長期投資における企業のサステナビリティ活動の重要性とは?取組の調べ方も

環境や社会に配慮した事業経営を行う企業が増えてきました。こうした環境、社会と、経済の3つの観点すべてにおいて、持続可能な状態を目指す経営をサステナビリティ経営と言います。

企業の長期的な維持継続には、生産やサービス提供といった自らの企業活動が、この3つの要素に与える影響を考慮することが欠かせない状況となっています。サステナビリティ活動にはコストが掛かるものの、長期間取り組むことで企業価値が高まるという結果が出ており、投資家は企業の取り組みに注目しています。

今回は、長期投資における企業のサステナビリティ活動の重要性や、取組の調べ方を解説します。

※本記事は2023年6月13日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 企業とサステナビリティ
  2. サステナビリティ活動の重要性
    2-1.サステナビリティ活動と社会的評価
    2-2.サステナビリティ活動と株価
  3. ESGの市場整備
  4. 各社取り組みの調べ方
    4-1.統合報告書
    4-2.有価証券報告書
  5. まとめ

1.企業とサステナビリティ

「環境・社会・経済」という3つの観点のうち、多くの企業が積極的に取り組んでいるのが環境問題です。企業は生産活動の際に多くのエネルギーを消費しなければならず、温室効果ガス排出問題への対応は避けて通れない課題となっています。各企業は、温室効果ガス排出抑制や、代替エネルギーの活用などを検討し、利用していくという対応が求められています。

2.サステナビリティ活動の重要性

企業のサステナビリティ活動の重要性は年々高まっています。ここでは、サステナビリティ活動の重要性を、社会的側面と株価の両面から解説します。

2-1.サステナビリティ活動と社会的評価

企業はサステナビリティ活動に取り組むことで、長期的な事業基盤の強化やイノベーションの創出、社会的な存在価値の向上や社会的評価の向上などにもつながります。社会的な評価が高まると、社員のモチベーションも上がり生産性の向上も期待でき業績アップが期待できます。

また、サステナビリティ活動に力を入れている企業は、その活動や理念に共感する人材を集めやすいというメリットもあります。

2-2.サステナビリティ活動と株価

サステナビリティ活動は、株式市場においても重要視されてきています。企業のサステナビリティへの取り組みが機関投資家の投資判断材料として用いられるようになりました。こうした流れを受け、機関投資家の国際的なグループは、環境、社会、企業統治を運用の柱とする責任投資原則(PRI)を策定しました。

このPRIへの署名投資家数は世界で拡大傾向にあり、2022年3月時点で約5,300機関(2020年3月時点:約3,000機関)、運用規模は120兆ドル超にのぼります。なお、日本では118機関がPRIに署名しており、投資金額は増加傾向にあります。

3.ESGの市場整備

企業のサステナビリティへの取り組みにESGがあります。ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の略です。投資家がESGを投資の判断材料とすることで、ESG格付けやインデックスが組成されるようになりました。

ESG格付は、米国のMSCIやS&Pグローバル、ブルームバーグ・エル・ピー、日本では日本経済新聞社などの第三者機関が評価するようになりました。これを受け、株式市場ではESGのETFや投資信託の販売が増えています。

ESG要素を考慮した指数の例を下記にまとめました。

ESG要素を考慮した指数の例

ESG要素 指数
複数のESG要素を考慮した指数 S&P/JPX 500 ESGスコア・ティルト指数シリーズ
「環境」を考慮した指数 JS&P/JPXカーボン・エフィシェント指数
S&P/TOPIX150 化石燃料フリー指数
FTSE JPXネットゼロ・ジャパン500インデックス
FTSE JPXネットゼロ・ジャパン200インデックス
東証インフラファンド指数
「社会」を考慮した指数 JPX/S&P 設備・人材投資指数
「ガバナンス」を考慮した指数 JPX日経インデックス400
JPX日経中小型株指数

さらに、上記指数などを対象としたETFが東京証券取引所に43銘柄(2023年4月13日時点)上場しています。

ESG要素を取り入れた指数である、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数とMSCI JAPAN INDEXの騰落率を比較(下表)すると、期間が長いほどESG要素を取り入れた指数の上昇率が高い結果となりました。このことから、ESG投資が長期運用に適していると言えそうです。

ESG ETFとMSCI JAPAN INDEXの騰落率(%)

指数 過去1年間 過去3年間 過去5年間
MSCI
ジャパン
ESGセレクト・
リーダーズ指数
7.84 46.03 36.00
MSCI
JAPAN INDEX
(JPY)
6.06 41.56 18.77

※データは2018年4月12日~2023年4月12日

4.各社の取り組みの調べ方

各社のサステナビリティ活動への取り組みは、統合報告書や有価証券報告書に書かれています。特に、統合報告書には取り組みが詳細に説明されています。それぞれ見ていきましょう。

4-1.統合報告書

統合報告書とは、企業統治や社会的責任、知的財産などの非財務情報と、財務情報をまとめたもので、企業が任意で発行し各社のWebサイトで確認できます。長期・中期・短期の目標や目標を達成するための取り組みのほか、達成度合いなども確認できます。

統合報告書を発行する企業が増加傾向にあり、2022年9月時点で516社と前年比81社増加しました。サステナビリティ活動の重要性の高まりを背景に、今後も統合報告書の発行企業は増加するでしょう。

4-2.有価証券報告書

サステナビリティ関連の情報は、これまで非財務情報だったことから、有価証券報告書では確認できませんでした。しかし、法改正に伴い有価証券報告書においても企業のサステナビリティに関する取り組みの一部が開示されるようになりました(2023年3月末以降に終了する事業年度より)。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提唱したのは、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標及び目標」の4項目。このうち、「ガバナンス」及び「リスク管理」の2項目が開示必須となります。

5.まとめ

企業の長期的な維持継続には、生産やサービス提供といった企業の活動が、サステナビリティ経営の「環境・社会・経済」という3要素に与える影響を考慮することが欠かせない状況となっています。サステナビリティ活動は、短期的なものではなく、長期目的を設定し、修正しながら目的を達成することが重要です。

運用面からは、長期運用におけるESG投資の優位性が確認されているため、企業のサステナブル経営が注目されています。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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