家の解体工事で利用できる補助金は?5つの自治体の取り組み事例を紹介
空き家の解体といった大きな出費が伴う解体工事は、条件を満たすことで自治体が設けている補助金を利用できるケースがあります。
当記事では、家の解体工事で利用できる補助金例や自治体の取り組み例について紹介していきます。
目次
- 解体工事で自治体による補助金が設けられている理由
- 家の解体工事で利用できる補助金の一例
2-1.老朽危険家屋解体撤去補助金
2-2.都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金
2-3.建て替え建設費補助金
2-4.危険廃屋解体撤去補助金
2-5.木造住宅解体工事費補助事業
2-6.ブロック塀等撤去費補助金 - 自治体の取り組み事例
3-1.東京都墨田区:老朽危険家屋除却費等助成制度
3-2.福岡県福岡市:都市景観形成建築物等保全整備補助金
3-3.愛媛県今治市:老朽危険空家除却事業
3-4.岐阜県中津川市:空家解体支援事業補助金
3-5.奈良県生駒市:ブロック塀等撤去工事補助金 - 家の解体工事で補助金を利用する注意点
4-1.補助金を受けるために条件を満たす必要がある
4-2.自治体ごとに制度や詳細が異なる
4-3.審査に一定の時間が必要
4-4.補助金が受け取れるのは基本的に工事終了後 - まとめ
1.解体工事で自治体による補助金が設けられている理由
各自治体で解体工事に補助金が設けられている理由としては、年々増え続けている空き家が放置され続けた結果引き起こす悪影響への対策です。例えば、一定以上放置された空き家は害虫・害獣発生の原因となったり、老朽した物件の倒壊や瓦の落下による近隣住民の事故リスクを抱えています。
結果として自治体の住人へ大きな負担に発展しかねないため、補助金・助成金を設けることにより解体の促進を促しています。ただし、解体工事の補助金は全額ではなく、一部負担となるケースが殆どのため注意が必要です。
2.家の解体工事で利用できる補助金の一例
家の解体工事で設けられている補助金制度は、国ではなく各都道府県の自治体によって設けられている制度です。物件が所在するエリア、または所有者の居住地によって利用できる補助金が異なります。
主に放置された空き家による弊害を防ぐために制度が設けられているため、上手に制度を活用することで解体費用をおさえることもできます。
また自治体ごとによって制度の有無や呼び名・内容が異なるケースもあるため、制度の利用を検討している方は注意しましょう。以下では、自治体ごとに設けられている補助金制度の一例についても紹介していきます。
2-1.老朽危険家屋解体撤去補助金
老朽危険家屋解体撤去補助金は一部の地方自治体が実施する、地震などにより倒壊などの恐れがある危険な家屋を解体撤去するための補助金制度です。対象となる物件は地方自治体ごとで定められた老朽化基準を満たすもので、具体的な基準は地域によって異なります。
補助金の額も地域や条件によって異なり、解体費用の20〜50%程度(上限あり)が目安です。また補助金を受けるためには、危険だと認められるための耐震診断や自治体による認定を受ける必要があります。
※一例:福岡県筑後市「老朽危険家屋等除却促進事業補助金」
2-2.都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金
都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金は、景観を向上させ美しい街並みを実現させるために、長期で放置された老朽危険家屋を解体するための補助金制度です。都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金の条件は解体だけではなく、解体工事後に景観形成基準を満たす必要があります。
解体費用は20〜50%程度(上限あり)が自治体から支給されるケースが多い制度です。
※一例:福岡県福岡市「都市景観形成建築物等保全整備補助金」
2-3.建て替え建設費補助金
建て替え建設費補助金は特定の古家を解体し、定められた基準を満たす住宅を建設する費用を一部自治体が負担してくれる制度です。建て替え建設費補助金は特殊な事例として、解体費用だけではなく建設費用の一部も補助が行われます。
ただし、新たに建設する物件は住宅としての賃貸が含まれるといった大規模工事が前提となる厳しい条件が設けられているケースが多いため注意が必要です。
※一例:大阪府大阪市「建替建設費補助制度(集合住宅への建替え)」
2-4.危険廃屋解体撤去補助金
使用されていない物件の状態が悪化し、周辺住民へ危険を及ぼしていると認められた場合に利用できる自治体の制度が危険廃屋解体撤去補助金です。危険廃屋解体撤去補助金を利用するためには、自治体によっては廃屋判定委員会の認定を受ける必要があります。
経費の約30%(上限あり)程度で設けられているケースが多い制度です。また入来伝統的建造物群保存地区内の物件で、景観に支障をきたしている場合には解体費用の半額を補助される事例もあります。
※一例:薩摩川内市「危険廃屋等解体撤去促進事業補助金」
2-5.木造住宅解体工事費補助事業
数ある解体の補助金制度の中でも、木造住宅に利用用途が限られた制度が木造住宅解体工事費補助事業です。木造住宅解体工事費補助事業は、耐震診断により耐震性が低いと判断された物件が対象となります。
木造住宅解体工事費補助事業は、自治体によって木造住宅の補強工事にも対象となるため利用前に概要をチェックしておくと良いでしょう。
※一例:愛知県豊川市「木造住宅解体工事費補助金」
2-6.ブロック塀等撤去費補助金
ブロック塀等撤去費補助金は地震などの災害により倒壊被害の恐れがあるブロック塀の撤去工事費用を一部負担してくれる補助金制度です。
目安としては1m以上の高さを誇るブロック塀や石造り、レンガ造といった塀の解体工事が対象となります。支給額は、解体費用の20〜50%(上限あり)が目安となる自治体が多い補助金制度です。
※一例:東京都江戸川区「ブロック塀等撤去費助成」
3.自治体の取り組み事例
3-1.東京都墨田区:老朽危険家屋除却費等助成制度
東京都墨田区で行われている取り組みでは、2016年6月1日から老朽危険家屋除却費等助成制度が設けられています。区職員や区の委託者による現地調査で「不良住宅」と認められた場合に、建物の除去費用に対して助成金を利用することが可能です。
解体に伴う50%の助成金を利用することが可能で、上限は最大50万円(再建築不可の無接道敷地は100万円)まで利用することができます。ただし不動産賃貸業を営む個人や中小企業は、助成金の対象者に該当しないため注意が必要です。
3-2.福岡県福岡市:都市景観形成建築物等保全整備補助金
福岡県福岡市の一部地域では、歴史的な街並みと調和する街づくりを実現するための取り組みとして都市景観形成建築物等保全整備補助金制度が設けられています。
不動産投資家に関係する制度を利用するための条件は、指定エリアでの建造物などの新築・改築・大規模修繕や色彩変更を行う場合に自治体が認める歴史的な外見とする際に条件を満たすことで利用することが可能です。
公布の対象は修理費や修景費の他に、外構修景や外壁塗装など、歴史的な景観形成へと貢献できる外観への改装を行う場合を条件として利用することができます。福岡市のウェブサイトで紹介されている補助金額の一例は、主に以下の通りです。
注意点として原則として令和6年3月15日までに施工を完了する必要がある制度のため、利用を検討してる際には注意が必要でしょう。
3-3.愛媛県今治市:老朽危険空家除却事業
愛媛県今治市では、老朽化した倒壊といった危険性を持つ物件の解体費用を補助する老朽危険空家除却事業制度を設ける取り組みが行われています。
今治市の「今治市老朽危険空家除却事業」で紹介している補助対象の物件は、以下の通りです。
市内の空き家で次の要件を全て満たすもの
- 構造の腐朽または破損が著しく、危険である住宅(木造又は鉄骨造)
- 複数の建物が建っている道路に面しているもの
- 倒壊した場合に道路に影響を及ぼすおそれがあるもの
- 併用住宅の場合は、居住部分が過半以上あるもの
補助金額は対象経費の4/5以内で限度額80万円まで利用することができ、市から工事施工業者へ直接補助金を支払う「代理受領制度」が設けられています。そのため、本来は解体費用の全額負担が一旦必要なケースが多い補助金制度の中でも、費用全額を全額支払う必要がなく申請者の負担が軽い点が今治市が設けている老朽危険空家除却事業制度の特徴です。
ただし今治市で設けられている老朽危険空家除却事業制度は、不動産売買や不動産賃貸を目的とした工事では補助対象工事とはならないため注意が必要でしょう。
3-4.岐阜県中津川市:空家解体支援事業補助金
岐阜県中津川市で取り組まれている補助金制度が、空家解体支援事業補助金制度です。個人が所有する物件で1年以上の期間で空き家であるなどの条件を満たした上で、補助金額は解体費用の3分の1で上限30万円まで利用することができます。
また制度を利用するための詳しい条件は、以下の通りです。
- 市内に存する空家で個人が所有する物件
- 空家の所有者若しくはその相続人又はそれらの者から同意を受けた者
- 空家である期間が概ね1年以上の物件
- 空家に所有権以外の権利が設定されていない物件
- 公共事業による移転等の補償対象でない物件
- 補助金交付決定前に解体されていない物件
- 補助金の交付を受けようとする者(申請者)及びその者が属する世帯全員が、中津川市において税金を滞納していないこと
- 補助金の交付を受けようとする者(申請者)が中津川市外在住の場合、申請者及びその者が属する
- 世帯全員が、お住いの市区町村において税金を滞納していないこと
- 同一敷地内の全ての空家を解体する工事であること(空家の部分解体でない・他の建物が残らない)
- 解体する空家は長屋住宅でないこと
- 市内に事業所を有する法人又は個人事業主が行う工事であること
- 解体工事に要する費用(消費税及び地方消費税を含む)が30万円以上の工事であること
- 空家解体補助金の交付を初めて受ける者(2回目は不可)
※引用:中津川市役所「令和5年度 中津川市空家解体支援事業補助金募集要項」
数ある自治体の補助金制度の中でも、利用条件が空き家の解体に特化している取り組み例の1つです。
3-5.奈良県生駒市:ブロック塀等撤去工事補助金
生駒市で取り組まれているブロック塀除去に関する補助金の事例では、高さ80cm以上で地震時に倒壊の恐れがあるブロック塀等の解体で利用することができます。補助額は解体費用の2分の1で上限15万円までを利用することが可能です。
※参照:奈良県生駒市「ブロック塀等撤去工事補助金」
4.家の解体工事で補助金を利用する注意点
4-1.補助金を受けるために条件を満たす必要がある
各自治体が設けている家の解体工事で利用できる補助金は、指定された一定条件をクリアする必要があります。例えば申請者や申請者の世帯で税金の滞納がある場合には、殆どの自治体で補助金を利用することができません。
また自治体によっては依頼する解体業者は市内に所在地を構える事業主である必要があるといった条件が定められているケースもあります。補助金を利用するための一定条件も各自治体によってさまざまなため、解体工事で補助金を利用するためには各自治体が設けている制度を利用する一定条件を満たす必要があるため注意しましょう。
4-2.自治体ごとに制度や詳細が異なる
家の解体工事で利用できる補助金の中は、自治体ごとにより制度の名称や内容、補助金額が異なります。そのため、市町村によっては補助金制度そのものが設けられていない場合や、条件が他地域と大きく異なるケースもあるため注意が必要です。
また補助金を設けている自治体の予算は限りがあり、応募人数や予算の上限に達した場合には制度を利用できない場合があります。補助金制度を利用する際には応募期間内に人数や予算が達する前に申請を行い審査を通過しておく必要があるため、制度の利用を検討している方は早めの申請が求められる点にも注意が必要でしょう。
4-3.審査に一定の時間が必要
家の解体に伴う補助金制度を利用する際には、自治体の担当者による審査を受け認定を受けた上で初めて補助金の受け取り可能の有無が決定します。そのため、対象物件の確認作業や調査などが必要になり、担当者のスケジュールが混み合ってる場合には審査に時間がかかる恐れもあります。
結果として受け取れる補助金は数ヶ月以上の時間を要する場合もあるため、解体に伴う補助金制度を利用する際には余裕を持った計画を立てる必要があります。
4-4.補助金が受け取れるのは基本的に工事終了後
補助金は解体前に受け取ることができず、領収書や証明書といった書類を提出後に最終的な解体費用の金額から算出されます。そのため、解体費用は一時的に全額支払う必要があるため、補助金を前提としたギリギリの予算では施行できない点に注意しましょう。
ただし、愛媛県今治市が設けている老朽危険空家除却事業のように、補助金を直接事業者へ自治体が支払いを行い申請者の負担を軽減してくれる代理受領制度が設けられている自治体もあります。
制度の内容は補助金制度を設けている自治体ごとによって大きく異なるため、補助金を受け取るタイミングは利用前に必ずチェックしておきたい項目です。
5.まとめ
空き家対策や街の景観に関する対策として、各自治が取り組んでいる補助金制度は利用条件や補助金額が地域によって大きく異なります。そのため、住宅の解体を検討している方は、まずは自身の所有している物件の自治体で補助金制度が設けられているかどうか・利用するための内容をまずは確認を行ってみましょう。
老朽化が著しい実家を相続した場合など、突発的に古くなった物件を保有してしまうことも少なくなく、空き家問題に発展してしまうケースも見られています。各自治体が設けている解体に伴う補助金制度を利用したりなどして、更地の活用や新たな住宅の建造も選択肢の1つとして検討されていくと良いでしょう。
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