不動産投資ローンの金消契約の内容は?確認ポイントや解約できる条件も解説

不動産投資では、不動産投資ローンを活用することで手元の資金以上の資産を運用できるメリットがあり、多くの投資家が利用しています。しかし、金利や借入条件については調べている方でも、金融機関と締結する契約の内容についてはあまり把握できていないという人もいるのではないでしょうか。

この記事では、ローンの利用に際して金融機関と締結する契約の内容とともに、提示されることの多い解約の条件についても解説します。

目次

  1. 不動産投資ローンの「金消契約」とは
  2. 不動産投資ローンの金消契約で確認したい7つのポイント
    2-1.契約者と連帯保証人に関する情報
    2-2.借入額や返済期間に関する事項
    2-3.金利のタイプ・支払金利・返済月額
    2-4.諸経費に関する事項
    2-5.滞納が起きた場合の措置と遅延損害金について
    2-6.担保財産に関する事項
    2-7.貸主に対する報告義務
  3. 不動産投資ローンの金消契約を解約できる条件
    3-1.融資実行後(物件の購入後)は一括返済が基本
    3-2.融資実行前(物件の購入前)の時点で解約する場合
  4. まとめ

1.不動産投資ローンの「金消契約」とは

不動産投資における金消契約とは言い換えるとローン契約のことです。正確な名称は「金銭消費貸借契約(きんせんしょうひたいしゃくけいやく)」と言い、内容は民法の規定に基づいています。

借主は貸主から金銭を受け取る代わりに、同額の金銭を返済しつつ契約に基づく金利を支払うというものです。金消契約には必ず利息支払いが規定されるわけではありません。しかし、金融機関と締結する金消契約では、大半の場合は利息に関する規定が設けられています。

金消契約を締結する際には、借主と貸主との間で契約書を取り交わすため、契約書にサインする前には内容を確認することが必要です。なお、契約書は2通作成し借主・貸主ともに1通ずつ保管します。また、契約書には収入印紙の貼付が必要であり、申込者が保管する契約書に貼付する方の印紙代は申込者負担です。

2.不動産投資ローンの金消契約について

不動産投資ローンに関する金消契約で契約書に記載される主な内容について、順を追って解説します。特に確認しておきたいポイントとしては、借入額や金利などの基本的なものに加え、滞納が起きた場合の措置についてなどです。

2-1.契約者と連帯保証人に関する情報

契約書の冒頭に記載されるのは契約者と連帯保証人に関する情報です。記載内容は氏名や住所など基本的なものとなっています。

2-2.借入額や返済期間に関する事項

契約者などに関する情報のほか、基本的な情報として契約日・金融機関から借り入れる金額・返済期間に関する事項などが記載されます。借入額や返済期間に関する情報は、基本的な数字情報ですが申込時のものと相違ないか確認が必要です。

2-3.金利のタイプ・支払金利・返済月額

既に解説した通り、大半の金消契約では支払金利に関する事項が規定されています。不動産投資ローンでは金利のタイプが複数あり、これも申込内容と相違ないか確認が必要です。主な金利のタイプは以下の3つです。

  • 全期間固定型の固定金利
  • 固定期間選択型の変動金利
  • 変動金利

固定期間選択型の変動金利とは、3年や5年など最初に決めた周期で変動する金利のことです。普通の変動金利では4月と10月の半年ごとに金利の見直しが入ります。

固定金利の場合は金利そのもの、固定期間選択型の変動金利及び変動金利の場合は、金利の見直し周期と最初の金利などが記載されます。なお、変動金利の場合は元利均等返済または元金均等返済の2通りがあり、元金返済のペースが違うためこれも申込内容と相違ないか確認が必要です。

返済月額については、全期間固定型の固定金利で契約する場合は毎月一定となります。しかし、変動金利の場合は、元利均等返済であれば毎月一定ですが元金均等返済の場合は返済の進捗に合わせて少しずつ減っていきます。なお、返済月額は返済予定表という別表で示される場合もあるため、併せて確認すると良いでしょう。

2-4.諸経費に関する事項

ローン契約を締結する際には契約手数料(申込手数料)がかかることもあります。金額は借入額に対する割合で定められるため、割合と金額について確認が必要です。

2-5.滞納が起きた場合の措置と遅延損害金について

返済を滞納してしまった場合について、滞納期間に応じた貸主側の措置内容が記載されます。金融機関によって措置内容が違うことはほとんどありませんが、ローン契約自体が初めての場合などは一読しておく方が良いでしょう。

また、滞納が起きた場合は遅延損害金を課されることがあり、遅延損害金の割合についても契約書に記載されます。

2-6.担保財産に関する事項

ローン返済を滞納して返済できる見込みがない場合は、貸主は最終的に担保財産を競売にかけることで債権回収を図ります。不動産投資ローンの場合は、購入する物件そのものを担保不動産とすることが大半です。

しかし、購入物件とは別に抵当権のついていない不動産を所有している場合は、その不動産を担保に入れることもできます。別の不動産を担保に入れる場合はその物件の情報が記載されるため、情報に間違いがないか、確認が必要です。

2-7.貸主に対する報告義務

例えば勤務先など貸主がローン審査で確認する情報に変更があった場合などは、貸主に対して報告する義務を負うなどの内容が記載されます。報告対象となるのは何の情報なのか事前に確認しておくと良いでしょう。

3.不動産投資ローンの金消契約を解約できる条件

金消契約の内容について解説してきましたが、上記に加えてもう1点重要な記載事項は解約に関する内容です。

3-1.融資実行後(物件の購入後)は一括返済が基本

既に解説した通り金消契約は民法の規定に基づいて締結されます。2023年時点の民法では、貸主が借主に金銭を交付せずとも、貸し付けと返還に関する書面を交付すると契約が成立することになるため要注意です。

前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。(民法587条の2第1項)

なお、返済が始まった後に金消契約を解約する場合は、基本的に残高を一括返済しない限り解約できません。運用物件の売却を検討するのであれば、売却額でローンの残債を返済しきれるかどうか、事前の確認が必要です。

なお、空室の長期化によって返済の目途が立たなくなった場合などは、早めに金融機関へ相談するのが望ましいでしょう。物件を売却しても残債を返済しきれない場合は、任意売却の仕組みを活用することで返済の負担を軽くすることができます。

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3-2.融資実行前(物件の購入前)の時点で解約する場合

不動産投資でローンを利用する場合は、通常物件購入の決済日に借入金を受け取ります。借入金の受け取り日は「ローン実行日」とも呼ばれ、ローン実行日を過ぎると一括返済しない限りローン契約を解約することはできません。

一方で、ローン実行の前であれば金消契約の解約は可能です。ただし、契約内容に応じて手数料の支払いなどが発生する可能性もあるため、あらかじめ契約内容を確認しておく必要があります。

なお、物件購入前にローン契約を解約する場合は、物件購入そのものをやめるかローンを利用せず全額自己資金で賄うかのどちらかになるでしょう。

売買契約を締結した後に物件購入を諦める場合は、物件の売主に対して支払った手付金を放棄することになるケースが大半です。不動産売買契約書の解約については、金消契約とは異なる条件が設定されているため、別途確認を行いましょう。

まとめ

金消契約の契約書は普段あまり見慣れるものではないため読みにくいと感じる人も多いでしょう。本記事でご紹介した重要事項の中でも、以下のポイントについては契約前に必ず確認しておきたいところです。

  • 借入額や金利など数字で記載される事項
  • 滞納時の対応に関する事項
  • 解約に関する事項と手数料など

契約内容について疑問点がある場合は、必ず契約前に担当者へ確認しましょう。そのほか、返済予定表などの添付書類も契約書と併せて保管しておくと良いでしょう。

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