ネット銀行の不動産投資ローン、地銀や信託銀行との違いやメリット・注意点は?

不動産投資ローンはさまざまな金融機関が提供しています。最近ではネット銀行も区分マンション投資向けなどのローンサービスを行っている場合があります。

ネット銀行を選択肢の一つに加えることでより良い条件でローンを組める可能性があるでしょう。ただし、ノンバンクの保証や不動産会社の提携のもと提供されていて、Webサイト上での情報が少ない場合が多い点には留意が必要です。

この記事ではネット銀行の不動産投資ローンについて紹介していきます。

目次

  1. 不動産投資ローンの金融機関の選択肢とは?
  2. ネット銀行の不動産投資ローンの特徴
    2-1.ノンバンク保証付きや不動産会社との提携ローンが多い
    2-2.区分マンション向けを想定したローンがしばしばみられる
    2-3.不動産担保ローンを扱うネット銀行も
  3. ネット銀行の不動産投資ローンのメリットと注意点
    3-1.ネット銀行の不動産投資ローンのメリット
    3-2.ネット銀行の不動産投資ローンの注意点
  4. 複数の金融機関と提携している不動産会社
    4-1 インヴァランス
    4-2 FJネクスト
    4-3 プロパティエージェント
  5. 不動産購入後の借り換え検討ができるサービス
    5-1 インベース(INVASE)
  6. まとめ

1 不動産投資ローンの金融機関の選択肢とは?

まず、不動産投資ローンを扱う金融機関の種類についておさらいしておきましょう。2023年6月時点で不動産投資ローンの出し手は、たとえば次のような金融機関です。

  • メガバンク・信託銀行
  • 日本政策金融公庫
  • 地方銀行・ノンバンク
  • ネット銀行

大まかな傾向としては次のとおりです。

金融機関 審査 融資限度額 金利 借入期間
メガバンク・信託銀行 厳しい 高い 低い 長い
日本政策金融公庫 易しい 低い 低い 長い
地方銀行・ノンバンク 金融機関によるが
易しい場合も
中程度 金融機関
による
長い
ネット銀行 易しい 低い 低い 長い

※上記は各金融機関の傾向をまとめたものなので、実際の条件は個別の金融商品、市場環境、借り手の属性や購入物件の担保価値など様々な要因によって異なります。

メガバンクや信託銀行は富裕層や法人化するほどの規模の投資家をメインターゲットとしているため審査が厳しい傾向にあります。過去の取引実績や既存の経営状況なども加味されるため、個人で初心者の不動産投資家が利用するのは容易ではありません。

一方で、日本政策金融公庫、地方銀行やノンバンクなどは審査が相対的に緩い傾向にあり、初めての購入物件で活用しやすい金融機関です。

日本政策金融公庫は、「賃貸業」を営む目的として新規開業資金向けの融資を受けられる場合があります。

その時には限度額が7,200万円(うち運転資金4,800万円)が上限で、相対的に限度額が低い一方で、ローン金利は基準金利で0.97%~2.45%(担保ありの場合)となっているため、ローン金利は低く抑えられる可能性があります。(参考:日本政策金融公庫「新規開業資金」「国民生活事業(主要利率一覧表)

地銀やノンバンクはまず、金融機関によって不動産投資ローンへの積極性に差があり、融資条件も異なります。積極的な金融機関であれば融資を受けやすいでしょう。

金利は全体でみると高めであるものの、中には不動産会社との提携などで相対的に低金利でローンを借りられるケースもあります。物件探しと合わせて、不動産会社との提携状況についても調査していきましょう。

ネット銀行でも不動産投資ローンを提供している先がいくつかあるものの、Webサイトには情報があまりでていない場合もあるので留意が必要です。ここからはネット銀行の不動産投資ローンに焦点を当てて紹介していきます。

2 ネット銀行の不動産投資ローンの特徴

2-1 ノンバンク保証付きや不動産会社との提携ローンが多い

ネット銀行で単体で不動産投資ローンを提供している先は、少なくともWebサイト上で案内が出ている先としてはオリックス銀行など一部に限られます。

ノンバンクなどとの提携を通じて、保証付きのローンを提供している場合もあります。また、特定の不動産会社との提携に限り提供しているケースでは、物件も同社が扱っているものに限定されます。

提携ローンは一般に情報が公開されておらず、特定の不動産会社で物件購入を進めることで初めて選択肢にのぼる場合もあります。ネット銀行の融資活用を視野に入れている方は、不動産会社の提携状況も確認しておくとよいでしょう。

2-2 区分マンション向けを想定したローンがしばしばみられる

提携する不動産会社やノンバンクの保証付与の状況にもよりますが、ネット銀行が提供するローンは、相対的にリスクが低い傾向にある都市部の区分マンション向けが多くみられます。

アパートやマンションの一棟投資、もしくは地方の投資物件についてはネット銀行のローンを活用しにくい可能性があります。また、借りられる融資の限度額が低く、複数物件を持つ方は利用しにくい場合も考えられます。

複数物件への投資や一棟買いを念頭に置いている方は、他の金融機関を選択するのも一つの選択肢となるでしょう。

2-3 不動産担保ローンを扱うネット銀行も

ネット銀行によっては、不動産担保ローンを扱っているケースもあります。不動産担保ローンは不動産を担保に入れる点は投資ローンと近いのですが、資金使途が不動産に限定されず、さまざまな用途に融資金を活用できます。

不動産投資に不動産担保ローンを活用することもできますが、不動産担保ローンは投資ローンより金利が高くなりがちです。よほど収益性の高い物件であるなど、特殊な状況でない限りは、まずは不動産投資ローンを検討したほうが良い条件でローンを利用できる可能性が高いと考えられます。

3 ネット銀行の不動産投資ローンのメリットと注意点

ネット銀行の不動産投資ローンは相対的に物件価格が低く、自己資金もおさえやすい区分マンションに対して提供される場合がしばしばあるため、これから不動産投資を始める方や投資初心者の方にとっては有効な選択肢の一つとなるでしょう。

その分、融資限度額は伸びにくく一棟投資や複数物件の投資には利用しにくい可能性があります。

3-1 ネット銀行の不動産投資ローンのメリット

ネット銀行の不動産投資ローンは次のようなメリットがあります。

  • 不動産投資初心者が活用しやすい
  • 低金利で借りられる場合もある
  • 金融機関開拓の手間が削減される

ネット銀行が融資を出す物件は他タイプの物件と比べて相対的に価格が安い区分マンション投資が中心です。かつ、保証先のノンバンクや金融機関が認める質の高い物件が多くなっています。

相対的にリスクの低い物件が中心となるため、初めて不動産投資にチャレンジする方でも選択しやすいと言えるでしょう。

ネット銀行と地銀のローン金利水準については、一概にどちらが低いかは明確ではなく、個別の物件や借入額などによって変わってきます。

地銀とネット銀行を比較検討することで、相対的に低い金利でローンを借りて、月々の返済コストを抑えられる可能性があります。

最後に、ネット銀行は不動産会社の提携や紹介で提供されるケースがしばしば見られます。

不動産投資でローンを活用するとき、本来は投資家自身が金融機関と交渉して承認してもらわなければならないところですが、提携ローンであれば不動産購入とセットでローン契約の準備が進むため、投資家は負担なく審査や契約の手続きを進められます。

3-2 ネット銀行の不動産投資ローンの注意点

一方で注意点は次のとおりです。

  • 情報が少ない
  • 投資できる物件が限られる
  • 投資規模の拡大はしづらい可能性

不動産会社との提携で提供されるローンなどは、Webサイト上には掲載されていない場合もあります。「提携ローン」という以上、個人がいきなり問い合わせてもローンを受けられないため、Webサイト上には情報が乏しいケースが少なからずみられます。

そのため、どのネット銀行がどんな条件で融資を提供しているのかを正確に把握するのが難しい傾向にあります。

また、投資物件が限られている点にも要注意です。区分マンションが中心になる上、提携元の不動産会社が扱う特定の区分マンションから選ぶことになります。様々な物件の中から最適なものを厳選したい方は、例えば複数の不動産会社の物件をチェックしていくのも有効な選択肢です。

最後に、融資限度額が伸びにくいため、一棟投資や区分マンションの多数物件購入などを通じて資産規模を拡大させるのが難しいケースもあるでしょう。例えば、地銀など特定の金融機関の融資実績を通じてクレジットヒストリーを作っていきたい場合には、ネット銀行へのアプローチは適切ではありません。

今後、投資規模の拡大を念頭に置いている人は、別のタイプの金融機関にもアプローチし、長期的な視点で有利な金融機関との関係性を深めていくのも一つの考え方といえるでしょう。

4 複数の金融機関と提携している不動産会社

ネット銀行の不動産投資ローンの利用を検討する際は、提携している不動産会社からのアプローチが必要になります。ここでは様々な金融機関と提携している不動産会社についてご紹介していきます。

不動産投資会社 提携および取引先金融機関数
インヴァランス 13社
FJネクスト 12社
プロパティエージェント 10社

4-1 インヴァランス

インヴァランスのマンション投資セミナーインヴァランスは、「CREVISTA」「LUXUDEAR」という投資用マンションブランドを持つ不動産投資会社です。これまでに100棟以上の物件を東京23区内で開発・販売しています。2019年上半期の「首都圏投資用マンション市場動向」(株式会社不動産経済研究所)では、第2位の供給実績です。

取引先の金融機関は22社あり、そのうち13社と提携した投資用ローンを用意しています。そのためオーナー一人ひとりに合わせ、無理のない投資プランを提供することができます。また物件の信頼性も高く評価されており、オーナーが用意する頭金は10万円からとなっています。

設立 2004年
代表取締役 小暮 学
入居率 99.79%(2020年1月時点)

4-2 FJネクスト

FJネクストの不動産投資セミナーFJネクストは、高品質なマンションブランド「ガーラ」シリーズを展開している不動産投資会社です。東京都内を中心に供給しており、2022年3月末時点のマンション供給実績は業界トップクラスの327棟です。2020年の「首都圏投資用マンション市場動向」(株式会社不動産経済研究所)では、供給実績第1位を獲得しています。

主要な取引銀行は7行で、12社との間で提携ローンを用意しています。有利な条件での融資獲得も期待でき、投資家の属性によってはフルローンによる購入の実績もあります。

設立 1980年
代表取締役 肥田 幸春
入居率 98.8%(2022年3月末時点)

4-3 プロパティエージェント

プロパティエージェントの不動産投資セミナープロパティエージェントは、創業以来、19期連続で増収増益を達成している東証プライム市場上場の不動産投資会社です。東京23区と横浜市エリアでマンションの開発・販売を手掛けており、新築マンションと中古マンションの両方を取り扱っています。

取引のある銀行は26行で、提携している金融機関は10社となっています。物件の担保能力の高さから、フルローンでの融資実績も豊富です。

設立 2004年
代表取締役 中西 聖
入居率 98.69%(2023年1月時点)

5.不動産購入後の借り換え検討ができるサービス

不動産購入後も借り換えによって金融機関の利用を検討を活用することが可能です。しかし、借り換えには手数料がかかり、元の金融機関との関係性が悪化してしまうこともあるため、借り換え前にシミュレーションを通してメリットがあるのか慎重に判断することが大切です。

ここでは複数の金融機関から借り換え先を比較したり、シミュレーションができるサービスについてご紹介します。

5-1 インベース(INVASE)

INVASE(インベース)/モゲチェックインベース(INVASE)は、株式会社MFSが提供する不動産投資ローンのオンライン借り換えサービスです。不動産投資ローンの借り換え手数料は成功報酬型となっています。マイナス金利下で非常に注目されているサービスで、ヤフー、マネックスベンチャーズ、電通など著名な企業が出資しているほか、テレビ番組や全国紙、経済誌など様々なメディアにも取り上げられています。

インベースの利用による金利削減メリットの多い方として、不動産投資ローンでは「2013年以前に物件を購入している」「現在金利が2%以上」「元本が1,500万円以上」に該当する方が、特に借り換えによる削減実績が大きくなっています。これらの金利削減メリットがある方に対して、MFSのコンサルタント「モーゲージ・スペシャリスト」が、全国の金融機関が提供する不動産投資ローンの中から最適なローンを選び出してくれます。

新しく物件を取得していきたい方向けのサービスも

従来の借り換えサービスに加え、インベースでは、2022年11月に不動産仲介事業を行うコンドミニアム・アセットマネジメント社をグループ会社とし、ローン診断から物件仲介までワンストップで案内が可能になっています。

インベースのサービスを介すことで事前に借入可能額が把握できるため、自身の属性で選べる物件やエリアを見立て、効率的に投資計画を練ることが可能です。不動産投資をこれからはじめる方・運用改善したい方・収益物件の情報を知りたい方など、様々なニーズを持つ方に適したサービスです。

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まとめ

ネット銀行でも不動産投資ローンを提供している先はあり、特に区分マンションへの投資ローンであれば、相対的に良い条件で契約できる可能性もあります。一方で、限度額が伸びにくく、一棟投資や資産規模の拡大には適さない場合もあるので、さまざまな金融機関を比較検討していきましょう。

ネット銀行の不動産投資ローンは不動産会社との提携などの形で提供されていて、広く情報が公開されていない場合もあります。利用を検討する際には物件購入時に不動産会社と相談するのも一つの方法です。

また、不動産会社と借入可能額などの投資ローン条件を合わせて比較検討したい方には、Web上で借入可能額の簡易診断や不動産投資会社選びを進められる「INVASE」を利用してみるのも一つの選択肢です。

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