスクを考慮してもなお維持していきたいかどうかを検討していくことが大切です。
このような資産価値下落のリスクを勘案するためには、まずは不動産会社の査定を受けておくと良いでしょう。まだ売るかどうか迷っている段階でも無料で査定をしてくれるため、将来の資産価値の下落を受け入れるかどうかという観点からも便利に利用することができます。
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2-3.相続した空き家の売却にかかる税制優遇は3年以内限定である
相続した実家が一定の要件に該当する場合、その実家を売ることで利益が生じたとしても、譲渡所得税の課税所得から3,000万円の控除を受けることができる税制優遇措置があります。
実家がこのような空き家の譲渡所得税の特例条件を満たしている場合、売らずに維持する場合、この特例の適用を受けられない という点に留意しておきましょう。
この特例の主な適用条件は、亡くなった人が一人で居住していたこと、昭和56年5月31日以前築の一戸建てであること、亡くなった人の相続人がその土地建物を耐震リフォームかあるいは取り壊して3年以内に売却すること、相続時から売却時まで空き家であること、となっています。
譲渡所得税の税率は、5年超の保有で20.315%、5年以下の保有で39.63%であることから、売却利益が出る場合の税金軽減メリットは大きく、将来、方針変更して売却することにした場合は、その分の税金を負担しなければならなくなります。
※出典:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
まとめ
相続した実家を売らずに放置しないためには、自己居住用や賃貸用として利用するとよいでしょう。売却せずに維持したいが、ローンが残っているため、キャッシュフローの観点から躊躇しているような場合は、リースバックという方法もあります。
相続した実家は、放置して適切な管理をしないと「特定空き家」に指定されてしまうおそれがあるので注意が必要です。また、資産価値下落のリスクや譲渡所得税の優遇措置を受けられなくなるリスクがあることを念頭に置き、後悔のない対策を講じていきましょう。
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