次世代へ引き継げる高耐久のアパートは?劣化対策等級2以上の不動産会社も

長期的に運用されるアパート経営において、建物の耐久性が強いということは入居者の安全を守りながら、長く収益を得ていくためにも重要な視点となります。

また、高耐久のアパートは修繕コストが低くなり、木造物件の炭素貯蔵効果と相まって、地球環境への配慮という観点からも注目されています。

そこで今回のコラムでは、アパートの耐久性について解説していきます。次世代に引き継げる高耐久のアパートとして、劣化対策等級2以上の物件を提供している不動産会社も紹介します。

目次

  1. アパートの寿命とは
  2. アパート経営における劣化対策等級とは
    2-1.劣化対策等級の概要
    2-2.劣化対策等級の等級
    2-3.構造別の劣化対策等級3の認定基準
  3. 劣化対策等級2以上のアパートを提供する不動産会社
    3-1.シノケンプロデュース
    3-2.アイケンジャパン
  4. まとめ

1 アパートの寿命とは

建築物には寿命があり、いずれ劣化して老朽化するものです。法的にも耐用年数が決められており、構造によって下記のようになっています。

構造または目的 法定耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造 47年
れんが造、石造またはブロック造 38年
木造 22年
軽量鉄骨造(厚さ3ミリ以下) 19年
軽量鉄骨造(厚さ3〜4ミリ) 27年

※引用:国税庁「減価償却のあらまし」より抜粋

法定耐用年数とは、建物としての資産価値が消滅する税法上定められた期間です。木造アパートであれば築後22年、鉄筋コンクリート造のアパートであれば築後47年で、資産価値がなくなるということを意味しています。

ただし、法定耐用年数は税法上の数字であって、建物の実際の寿命(経済的残存耐用年数)とは異なります。適切な時期にメンテナンスや修繕工事などを行うことで寿命を延ばすことは可能で、独自の技術や工法などを用いて耐久性に優れたアパートを供給する不動産会社も増えています。

具体的には下記のような施策を行うことで、アパートの耐久性を向上させることができると考えられます。

  • 頑丈な基礎を設ける
  • 劣化を遅らせる工夫がされている
  • 耐震性に優れている
  • 定期的に清掃を行っている
  • 適切な時期にメンテナンスを行っている
  • 必要な改修工事を行っている、など

こうした住宅の耐久性の基準として設けられたのが劣化対策等級です。主に劣化を遅らせる工夫や対策などについて評価しています。詳しく見ていきましょう。

2 アパート経営における劣化対策等級とは

劣化対策等級とは、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能表示制度の分野の一つです。住宅に関する性能をわかりやすく表示する制度で、次の10分野の基準で性能を計ります。

  • 構造の安定
  • 火災時の安全
  • 劣化の軽減
  • 維持管理更新への配慮
  • 温熱環境
  • 空気環境
  • 光・視環境
  • 音環境
  • 高齢者等への配慮
  • 防犯

このうち「劣化の軽減」の基準となるのが劣化対策等級です。

2-1 劣化対策等級の概要

住宅に使用する木材や鉄骨などの材料は、降雨によって水を浴びたり、大気中の湿気や汚染物質などの影響を受けて、腐ったり、サビたりしてしまいます。実物資産であるアパートは、時間経過による劣化を避けることが出来ません。

ただし、そうした劣化を遅らせることもできます。劣化対策がどの程度とられているのかを評価するのが「劣化対策等級」です。

劣化対策等級では建物を支える構造躯体等に使用される材料を優先的に評価する制度となっています。建築材料を劣化させないための対策をどの程度行っているか、住みながら点検・清掃・補修などのメンテナンス管理がしやすいか、などが評価対象になっています。

2-2 劣化対策等級の等級

劣化対策等級は、通常想定される自然条件および維持管理条件のもとで、材料の交換といった大規模な改修工事が必要にならないための対策の程度を表しています。1世代を25年〜30年と設定し、大規模な改修工事が必要にならない期間によって、下記のように3、2、1の3段階で等級が評価されます。

  • 劣化対策等級3:3世代(75〜90年程度)にわたって、大規模な改修工事が必要ないと判断される対策がとられている住宅
  • 劣化対策等級2:2世代(50〜60年程度)にわたって、大規模な改修工事が必要ないと判断される対策がとられている住宅
  • 劣化対策等級1:建築基準法が定める対策がとられている住宅

劣化対策等級3の基準を満たした住宅およびアパートは、一般社団法人住宅性能評価・表示協会の長期優良住宅の認定基準を満たすことにもなります。

2-3 構造別の劣化対策等級3の認定基準

住宅の構造躯体の劣化を進める主な要因は、湿気やシロアリなどの害虫類が引き起こす腐食やサビなどです。劣化対策等級では、これらを防ぐための対策が評価されます。一例として劣化対策等級3の認定基準を、構造別に紹介していきます。

木造

木材の劣化は、腐朽菌によって腐ったり、シロアリ被害などによって速くなってしまいます。そのため、この2つへの対策がどのようになされているかによって劣化対策等級が評価されます。具体的な基準は以下になっています。

項目 内容
外壁の軸組等の防腐・防蟻 外壁が通気構造等となっている、など
土台の軸組等の防腐・防蟻 外壁の下端に水切りが設けられている、など
基礎の高さ 基礎の高さが40センチ以上ある
床下の防湿・換気 床下がコンクリート、防湿フィルム等で覆われている、など
小屋根の換気 小屋根給排気(天井面積の1/300以上)などの換気措置がされている
浴室・脱衣室の防水 浴室ユニットになっている、など

※引用:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド(令和4年11月7日版)

鉄骨造

鉄骨造の躯体となる鋼材は、大気中の二酸化硫黄などの汚染物質や水分などによってサビてしまい、劣化が速まります。そのため、メッキや塗装の工夫、換気措置といったサビに対する対策が評価の対象になります。

項目 内容
構造躯体の防錆 鋼材の厚さに応じた防錆措置等がされている
床下の防湿・換気 床下がコンクリート、防湿フィルム等で覆われている、など
小屋根の換気 小屋根給排気(天井面積の1/300以上)などの換気措置がされている
構造部材等 建築基準法に定める劣化の軽減に関する規定を満たしている

※引用:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド(令和4年11月7日版)

鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造に配される鉄筋は、コンクリートがアルカリ性を保っているうちはサビることはありません。しかし中性化すると鉄筋がサビて、劣化してしまいます。また寒冷地ではコンクリートに含まれる水分が凍って膨らむと、コンクリートの劣化が進んでしまいます。鉄筋コンクリート造の場合、この2つについて劣化対策が評価されます。

項目 内容
水セメント比 コンクリート表面から鉄筋表面までのかぶり厚さに応じて、規定の水セメント比以下のコンクリートが使用されている
セメントの種類/コンクリートの品質 日本産業規格に規定される一定のセメントが使用されている
コンクリートの堅さ、含水量等が適正なコンクリートが使用されている
部材の設計・配筋/施工計画 設計誤差を考慮して設計かぶり厚さが設定されている、など
雨水の浸透対策 パラペット等の上端部がアルミニウム製笠木等で覆われている
構造部材等 建築基準法に定める劣化の軽減に関する規定を満たしている

※引用:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド(令和4年11月7日版)

上記のような基準を満たしている住宅やアパートの場合、劣化対策等級3と認定され、2世代から3世代にかけて引き継ぐことも可能と考えられます。

3 劣化対策等級2以上のアパートを提供する不動産会社

劣化対策等級について把握したところで、劣化対策等級2以上のアパートを提供する不動産会社2社を紹介していきます。

3-1 シノケンプロデュース

シノケンの不動産投資セミナーシノケンプロデュースは、全国賃貸住宅新聞「賃貸住宅に強い建築会社ランキング」の「年間アパート開発棟数部門」で7年連続(2015〜2021年度)全国1位に輝いている不動産投資会社です。一般投資家向け賃貸住宅経営のパイオニアとして土地の選定から企画、設計、施工、引き渡し後の賃貸管理まで一貫したサービスを提供しており、これまでのアパート供給棟数は自社施工で5,000棟以上を数えています。

グループ全体で劣化対策に対する高次元のノウハウを保有

シノケンプロデュースのアパートは、構造躯体として鉄の約2倍、コンクリートの約12倍の強度を誇る木材を使用し、木造ならではのメリットを十分に発揮できる構造を採用しています。これにより、劣化対策等級2準拠の耐久性能を持ち、2世代にわたって受け継ぐことができるとしています。

またデザイナーズマンションを提供するグループ会社のシノケンハーモニーでは、劣化対策等級3も取得しています。

最寄り駅から徒歩10分以内の立地にこだわったアパートを提供

シノケンプロデュースでは、通勤や通学がしやすいように大都市圏のターミナル駅から電車で30分圏内、賃貸需要の高い最寄り駅から徒歩10分以内の立地にこだわって土地の取得を行っています。

また、取得した土地の形状や特性に合わせて1棟ずつオリジナルの設計を施すのも特徴です。独立洗面化粧台、サーモスタット付水栓、システムキッチン、カラーモニター付きインターフォンなどの設備のほか、オートロックや防犯カメラなどの防犯設備も多彩に用意されています。

グループ会社のシノケンファシリティーズが担当する2023年3月末時点の管理戸数は45,000戸以上で、2022年の年間平均入居率は98.39%となっています。2021年4月時点で5,000店舗以上の仲介業者と提携しており、仲介店と良好な関係を築いていることも入居率の高さにつながっています。

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3-2 アイケンジャパン

株式会社アイケンジャパンアイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をコンセプトとして掲げる不動産投資会社です。「グランティック」「レガリスト」などのアパートブランドを展開しており、2021年12月には全国で供給しているアパートの総数が1,000棟を突破しています。

高い技術力で劣化対策等級は最高レベルの3

高い技術力を持つアイケンジャパンは、高性能のアパートを提供していることでも知られます。例えば、すべてのアパートに独自のBSP構造(Basic rubber Seismic board Protect)を採用し、耐震性能は建築基準法で定められている基準の約1.3倍となっています。アパートの土台と基礎の間に積層ゴム「キソゴム」を設置したり、壁の変形に対応する「耐力壁」を多用するといったことで、アパート倒壊リスクを低減しています。

また、2017年3月以降に販売されているすべての物件が、第三者機関による評価で劣化対策等級が最高レベルの等級3に適合しています。そのため、大規模改修工事は75〜90年程度必要がなく、2世代から3世代にわたってに引き継ぐことが可能と考えられます。

家賃の値下げなどをせずに入居率99.7%を維持

アイケンジャパンでは「老朽化しても入居者から選ばれるかどうか」を基準に土地を選定しており、最寄り駅から徒歩15分以内の土地を取得して、アパートを供給しています。ビルトインキッチンや温水洗浄便座、浴室テレビといったアパートとは思えないような設備を標準にしているのも特徴です。

2021年12月末時点で7,232戸の賃貸管理を行っており、2021年1月から12月までの平均入居率は99.7%となっています。オーナーの負担が大きく、効果が一時的なフリーレントや家賃の値下げを行わずに高い入居率を維持しているのは、アイケンジャパンの物件ならではの特徴と言えます。

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まとめ

アパートの耐久性が上がると、長期間にわたって経営できるだけではなく、次世代に引き継ぐこともできます。また、劣化対策等級の基準をクリアしているアパートは金融機関からの評価も高くなり、融資を獲得しやすくなる可能性があります。

今回のコラムでは、劣化対策等級の基準を満たす技術を持つ不動産会社2社を紹介しました。不動産会社を選ぶ際にぜひ参考にしてください。

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