Web3ソーシャルメディアネットワークとNFTによってもたらされるSNSの変化
今回は、Web3.0とDAOをテーマに事業を行うFracton Ventures株式会社の中村翔太 氏から寄稿いただいたコラムをご紹介します。
目次
- ソーシャルメディアプロトコル3選
1-1. ①Lens Protocol
1-2. ②DeSo
1-3. ③Farcaster - 最後に
ここ数年のパブリックブロックチェーンの普及に伴い、既存のソーシャルメディアネットワークが抱える問題に注目が集まっています。例えば、データの所在がプラットフォーム運営者が所有する独自の集中型データベースに保管されているため、携帯性に制限がある点やネットワーク障害によってサービスへのアクセスが困難になる点などが挙げられます。
こうした社会の流れの中で、ブロックチェーンベースのソーシャルメディアでは、これらの問題を解決しようとNFTを活用したプロジェクトが現れています。本記事では、NFTを活用したソーシャルメディアプロジェクトの事例やどのような解決しているのかについて紹介していきます。
ソーシャルメディアプロトコル3選
①Lens Protocol
Lens Protocolは、大手DeFiプロトコルで知られるAAVEのFounderでCEOであるStani Kulechov氏がPolygonネットワーク上で構築した分散型ソーシャルメディアプロトコルです。Lensは、ブロックチェーン上の分散型ソーシャルグラフとして機能しており、ユーザーは自分のソーシャルアイデンティティをNFTとして保有することを可能としています。特徴としては、ユーザーがLensのプロフィールを作成すると、Ethereumのウォレットと紐づいたNFTとしてミントされます。そして主な機能として「Post・Collect・Mirror・Forrow・Comment」の5種が可能となっており、それぞれのイベントごとにNFTが連動します。
例えば、Lens Protocolに基づいて構築されたFacebookのようなアプリであるLensterでは、誰かをフォローすると、ブロックチェーン上でNFTがミントされます。同様に、他人の投稿を共有(Mirroring)などをした際もミントされます。また、これらのNFTはPolygonネットワーク上のスマートコントラクトとして存在しており、たとえLensterや他のアプリケーション上で自身のアカウントがBANされてしまった場合でも、これを参照することで、フォロワーや足跡が消失してしまうことはありません、また、Lensを元に構築されたアプリケーション上では先ほどのNFTを参照することで自身の社会的影響力が損なわれない点などは、既存のSNSと比較した際の優位点と言えるでしょう。
②DeSo
DeSoは、仮想通貨取引所のBasisを設立したことでも知られている米国のエンジニアであるNader Al-Naji氏によって設立された、分散型コミュニティ向けのL1ブロックチェーンで、分散型ソーシャルメディアプラットフォームを提供しています。特徴としては、DeSo上に構築された分散型ソーシャルメディアでは、すべてのユーザーデータがオープンになっています、また、ユーザーは自分の投稿やソーシャルグラフをすべてオンチェーンに直接保存することができ、これによりソーシャルプラットフォームや第三者がユーザーのつながりを不利に利用することは不可能となっています。
例として、エンゲージメントを促進し、コンテンツクリエイターに新しい収益方法を提供することを目的とした分散型のSNSとしてDeSo上で構築されたアプリケーションの1つである「Diamond」では、NFTの作成、共有を行うことができ、コンテンツのデータは DeSoチェーン上に保存されます。また、DiamondをはじめとしたDeSo上のアプリケーションやプラットフォームにはソーシャルトークンが導入されており、ユーザーを呼び込むためのインセンティブとして役立つユニークな資産となっています。DeSoは、既存のSNSと比較した際に、自身のコンテンツの所有権のコントロールや収益化、またコミュニティ形成の面で優れていると言えるでしょう。
③Farcaster
Farcasterは、Coinbaseの元創設者であるDan Romero氏とVarun Srinivasan氏によって設立された分散型ソーシャルネットワークを構築するためのプラットフォームであり、Farcaster構築されたアプリケーションのハブとしても機能しています。特徴としては、すべての投稿、共有、およびお気に入りをオンチェーンに保存し「完全に分散化」を目指すのではなく、ブロックチェーン上では、アイデンティティ(ID)とデータを管理し、チャット、決済、閲覧履歴の追跡など、あらゆるアプリケーションのためのIDレイヤーとして機能させることを目指しています。
Dan氏とVarun氏これを「十分な分散化」と表現しており、データをオンチェーンに保存する最小限のアプローチは、上述したLens Protocolとの差別化点でもあります。また、FarcasterのIDは、Ethereumアドレスと関連づけられ、Ethereum上のスマートコントラクトに保存されます、また上記の十分な分散化の通り、アプリケーション上でユーザーが発信するメッセージなどはFarcaster Huと呼ばれるp2pのデータ可用性レイヤーのような仕組みに保存されます。Lens Protocolエコシステム上のアプリケーションとして知られている「Yup」との統合もしており、Yupを利用する上で生成されるNFTはEthereumネットワークもしくはPolygonネットワーク上に保存されます。
Farcasterは、既存のSNSの直接的な代替手段ではないですが、ソーシャルグラフの制御を分散化し、アプリケーションが相互に関係を形成し、企業が所有する集中型サーバーを経由することなく、ユーザーに関する情報を共有できるようにするということを目指している点は、Web3ならではのプロトコルと言えるでしょう。
最後に
上記で紹介したプロジェクト以外にも、Web3ソーシャルメディアネットワークのプロジェクトはまだまだ存在しており、その特徴は、ユーザーやクリエイターの所有権の保護や新たな収入の確保からデータの分散や柔軟性、NFTを通じた貢献や所有権の認定、相互運用性やセキュリティに焦点を当てたものなど、様々なものがあります。そのどれもが、今後のオンライン上でのコミュニケーションに影響を与え、様々な変化を引き起こすと予想されます。Web2やWeb3に関係なく、ソーシャルプロトコルの領域は今後の動向に注目しておくことが大切だと思われます。
【参照記事】Lenster
【参照記事】Social Tokens: Promoting Community Benefits & Fair Monetization
【参照記事】Sufficient Decentralization for Social Networks
【参照URL】Farcaster Hu
【参照記事】Yup Integrates Farcaster
【参照記事】Integrations
ディスクレーマー:なお、NFTと呼ばれる属性の内、発行種類や発行形式によって法令上の扱いが異なる場合がございます。詳しくはブロックチェーン・暗号資産分野にお詳しい弁護士などにご確認ください。
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