「2023年はサステナブルボンドの年になる」アクサIMがレポート公表

資産運用大手のアクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社は3月30日、「2023年はグリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドの年に」と題したレポートの日本語版を公表した。ネットゼロへの移行は大規模な投資を必要とするため、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドの「サステナブルボンド」は投資家に新たなチャンスをもたらすとして「これらの債券は改善しつつある経済環境、魅力的なバリュエーション、膨らむ投資家の投資意欲から恩恵を受ける。常に債券を選別し、信頼度の高い発行体の有意義なプロジェクトに投資することが重要」と考察している。

同社は23年にグリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドを楽観視できる3つの理由を特定した。22年の経済状況の中で6060億ドル(約79兆円)の新規発行額を記録したが、これは主としてグリーンボンドによるもので、その発行額はほぼ4000億ドルに上ります。グリーンボンド市場は22年、発行額の面で21年の記録に引けを取らない勢いで推移し、新たに115の発行体が参入した。

不動産、自動車、消費財、通信などセクターの分散が進んだこともあり、3年連続で社債がグリーンボンド発行総額の50%を超えた。他方、ソブリン債の発行も拡大し、オーストリアやカナダといった国が初のグリーンボンドを発行に踏み切った。

理由について、同社は「ネットゼロへの移行にあたって融資ニーズを支援する際のグリーンボンドの信頼性だけでなく、あらゆるセクターが徐々に移行に投資しつつあることも反映しており、将来はセクターの分散と共に地域の分散も拡大すると考えられる」と予想。特に、米国のインフレ抑制法を背景として米国での社債発行額が増える一方、新興国への著しい投資なしでは世界的な移行が達成できないことから、新興国での発行額が上昇を続けると考えている。

市場環境は短期的には依然として不透明で、中央銀行は総合インフレ率およびコアインフレ率の双方を下げる目的で引き締めサイクルを続行しており、債券供給の見通しは1~3月期にかけて重苦しい状態だ。しかし、同社は「長期の展望は債券市場にとってますます魅力を増しているとみられ、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドのユニバースは、その信用リスクと金利感応度ゆえに恩恵を受ける。

サステナブルボンドが従来型債券に比べて22年にパフォーマンス不振であった理由のうちいくつかが、23年には逆転する」と予測。さらに「ユニバースの利回りは現在、従来型債券に比べて魅力的な上昇を示しており、利回り低下やクレジットスプレッドの縮小から恩恵を受けるのに好位置にある」と有望視している。

今後について「サステナブル戦略はここ数年間、膨らむ投資家の投資意欲から恩恵を受けてきた。グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドは、融資対象プロジェクトの透明性および測定可能性を組み合わせた、非常に適切なツールを提供する。これはアセットクラスにとって特に有益であり、新たな投資家と新たな発行体の双方を惹きつける可能性がある」と説明する。

ネットゼロへの移行は、今後何年にもわたって大規模な投資を必要とすると予想され、2050年のネットゼロ目標達成にはエネルギーおよび土地利用のための物的資産に対してさらに年間3.5兆ドルの資本支出が必要なことが判明している。EUのRePowerEU(EUにおけるエネルギー移行を加速する計画)や米国のインフレ抑制法(気候変動関連投資を促進)などのイニシアチブがこれらの投資を後押しし、アセットクラスにも有益となるというシナリオだ。

同社は23年には社会面への注目が高まり、ソーシャルボンド発行が加速する可能性があると主張。「市場展望がポジティブだとしても、投資家はサステナブルボンド投資において慎重な姿勢を保つべき。重要なのは、アセットマネージャーが堅牢な分析を通して、信頼度の高い発行体の有意義なプロジェクトに投資する能力、アセットマネージャーの能力がカギとなる」と指摘している。

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