アパート経営を20代で始めるには?アパートローン審査のポイントや注意点も
アパート経営は、毎月の家賃収入によって徐々に純資産を積み上げることができる不動産投資の方法です。アパート経営は長期的な運用を必要とするため、20代など早い段階で投資を開始することができれば、効率の良い資産形成を計画することが可能になります。
一方、アパートを土地・建物あわせて一棟ごと所有するには多額の資金が必要になります。アパートローンの融資審査では勤め先や年収、勤続年数、貯蓄状況などが評価されることになり、これらの観点から30代~40代の方と比較して20代はアパート経営をスタートする難易度はやや高いと言えるでしょう。
そこで今回は、アパート経営を20代で始める方法やアパートローン審査のポイント、注意点について解説します。アパート経営に興味を持っている方、これから不動産投資で資産形成を始めて行きたい方はご参考ください。
目次
- 20代でアパート経営を始めるメリットとデメリット
- 20代でアパート経営を始める方法・手順
2-1.実績のある不動産投資会社(アパートメーカー)を選ぶ
2-2.適切な業務を行う不動産管理会社を選ぶ
2-3.融資を申し込む際は複数の金融機関に申し込む - 20代がアパートローンの審査を受ける際のポイントと注意点
3-1.できるだけ属性を高める
3-2.担保評価が高い物件を選ぶ
3-3.不確定要素が多いため余裕を持った返済計画を立てる - まとめ
1 20代でアパート経営を始めるメリットとデメリット
アパート経営は、所有した物件の部屋を貸し出すことで賃料を得るという流れになります。アパートの運営には、建物管理・賃貸管理など管理業務が発生しますが、これらの大部分を業者に委託することができ、本業に大きな支障をきたさないといった特徴もあります。
このようなアパート経営の特徴を踏まえて、20代でアパート経営を始めるメリットとしては下記のようなことが挙げられます。
20代でアパート経営を始めるメリット
- 管理業務を委託できるので本業が忙しくても経営ができる
- 長期間のローンを組める可能性が高い
- 長期的な運用を行えるため低リスクで始められる
20代はビジネスマンとして多くの経験を積むことができる期間でもあります。運営の手間が少ないアパート経営は本業との両立を行いやすく、自身のキャリアアップと資産形成を並行することが検討できるでしょう。
また、20代は定年までの就労年数が長いため長期間のローンが組みやすい属性です。長期ローンは月々の返済額が抑えられるためキャッシュフローに余裕を持って運営することができます。
一方、デメリットと考えられるのは自己資金の少なさ、社会的な信用が十分に積み上げられていないケースがあることです。
20代でアパート経営を始めるデメリット
- 自己資金が少ないと必要な初期費用が用意できない
- 年収などの属性が低いと融資を断られる可能性がある
20代であれば貯蓄を開始してからの年数も短く、自己資金に余裕がある方は多くありません。またローンを組む際は金融機関で審査を行いますが、物件の事業性のほかに、前述した申込者の年収や勤続年数といった属性も審査されます。
属性が低いケースでは、審査に通らないといった事態も考えられます。この点が20代でアパート経営を始める際のデメリットとなります。
2 20代でアパート経営を始める方法・手順
20代でアパート経営を始める方法・手順について解説していきます。
2-1 実績のある不動産投資会社・アパートメーカーを選ぶ
アパート経営は長期間におよぶ事業です。特に20代でアパート経営を始めるということは、じっくり腰を据えて長期にわたる運用を見据えることが重要になります。そのため、長期間の運用ができるアパートを選ぶ、または安定して運用ができるアパートを供給してくれる不動産投資会社・アパートメーカーを選ぶようにしましょう。
アパート経営に失敗してしまうリスクを避けるためには、競合物件と比較して強みがあることがポイントになります。代表的なのが下記のような特徴です。
- 最寄り駅から徒歩圏内
- 動線にもこだわった使いやすい間取り
- 快適性を意識した室内設備の採用
- 高い耐久性など長期間運用できる構造、など
入居者が退去した後に次の入居者がすぐに決まるような物件は、空室リスクを避けた経営が期待できます。不動産投資会社を選ぶ際には既存物件の入居率と競合物件の稼働状況なども確認しましょう。
既存物件の入居率が高いということは、入居者が確保できる物件を供給している不動産投資会社であることがわかります。また周辺エリアの競合物件の稼働状況と比較することで、そのエリアの中で強みを発揮している物件であるかどうかも判断することができます。
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2-2 適切な業務を行う不動産管理会社を選ぶ
例えばサラリーマンの方の場合、20代は本業が忙しくなり始めた頃で、業務への取り組み姿勢によって社内での評価にも影響が出ます。できるだけ本業に支障が出ないように、アパート経営を行うためにも重要なのが不動産管理会社の選定です。
不動産管理会社を選ぶ際の代表的なポイントは下記になります。
- 管理している戸数が多い
- 管理している物件の入居率が高い
- 物件の近くに仲介店舗がある
- 地域に精通している
- 入居者に対して丁寧な対応を行っている
- 入居率を高めるための差別化を行っている、など
入居者からの相談に対して丁寧な対応をしていない場合、入居づけができてもすぐに退去することもあります。その場合、広告料などオーナーの負担が大きくなるため、適切な管理業務を行っているとは判断できません。
入居者専用の相談窓口を設けているなど、入居者に出来るだけ長く住んでもらえるような業務を行っている管理業者を選ぶようにしましょう。
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2-3 融資を申し込む際は複数の金融機関に申し込む
アパートの購入費用をすべて自己資金でまかなえるという方は多くありません。特に20代の方であれば、ほとんどの方が金融機関から融資を受けることになります。
金融機関の融資審査でポイントとなるのが複数の金融機関に申し込むことです。
金融機関というと銀行というイメージがありますが、信用金庫や信用組合などの金融機関でもアパートローンを取り扱っているケースがあります。それぞれの金融機関では融資審査の基準やアパートに対する融資姿勢も異なります。つまり、複数の金融機関に申し込むことで、属性が乏しい方でも融資を受けられる可能性が高まります。
下記はそれぞれの金融機関の特徴です。
区分 | 信用金庫 | 信用組合 | 銀行 |
---|---|---|---|
根拠法 | 信用金庫法 | 中小企業等協同組合法協同組合による金融事業に関する法律(協金法) | 銀行法 |
設立目的 | 国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資する | 組合員の相互扶助を目的とし、組合員の経済的地位の向上を図る | 国民経済の健全な発展に資する |
組織 | 会員の出資による協同組織の非営利法人 | 組合員の出資による協同組織の非営利法人 | 株式会社組織の営利法人 |
業務範囲(預金・貸出金) | 預金は制限なし。 融資は原則として会員を対象とするが、制限つきで会員外貸出もできる(卒業生金融あり) |
預金は原則として組合員を対象とするが、総預金額の20%まで員外預金が認められる。 融資は原則として組合員を対象とするが、制限つきで組合員でないものに貸出ができる(卒業生金融なし) |
制限なし |
(引用:一般社団法人全国信用金庫協会「信用金庫と銀行・信用組合との違い」)
また不動産投資会社や仲介会社では、金融機関と提携しているケースがあります。金融機関との間に信頼関係が築かれている不動産会社であれば、物件の担保評価によって審査に通りやすくなることもあるため、提携金融機関の多い不動産会社を通して申し込むのも良いでしょう。
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3 20代がアパートローンの審査を受ける際のポイントと注意点
20代の方は、社会的地位が確立されていないと見られることが多いため、金融機関から融資を受けるためにはポイントを押さえる必要があります。詳しく解説していきます。
3-1 アパートローン審査の属性を高める
金融機関によって審査基準は異なりますが、申込者の属性とは主に下記の項目を指します。
- 年収
- 年齢
- 勤務先
- 勤務年数
- 雇用形態
- 資産の状況
- 借入金の状況、など
属性が高く評価されると融資審査に通りやすくなりますが、20代の場合は勤務年数が長くても10年程度で、30~50代と比較すると年収もまだ十分に上がっていない方も多いでしょう。
このような場合は、まずは対処しやすい項目から改善させていくことが大切です。例えば、貯蓄を増やす、カーローン・クレジットカードの利用などの借入金を減らす、世帯年収を伸ばすなどがポイントになります。
配偶者がいる場合は、アパートを共有名義とすることで世帯年収が加味されて、審査に通りやすくなることも考えられます。また、転職によってキャリアアップを目指し、属性を高めるといった方法もあります。
ただし、転職を行うと同一の勤務先での勤続年数が短くなることで融資審査に悪影響を与える可能性もあります。同一の業界・業種であるケースでは大きなマイナス評価を行わない金融機関もありますが、3年程度の勤続年数を目安に転職の計画を立てておくと良いでしょう。
3-2 担保評価が高い物件を選ぶ
金融機関から融資を受ける場合、申込者の属性に加えて、物件の担保性・事業性も審査対象となります。金融機関が対象の物件に抵当権を設定するため、空室などのリスクが低い物件であれば担保評価が高くなり、融資審査でもプラスに評価されます。
それぞれの金融機関で物件の評価方法は異なりますが、担保評価が高くなる物件の特徴として下記の要素が考えられます。
- 築年数が浅い(残耐用年数が長い)
- 土地価格が高い(路線価)
- 利回りが高い
- 交通アクセスに優れている
- 近隣に競合物件が少ない
- 賃貸需要を見込める好立地にある
- 入居者ニーズに合わせた仕様・設備が施されている
- 地域特性に合わせた間取りになっている
長期的に高い収益が見込めるアパートであれば、融資の返済が滞りにくいと判断されるため、審査に通りやすくなります。自身の属性評価がまだ高くない場合には、「どのような価格帯・スペックの物件であればアパートローンに通るか?」という想定から逆算し、投資可能な物件の比較を行っていくのも方法の一つです。
3-3 不確定要素が多いため余裕を持った返済計画を立てる
アパートローンに関わらず、20代で融資を受けるには注意点があります。主な注意点を下記にまとめました。
- 将来発生するライフイベントが多い
- 返済期間が長いと支払い総額が多くなる
- 別の融資が受けにくくなる、など
若い世代で融資を受ける場合、将来発生するライフイベントが多く、資金計画が大きく変更するケースがあります。例えば、予定よりも早く結婚した、子供の教育費用が膨らんだ、両親が要介護になった、事故に遭って長期間の休養をすることになった、など生活上で大きな資金を必要とするケースなどです。
ローンの返済を長期間にわたって行う必要があるため、このような事態にも対応できるように、余裕を持って返済計画を立てるようにしましょう。ただし、返済期間が長くなると利息の支払いが多くなり、支払い総額が増えることにも注意が必要です。
また、アパートローンを借り入れると他の融資を受けにくくなるという点にも注意しましょう。返済比率によっては、住宅ローンだけではなく、自動車ローン、教育ローンなどの審査に通らなくなることもあります。自分の人生の優先順位と返済計画のバランスを取り、適切に返済することができるスケジュールを考えていきましょう。
まとめ
20代でアパート経営を始める際は、アパートローンの審査がポイントになってきます。出来るだけ自身の属性を高めておき、貯蓄を行う、クレジットカードなどの支払いをスムーズに行う、税金や社会保険料などを適切に支払う、光熱費を滞納しないなど、細かな部分から気をつけるようにしましょう。
また、アパートローンの審査は自身の属性評価だけでなく、物件の担保評価も行われます。担保性・事業性の高いアパートは、属性評価が厳しい方でも融資に通る可能性を高めてくれます。どのような価格帯・スペックのアパートであれば投資が可能なのか、まずは物件ベースで投資判断をしていくこともポイントと言えるでしょう。
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