ディアジオ、メキシコのアガベ(テキーラの主原料)農園でドローン導入。農業の効率化と気候ベネフィットの向上図る
英蒸留酒大手ディアジオ(ティッカーシンボル:DGE)は4月4日、メキシコのアガベ(テキーラの主原料となる植物)農園でドローンを導入し、農業の効率化と気候ベネフィットの向上を図ると発表した(*1)。農業は世界的に人手不足が深刻化する中、ドローンなどのデジタル技術を活用して生産性を高める取り組みが進んでいる。
ディアジオは、テキーラブランドの「Don Julio(ドン・フリオ)」や「Casamigos(カサミゴス)」を製造している。2022年には、メキシコ・ハリスコ州のアガベ農園でドローンを活用した実証実験に成功した。これは、アガベ農家のデジタルスキル、農業の効率化、気候ベネフィットの向上に繋がるものだ。
22年半ばより、アガベ農家はドローンを活用することで、殺虫剤入り液体肥料の散布や水の使用が必要な場所および量を把握できるようになった。ドローンは2機がペアとなり、1機がアガベの生育状況に関するデータを収集し、もう1機は気孔が開く夜に必要な場所へ殺虫剤入り液体肥料を散布する。アガベ農家は、収集したデータを基に、リソース活用についてより効果的な意思決定を行える。
収集したデータからは、水を撒くベストな時間帯も分かる。風が弱く比較的涼しい早朝であれば、水使用を削減し、アガベは水をより吸収する。これにより、水使用を3分の2削減することができる見込みであるほか、トラクターの利用も減らせるため、炭素排出削減にも繋げられる。
アガベ農家にとっては、ドローンを活用して空いた時間に、より多くのアガベを栽培できる。ディアジオは23年1月に発表した半期決算で、テキーラ事業が28%拡大し、世界一のテキーラ製造業者になったことを明らかにした。
ドローンを活用した精密農業は、ディアジオのESG(環境・社会・ガバナンス)アクションプラン「Society 2030: Spirit of Progress」をサポートするものだ。同アクションプランの中で、ディアジオは水ストレス地域(#1)での水使用を30年までに40%削減し、事業展開する全地域で30%削減を目指し、天然資源の保全にコミットする。
農業は世界的に人手不足が深刻化している。そのような中、業界の有力プレーヤーは、ドローンなどのテクノロジーを活用して生産性を高めるスマート農業を推進する。たとえば、農機世界最大手ディア・アンド・カンパニー(DE)は19年11月、独スタートアップのボロコプター(Volocopter)と提携し、ドローンを活用した農作物の状態(水分レベルや害虫の有無など)に関するデータを収集する。23年1月には、センシング技術とロボティクスを活用することで、種子に必要な量の肥料を散布できる「ExaxtShot」と呼ばれる技術を発表した。これにより、肥料の使用料を60%以上削減することができる見込みだ。
(#1)水ストレス地域…一人当たり年間1,700m3以下の水資源の地域。
【参照記事】*1 ディアジオ「Diageo introduces drones to drive farming efficiency and environmental benefits across tequila farming in Mexico」
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