クリアルとSBIホールディングスの資本業務提携、今後の展開は?5つのポイント解説
2023年1月、クリアルとSBIホールディングスが資本業務提携を開始しました。
株式会社クリアルは、不動産クラウドファンディング「CREAL」事業を主軸とした東証グロース上場企業です。2018年11月よりサービスを開始しており、ファンドの累計調達金額は2023年3月時点で260億円を超えています。
今回、クリアルが大規模金融複合企業SBIホールディングスと提携したことによりどのようなシナジー効果があるのか、また投資家にとってはどのようなポイントに期待ができるのでしょうか。
本記事では、クリアルとSBIホールディングスとの資本業務提携を契機とした、今後の事業展開について解説していきます。
目次
- クリアルとSBIホールディングスが資本業務提携
1-1.株式会社クリアルの主要サービス「CREAL」の概要
1-2.SBIホールディングスの主要サービス「SBI証券」の概要 - クリアルとSBIホールディングスの業務提携による今後の事業展開
2-1.クリアルの不動産運用商品の販売チャネルが広がる
2-2.良質な不動産の仕入れ機会が拡大する
2-3.クリアルの運用不動産を安定的に売却できるようになる
2-4.セキュリティ・トークン商品の業務提携の検討
2-5.SBIホールディングス提携金融機関との連携が強化される - まとめ
1.クリアルとSBIホールディングスが資本業務提携
2023年1月31日、クリアル株式会社とSBIホールディングスが、資本業務提携契約を締結したことを発表しました。
資本提携は、第三者割当により55万株を取得したほか、クリアル株式会社の取締役会長の資産管理会社からSBI証券を通じて67万5千株を譲り受けています。この結果、SBIホールディングスの所有議決権割合は21.68%となり、クリアル株式会社はSBIの関係会社となっています。
今回の資本提携からは、不動産金融事業の拡大を図っているSBIホールディングスと、小口投資家向けの不動産投資クラウドファンディング「CREAL」事業を軸に、個人向け不動産投資サービス「CREAL Partners(クリアルパートナーズ)」および、期間投資家や超富裕層向け不動産ファンド事業「GREAL Pro」の成長加速を図っているクリアル株式会社との方向性が合致したことが伺えます。
両社が互いに提携協業することで、様々なシナジー効果が生まれ、事業に新たな展開をもたらすことが予想されます。
※出典:クリアル株式会社との資本業務提携及び第三者割当増資引受けによる同社株式取得(持分法適用関連会社化)に関するお知らせ
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1-1.株式会社クリアルの主要サービス「CREAL」の概要
CREAL(クリアル)は、東証グロース上場企業のクリアル株式会社が運営している不動産投資型クラウドファンディングサービスです。想定利回り3~8%、1口1万円から小口の不動産投資を始めることができるうえ、運用資産評価額の下落が一定割合までであればクリアルが損失を負担する仕組みになっており、少額・短期で始めてみたい初心者の方にも利用しやすいサービスです。
また、CREALでは、不動産投資において重要な判断基準となる、物件の所在地や立地環境、豊富なデータや画像・動画を用いて物件の詳細を開示しています。 豊富な情報の中から投資対象物件を選定し、納得した上で投資判断をすることが可能です。
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1-2.SBIホールディングスの主要サービス「SBI証券」の概要
SBI証券はSBIホールディングス株式会社の100%出資子会社のネット証券会社です。同グループでは証券・銀行・保険・住宅ローンなど様々な金融商品を提供しており、ネット金融業界では大手の企業となります。また、SBI証券はネット証券でもトップクラスの実績を誇っています。
SBI証券の手数料は、スタンダードプランとアクティブプランの2種類があり、どちらも業界屈指の格安手数料で取引をすることができます。また、SBI証券が提供するトレーディングツール「HYPER SBI」は、直観的な操作でスピーディーな取引を行うことができます。新規注文や注文変更など、マウスをドラッグ&ドロップするだけで変更が可能であり、瞬時の判断が必要な取引では使い勝手抜群の注文機能であることも特徴です。
2.クリアルとSBIホールディングスの業務提携による今後の事業展開
両社の業務提携によって、今後どのようなシナジー効果が生まれ、新しい展開が期待できるのでしょうか。公表された業務提携内容によると、次の5つがポイントになります。
- クリアルの不動産投資商品の販売チャネルが広がる
- 良質な不動産の仕入れ機会が拡大する
- クリアルの運用不動産を安定的に売却できるようになる
- セキュリティ・トークン商品の業務提携の検討
- SBIホールディングス提携金融機関との連携が強化される
以下で、それぞれの内容を詳しくみてみましょう。
2-1.クリアルの不動産投資商品の販売チャネルが広がる
両社は、業務提携の内容の一つとして、クリアルの不動産投資商品を、SBI証券やSBIマネープラザの顧客向けに紹介するとしています。具体的には、不動産投資クラウドファンディング商品である「CREAL」や、個人向け不動産投資運用サービス「CREALPartners(クリアルパートナーズ)」のプロモーションをおこなっていきます。
クリアルの不動産投資商品の販売チャネルが拡大し、今までこれらの不動産投資商品を知らなかった人も購入する機会が生まれ、クリアルの不動産投資商品の売上増加が見込まれます。売上増加によって、クリアルの不動産投資商品の種類や規模の拡大につながる可能性もあるでしょう。
2-2.良質な不動産の仕入れ機会が拡大する
両社は、不動産の仕入れにおいて互いのパイプラインを活用し合うことを業務提携内容の一つに掲げています。
不動産アセットマネジメント事業の拡大を目指すSBIホールディングスと、不動産クラウドファンディング事業を軸とした不動産投資サービスを展開しているクリアルとで、良質な不動産を仕入れるという目標が一致しています。
両者が協働することで、良質な不動産の仕入れ機会が拡大し、「CREAL」においてもより安定的な不動産投資サービスの提供が可能になるといえます。
2-3.クリアルの運用不動産を安定的に売却できるようになる
両社は、業務提携内容の一つに不動産の売却時における連携を挙げています。
SBIホールディングスが展開する不動産アセットマネジメント事業では、良質な一定規模の不動産を取得できることが重要であり、その意味で多くの条件を満たす不動産を運用する「CREAL」のサービスは相性が良いと言えます。
一方、クリアル側にとっても、「CREAL」で運用した不動産の売却候補先として大口のSBIホールディングスと連携することでよりスムーズな不動産運用が可能になるため、不動産投資サービスを提供する上で重要な意義を持つといえるでしょう。
2-4.セキュリティ・トークン商品の業務提携の検討
両社は、業務提携内容の一つに、セキュリティ・トークン(ST)と不動産クラウドファンディングのコラボを挙げています。
セキュリティ・トークンとは、有価証券の性質を有したトークンというデジタルデータを用いることで、小口の個人投資家から様々な事業の資金調達を可能にする手法です。
SBIホールディングスは、不動産を裏付け資産として組成するセキュリティ・トークンサービスを提供しており、その性質はCREALの不動産投資商品とも類似しています。このような背景もあり、今回の業務提携を経てクリアルでもセキュリティ・トークン商品を取り扱う予定であるとしています。
今回の提携以外にも、セキュリティ・トークンを活用した不動産クラウドファンディングはすでに様々なサービスが提供されています。流動性が課題となりやすい不動産クラウドファンディングの投資商品において、STOスキームの商品開発は選択肢や投資人口の増加につながり、大いに期待される分野であると言えるでしょう。
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2-5.SBIホールディングス提携金融機関との連携が強化される
業務提携内容の一つに、SBIホールディングス提携金融機関との連携強化が掲げられています。
既に協業している、不動産ファンド事業「GREAL Pro」の株式会社SBI新生銀行からの融資にとどまらず、「CREAL」のファンドにおいてもSBIホールディングスグループの金融機関からの融資や出資を受けて協業を目指すとしています。
このように、SBIホールディングス提携金融機関との連携を深めることにより、クリアルの不動産投資商品もより魅力的なものになる可能性があります。
まとめ
クリアルとSBIホールディングスの資本業務提携がもたらす5つのシナジー効果をみてきました。
資本業務提携によって、クリアルの不動産投資商品が、より良質で安定した投資サービスになり、ますます魅力的なものになることが予想されます。クリアルの不動産投資商品への投資を検討するには良いタイミングであると言えるでしょう。
また、クリアルのような人気の不動産クラウドファンディングでは、募集開始からすぐに満額達成してしまいなかなか投資機会を得られないこともあります。事前に投資家登録をしておき、募集開始のスケジュールや案件情報を随時チェックしておくと良いでしょう。
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