住み替えのタイミングはいつ?築年数や検討理由、住み替えの流れ・注意点も

住宅を住み替えるタイミングに悩む方も多いのではないでしょうか。住宅は各家庭にとって大きな資産でもあるため、出来るだけ損をしないタイミングで売却を検討していきたいと考えている方も多いでしょう。

そこで今回のコラムでは、住み替えのタイミングとなる代表的な理由や、住み替えタイミングを見極めるポイントについて解説していきます。また、住み替えの流れについても紹介しているので、住み替えを検討している方、どのような住み替えタイミングが良いか知っておきたい方はご参考ください。

目次

  1. 住宅を住み替える代表的な理由
    1-1.ライフイベントが理由で住み替える
    1-2.資産形成が理由で住み替える
  2. 住み替えタイミングを見極めるポイント
    2-1.マンションの築年数から見た成約価格・成約件数
    2-2.居住用住宅の売却における税制
    2-3.不動産会社へ査定を依頼し価格を調査する
    2-4.住宅ローンの金利動向
  3. 住み替えの流れ
    3-1.売り先行での進め方
    3-2.買い先行での進め方
  4. まとめ

1 住み替えが検討される代表的な理由

住み替えを検討する理由はさまざまですが、大別して「ライフイベント」と「資産形成」の二つの理由に分けられます。それぞれ具体的に見ていきましょう。

1-1 ライフイベントが理由で住み替える

家族にはライフイベントが数多くありますが、住み替えの理由になることもあります。下記が代表的な例です。

  • 子供が生まれた
  • 子供が独立した
  • 両親と暮らすことにした
  • ペットを飼いたい
  • 周辺の環境を変えたい、など

マンションの場合、専有面積を増やしたり、減らしたりすることはできません。そのため、家族が増えた、減ったなどが住み替えを検討する理由になります。

また、長く暮らすと周辺の環境が変化してしまうものです。例えば、のどかな景色を求めてマンションを購入したものの、住み始めてから近隣にマンションが建ち始めたり、商業施設ができてしまうことがあります。反対に、よりよい住環境を求める場合も住み替えが検討されます。

また、上記のライフイベントにも関わりますが、立地を変えたい、より住環境の優れた場所で暮らしたいといった際にも住み替えが検討されます。下記が代表的な例です。

  • 子供が小学校に入学する
  • 子供の教育環境を整えたい
  • 通勤を楽にしたい
  • 転職をした
  • 退職した、など

学校や通勤先を変えることは難しいため、住まいの住み替えが検討されます。通勤や通学時間を短くしたいといった理由だけではなく、通いたい学校があるといった場合も住み替えが検討されるきっかけになり得ます。

1-2 資産形成が理由で住み替える

マンションは各家庭中でも大きな割合を占めやすい資産であるため、住宅ローンの返済やマンションの売却価格を勘案して住み替え検討される方も多くいます。主な住み替え理由としては下記のようなものがあります。

  • 住宅ローンの負担を軽くしたい
  • 住宅ローンの金利が低いうちに新しいマンションを購入したい
  • 老朽化する前に売却したい
  • 相場が高い時に売却したい
  • 修繕積立金が増額される前に売却したい、など

資産形成が理由でマンションを住み替える場合、いくつかのポイントに分けて情報収集を行い、住み替えによって金銭的なメリットがあるのか慎重に判断することが大切です。

例えば、「購入時よりマンション価格が上がっている」という理由だけで売却を検討しても、周辺マンションの相場価格も上がっており住み替えによる資産形成の効果が薄いこともあるでしょう。また、「金利が下がっている」という理由で住み替えを検討するのであれば、住み替えではなく住宅ローンの借り換えを行うことでより手軽に改善できるケースもあります。

このように資産形成を目的とした住み替えでは、多角的に情報収集を行っていくことが大切なのです。次の項目では資産形成の側面から見たマンションの住み替えタイミングのポイントについて解説します。

2 住み替えタイミングを見極めるポイント

マンションの住み替えタイミングを検討する際に重要なポイントを4つに分けてそれぞれ解説します。

2-1 マンションの築年数から見た成約価格・成約件数

住宅は築年数が経つほど価格が低下するため、不動産市場を見ながら住み替えのタイミングを図るのも一つの方法です。そのため不動産市場の状況を把握するようにしましょう。

下記の表は、中古マンションの築年別成約状況(2022年)をまとめたものです。

項目 築0〜5年 築6〜10年 築11〜15年 築16〜20年 築21〜25年 築26〜30年 築31年〜
価格 6,638万円 6,193万円 5,543万円 5,250万円 4,290万円 2,832万円 2,193万円
㎡単価 105.21万円 93.76万円 79.86万円 74.01万円 61.91万円 44.57万円 38.98万円

※引用:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」より抜粋

成約した中古マンションの㎡単価は、築26年以降になると築0〜5年の半分、31年以降になると1/3程度になっているのがわかります。築年数が経つにつれて売却代金が低くなっていくため、築20~25年頃がマンションの住み替えを検討するひとつの目安と考えることが出来ます。

一方、下記の表は2022年の中古マンションの築年別の登録件数と成約件数の構成比率をまとめたものです。

項目 築0〜5年 築6〜10年 築11〜15年 築16〜20年 築21〜25年 築26〜30年 築31年〜
成約 9.3% 14.4% 12.5% 13.8% 10.7% 7.8% 31.5%
新規登録 6.7% 8.5% 8.4% 10.2% 10.0% 9.2% 46.9%

※引用:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」より抜粋

このように中古マンション市場に新規登録される物件は、築21年以上が7割弱を占めています。そのため、築20年以内に売却を検討することで付加価値がつき、値崩れしにくく、スムーズに売却できる可能性があります。

2-2 居住用住宅の売却における税制

税制面での優遇の有無も住み替えのタイミングを見極めるポイントの一つになります。例えば、住宅を購入すると住宅ローン控除が受けられますが、控除が受けられる年数の上限は10年(一部13年)となっています。

また、マンションを売却した際に譲渡所得がある場合は、譲渡所得税が課せられます。この譲渡所得税は、マンションを所有していた期間によって下記のように税率が異なります。

  • 短期譲渡所得税(5年未満所有)=課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)
  • 長期譲渡所得税(5年以上所有)=課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)

※参照:国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

表を見てもわかるように、マンションの所有期間が5年未満と5年以上では、譲渡所得税率が2倍違います。さらに10年以上所有した場合、長期譲渡所得の税率がさらに低くなる特例の適用を受けることも可能です(No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例)。

税制面から見ると、マンションの住み替えタイミングとしては5~10年以上保有した後に売却を検討するという考え方もできるでしょう。

一方で、自宅マンションのようなマイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。(マイホームを売ったときの特例

この特例は所有年数に関わらずに活用することができるため、3,000万円以上の売却益(譲渡所得=売却価格-購入価格-取得費)が発生しないのであれば、税制面からは特に気にせずどのタイミングでも売却しても良いと見ることもできるでしょう。

このように税金の制度を把握することで、住み替えのタイミングを図ることもできます。

2-3 不動産会社へ査定を依頼し価格を調査する

マンションの住み替えタイミングを検討するにあたり、不動産会社の査定を受けてみることも検討しておきましょう。査定を受けることで実際のマンション価格を大まかに知ることができ、資金計画を具体的に立てやすくなるためです。

不動産会社へ査定を依頼する際は1社だけでなく、複数の不動産会社へ依頼することもポイントとなります。不動産会社の中には相場よりも高い金額をつけて売却を促したり、逆に相場よりも低い金額で出来るだけ早く成約しようと考える悪質な不動産会社もあるためです。

このような悪質な不動産会社を避け、不動産査定価格を比較できる便利なサービスに不動産一括査定サイトがあります。サイトに情報を登録することで、査定価格や査定の根拠、担当者の対応力などを比較することができるため、住み替えを検討する際にも適した不動産会社を選ぶことができます。

下記の表は、主な不動産一括査定サイトの一覧です。今回紹介している不動産一括査定サイトは、悪質な不動産会社を積極的に排除しているほか、全国エリアに対応しているなどの特徴があります。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
SUUMO(スーモ)不動産売却 株式会社リクルート 大手から中小企業まで約2,000の店舗と提携。独自の審査基準で悪質な不動産会社を排除。60秒で入力が終了し、無料査定がスタートできる。
すまいValue 不動産仲介大手6社による共同運営 査定は業界をリードする6社のみ。全国875店舗。利用者の95.5%が「安心感がある」と回答
LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス 株式会社LIFULL 全国3826社以上の不動産会社に依頼できる。匿名での依頼も可能
リガイド(RE-Guide) 株式会社ウェイブダッシュ 17年目の老舗サイト。登録会社数900社、最大10社から査定を受け取れる。収益物件情報を掲載する姉妹サイトも運営、他サイトと比べて投資用マンションや投資用アパートの売却に強みあり
HOME4U 株式会社NTTデータ スマートソーシング 全国2100社から6社まで依頼可能。独自審査で悪徳会社を排除

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不動産一括査定サイトは「まずはマンション価格を知りたい」「価格によって売却を決めたい」という方でも利用できるため、気になる方は登録を検討してみましょう。

なお、「複数社に査定を依頼するのは手間に感じる」という方であれば、まずは大手不動産会社に絞って査定依頼することを検討されてみるのも良いでしょう。大手不動産会社であれば過去の取引実績も豊富であり、不動産査定のノウハウもあるため、1社だけに依頼をする際も検討しやすい不動産会社です。

例えば、三井グループの不動産会社「三井不動産リアルティ」の不動産コンサルティング事業である「三井のリハウス」や、東急不動産ホールディングスの「東急リバブル」などがあります。

【関連記事】不動産売却で評判の良い不動産会社は?大手2社の実績やサービス内容を解説

2-4.住宅ローンの金利動向

マンションの購入には住宅ローンの利用を検討している方が大半でしょう。住宅ローンの金利が高いタイミングだと、住宅価格が安くても取得費全体の価格が高くなってしまうこともあるため注意が必要です。

2023年8月時点、住宅ローンの金利推移については、下記のようになっています。

民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

※画像引用:住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

上記のグラフを見ると、固定金利10年・3年の金利が上昇傾向にあることが分かります。変動金利については固定金利の変動後に影響があるため2023年8月時点では上昇しておらず、ローン金利の低さを見ると、住み替えが行いやすいタイミングであると考えることができます。

しかし、固定金利が上昇を続けると変動金利にも影響が出てくることになります。将来的にインフレが続くと金利上昇の要因ともなり得るため、注意しておきたいポイントと言えます。

なお、住宅ローン金利については物件の担保性や借主の属性、金融機関の貸出態度によって個別に審査されることになります。金銭的理由で住み替えを検討するのであれば、まずは自宅マンションのローンを借り換えた場合の金利をシミュレーションし、住み替えるか、ローンの借り換えで対応するのかを勘案されてみるのも良いでしょう。

例えば、住宅ローンの借り換え診断サービスとしては、株式会社MFSの「モゲチェック」というオンライン借り換えサービスがあります。居住用の住宅ローンの借り換え手数料は無料(※離婚が関わる案件など一部を除く)となっており、金利削減メリットがある方に対して、全国約120行の金融機関が提供する1,000本以上の住宅ローンの中から最適なローンを選び出してくれます。

3 住み替えの流れ

住み替えが検討される主な理由について把握できたところで、住み替えをする際の流れを見ていきましょう。下記が代表的な流れです。

売却の流れ 購入の流れ
①既存マンションの査定をしてもらう
②売却活動をしてもらう不動産会社を選ぶ
③買主が見つかる
④買主と不動産売買契約を結ぶ(手付金が支払われる)
⑤既存マンションの引き渡しを行う(売買代金の残額が支払われる)
①新しいマンションを探す
②新しいマンションの不動産売買契約を結ぶ(手付金を支払う)
③新しいマンションが引き渡される(住宅ローンが実行される)
④新しいマンションに引っ越す

住み替えは、既存マンションの売却と新しいマンションの購入のどちらを優先するかでポイントが異なってきます。既存マンションの売却を先に進める「売り先行」と、新しいマンションの購入を先に進める「買い先行」の2つの進め方があります。

3-1 売り先行での進め方

既存マンションの売却を先に進めるのが「売り先行」です。新しいマンションを購入するための頭金が用意できていない場合や住宅ローンの残債が大きい場合などは、売り先行で進めることになります。

手付金が支払われた(売却④)後に、新しいマンションの手付金を支払う(購入②)ような流れになるといいでしょう。

売り先行のポイントは、新しいマンションへの引っ越しです。タイミングがうまくいかないと、既存のマンションの引き渡しが先に行われ、新しいマンションへ引っ越すまでに仮住まいをすることになります。この場合、仮住まいの家賃に加えて、引っ越しが2回行われるなど、経済的にも精神的にも負担になる可能性があります。

新しいマンションに引っ越し(購入④)てから、既存マンションの引き渡し(売却⑤)を行うことで、仮住まいの必要はなくなります。

売り先行で進める際の注意点

住宅ローンの残債があるマンションを売却するときは、売却代金で住宅ローンが完済できることが条件になります。住宅ローンの利用条件として、融資元の金融機関がマンションに抵当権を設定しているからです。住宅ローンが残り、抵当権が設定されたままでは第三者に売却することはできません。

そのため、資金計画を丁寧に考えることが重要です。マンションの購入代金以外に新しいマンションを購入する際に必要な費用と、既存マンションを売却する際の費用を把握しておきましょう。下記が主な費用の一覧表です。

売却にかかる費用 購入にかかる費用
不動産会社への仲介手数料
住宅ローンの繰上げ返済に関わる費用
抵当権の抹消費用(登録免許税、司法書士費用)
売買契約の際に必要な印紙税
譲渡所得税、など
不動産会社への仲介手数料
住宅ローンの事務手数料や保証料
登記費用(登録免許税、司法書士費用)
火災保険料
固定資産税・都市計画税
不動産取得税、など

3-2 買い先行での進め方

一方、頭金の用意があり、住宅ローンの残債がないなど新しく住宅ローンが組めるようなケースでは、「買い先行」で住み替えが行われることが多くなります。

買い先行は、新しいマンションへ引っ越し(購入④)をしてから、既存マンションの売却活動を本格化させる(売却②)といいでしょう。新しいマンションに引っ越した後に内見などを行うため、荷物のない状態を見てもらえるからです。またハウスクリーニングやホームステージングなどをすることもでき、早期の売却につながる可能性があります。

買い先行で進める際の注意点

買い先行で進める際の注意点は、既存マンションの維持コストです。マンションの維持にかかる費用は、住んでいなくても所有者が支払うことになっています。

主なマンションの維持コストは下記になります。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 火災保険料
  • 固定資産税・都市計画税、など

売却がスムーズに進まない場合は、不動産会社に買い取ってもらう方法も検討できます。売却価格はやや下がってしまいますが、維持コストを支払い続けるより手元に残る資金が多くなることも考えられます。そのため丁寧に資金計画を立てるようにしましょう。

まとめ

住み替えのタイミングは、ライフステージやお金の事情などがありますが、不動産市場の状況や税制面の優遇の有無などを踏まえることでより良い住み替えができるようになります。それぞれのポイントを踏まえ、多角的な視点で判断していきましょう。

住み替えをスムーズに進めるためには、実績が豊富な不動産会社のサポートも欠かせません。代表的な不動産一括査定サイトも紹介しましたので、それぞれの不動産会社を比較し、より良い売却活動に繋がるように工夫していきましょう。

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