ウェルスナビとFOLIO ROBO PROの違いは?手数料や実績、メリット・デメリットを比較

ロボアドバイザーはAIを活用した資産運用サービスで、中でもウェルスナビは知名度が高く、代表的なサービスです。一方、FOLIO ROBO PROはウェルスナビより新しいロボアドバイザーながら、好パフォーマンスで注目されるようになりました。

今回は、両社の特徴や実績を比較します。自分に合うロボアドバイザー選びの参考にしてください。

※2023年7月時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ウェルスナビとFOLIO ROBO PROの概要
  2. ウェルスナビの特徴
    2-1.ウェルスナビのメリット
    2-2.ウェルスナビのデメリット
  3. FOLIO ROBO PROの特徴
    3-1.FOLIO ROBO PROのメリット
    3-2.FOLIO ROBO PROのデメリット
  4. ウェルスナビとFOLIO ROBO PROの比較
    4-1.手数料の比較
    4-2.最低投資金額の比較
    4-3.運用の手法の比較
    4-4.運用実績の比較
  5. ウェルスナビとFOLIO ROBO PRO、どちらを選べばいい?
    5-1.ウェルスナビが向いている人
    5-2.FOLIO ROBO PROが向いている人
  6. まとめ

1.「ウェルスナビ」と「FOLIO ROBO PRO」の概要

ロボアドバイザーとは、投資家が資産運用する場合に商品選びから売買までを一任できる人工知能(AI)を活用したサービスです。最近では「ロボアド」とも呼ばれ、働く世代を中心に注目されています。

「ウェルスナビ」と「FOLIO ROBO PRO」は、どちらもロボアドバイザーの投資サービスであり、投資や資産運用に詳しくない方や仕事で忙しくて時間が取れない方でも気軽に始めることができるとして人気の高いサービスです。

ウェルスナビ FOLIO ROBO PRO
運営会社 ウェルスナビ株式会社 株式会社FOLIO
ロボアドの種類 投資一任型 投資一任型
最低投資金額 1万円 10万円
積立 1万円以上 1万円以上
運用手数料 年率1.1%(税込) 年率1.1%(税込)
投資対象 ETF ETF
運用プラン 5種類 1種類
リバランス 6カ月ごと 1カ月ごと
NISA 対応あり 対応

※出典:「ウェルスナビ」「FOLIO ROBO PRO」より筆者作成

2.ウェルスナビの特徴

ウェルスナビ(Wealthnavi)ウェルスナビ(WealthNavi)は働く世代から支持されて拡大を続けているロボアドバイザーサービスです。ユーザーは投資の手間がなく、6つの簡単な質問に答えるだけで、ユーザーのリスク許容度に合った運用プランを提案してくれます。ユーザーが提案を参考にリスク許容度を決定すると、商品の買付やポートフォリオのリバランスまでを全自動で行います。

2-1.ウェルスナビのメリット

ウェルスナビには、以下のようなメリットがあります。

ユーザーに適したプランを提案してくれる

ウェルスナビは、ユーザーの年齢、収入、資産状況、リスク許容度などをもとに、最適なポートフォリオを提案してくれます。また、市場状況やユーザーの目標に応じて、定期的にポートフォリオのリバランスを行います。

運用実績がよい

ウェルスナビは、サービス開始から堅実な運用実績があります。以下は、2023年6月末時点の、リスク許容度別のサービス開始からの騰落率です。

  • リスク許容度5:+115.7%
  • リスク許容度4:+109.1%
  • リスク許容度3:+93.2%
  • リスク許容度2:+77.6%
  • リスク許容度1:+56.8%

NISAに対応している

ウェルスナビは「おまかせNISA」で一般NISAに対応しており、非課税投資が可能です。

また、おまかせNISAは、2024年からの新NISAにも対応することになっています。新NISAでは非課税投資枠が大幅に引き上げられ、非課税期間も無期限になります。

2-2.ウェルスナビのデメリット

短期間で利益を狙うのには向かない

ウェルスナビは長期的な資産形成を目指すサービスであるため、短期間で大きな利益を狙うのには向きません。また、市場が下落した場合には、一時的に損失が発生する可能性があります。短期的な値動きにとらわれず、コツコツ資産を積み上げるのに適しています。

リバランスは半年に1回

市場の変動によって、ポートフォリオの資産割合が投資開始時に設定した割合とかけ離れたものになっていくことがあります。その割合を最適な状態に戻すことをリバランスといいます。

ウェルスナビでは、設定したポートフォリオと大きな乖離が生まれない限り、原則として半年に一度リバランスが行われます。後述するFOLIO ROBO PROでは毎月1回のリバランスが行われているため、この点はデメリットと言えるでしょう。

3.FOLIO ROBO PROの特徴

FOLIO ROBO PROはAlpacaJapan社が提供する、ETF(上場投資信託)を対象資産としたAI技術を個人向けに初解禁し、FOLIOのポートフォリオ最適化技術を融合させ、本格的に資産運用にAIを活用した「進化版ロボアドバイザー」です。

最大の特徴は、40種類以上のマーケットデータをAIが分析して将来を予測し、積極的に利益を狙う運用が行われる点です。また、各資産の配分比率は上限50%、下限を0%と設定することで、従前のロボアドバイザーとは異なる独自のポートフォリオ構築を行っています。

3-1.FOLIO ROBO PROのメリット

FOLIO ROBO PROには、以下のようなメリットがあります。

自動リバランスが優れている

FOLIO ROBO PROは、AIが市場予測をしながら原則月に1回ポートフォリオの資産配分を最適化します。これにより、常に効率的なポートフォリオの維持が可能です。実績面でも好パフォーマンスを継続しており、優れた運用アルゴリズムといえます。

下落局面に強い

FOLIO ROBO PROは、下落局面においても運用資産の損失を最低限にできます。これは、AIが危機を察知して下落幅を抑えるリバランスを行い、状況を見極めながら積極運用に変更するためです。

例えば、2022年上半期の金融市場は、米国株をはじめとする株式の大幅な下落や記録的な円安、高インフレなどが向かい風となっていましたが、2022年1月1日〜6月30日におけるROBO PROのパフォーマンスは以下のグラフのように+0.95%と好成績を残しています。

※画像引用:株式会社FOLIO「ROBO PRO 2022年上半期レポート

3-2.FOLIO ROBO PROのデメリット

FOLIO ROBO PROのデメリットは、最低投資金額が高いこととNISAに対応していないことです。

最低投資金額が高い

FOLIO ROBO PROは、最低投資金額が10万円と他のロボアドバイザーよりも高めに設定されています。ウェルスナビを始めとする投資一任型のロボアドバイザーの多くは、最低投資金額が1万円からです。

元手が多いほうがより多くの運用益を期待できますが、少額から始めたい人にはデメリットになるでしょう。

NISAに対応していない

FOLIO ROBO PROは、NISA(少額投資非課税制度)に対応しておらず、運用益には通常の株式投資と同様に20.315%の税金がかかります。

4.ウェルスナビとFOLIO ROBO PROの比較

ここでは、手数料や最低投資金額、運用の手法や運用実績などの観点から、ウェルスナビとFOLIO ROBO PROを比較してみましょう。

4-1.手数料の比較

ウェルスナビとFOLIO ROBO PROの手数料は以下のとおりです。

  • ウェルスナビ:年率1.1%(税込)
  • FOLIO ROBO PRO:年率1.1%(税込)

ウェルスナビもFOLIO ROBO PROも3,000万円を超える部分は年率0.55%(税込)になります。

基本の手数料率は両者同じですが、ウェルスナビには長期割があります。

ウェルスナビの長期割

長期割とは、長期割の判定をする時点での総入金額から総出金額を引いた金額(長期割判定額)が50万円以上ある人が受けられる優遇です。続けた期間と運用金額に応じ、6カ月ごとに手数料の割引が拡大する仕組みです。

長期割の手数料の割引幅は、以下のとおりです。

  • 長期割判定額50万円以上200万円未満:0.01%(年率)
  • 長期割判定額200万円以上:0.02%(年率)

4-2.最低投資金額の比較

ウェルスナビの最低投資金額は1万円で、FOLIO ROBO PROの最低投資金額は10万円です。したがって、ウェルスナビはFOLIO ROBO PROよりも少ない金額から始められるというメリットがあります。

4-3.運用の手法の比較

ウェルスナビとFOLIO ROBO PROにはそれぞれ独自の運用手法があります。

ウェルスナビの運用手法

ウェルスナビは、ハリー・マーコウィッツ氏が提唱した現代ポートフォリオ理論に基づいて、リスクとリターンのバランスを最適化するポートフォリオを提案します。ユーザーのリスク許容度別に5つの最適ポートフォリオを用意し、選択できる仕組みです。

効率のよい分散投資のために以下のような7つの資産グループを投資対象とし、運用ではETFを用いています。

  • 米国株
  • 日欧株
  • 新興国株
  • 米国債券
  • 物価連動債
  • 不動産

FOLIO ROBO PROの運用手法

一方、FOLIO ROBO PROは精緻なマーケット予測のために、金融市場や経済状況の先読みに役立つ40以上のマーケットデータをAIで分析します。それにより、景気動向に合わせた資産配分の変更、相場の危機を予測、金融市場の変化に対応が可能です。

実際の運用では、以下の投資対象の8種類のETFを用いています。

  • 米国株
  • 先進国株
  • 新興国株
  • 米国債
  • 新興国債
  • ハイイールド債
  • 不動産

4-4.運用実績の比較

ウェルスナビは運用開始が2016年1月から、FOLIO ROBO PROは2020年1月からです。各サービスにおける2023年6月末時点の評価額を基準にした騰落率は以下のとおりです。

ウェルスナビ

リスク許容度 過去3カ月 過去6カ月 過去1年 サービス開始から
5 +13.0% +17.8% +15.9% +115.7%
4 +12.8% +17.6% +15.4% +109.1%
3 +12.3% +16.5% +13.6% +93.2%
2 +10.9% +14.4% +10.5% +77.6%
1 +9.0% +11.7% +6.5% +56.8%

※2023年6月末時点の評価額を基準

FOLIO ROBO PRO

過去1カ月 過去3カ月 過去6カ月 サービス開始から
ROBO PRO +5.05% +7.92% +14.58% +55.19%

※2023年6月末時点の評価額を基準

過去半年の運用実績を比較すると、FOLIO ROBO PROはウェルスナビのリスク許容度1~2と同水準のパフォーマンスであることが分かります。一方でFOLIO ROBO PROのサービス開始からの実績は55.19%と高い水準に達しており、長期的に見るとウェルスナビのリスク許容度4~5の騰落率と近い値になっています。

これは、FOLIO ROBO PROは市場に合わせて毎月ごとのリバランスを行っていることが要因と考えられます。FOLIO ROBO PROによると、2023年3月下旬のリバランス以降、米国株式を保有せず、新興国株式、米国債券、金の3つの資産のみを保有するポートフォリオが続いているとし、低リスク資産を中心に運用していることが報告されています。(※参照:「ROBOPRO 2023年6月実績」)

一方、ウェルスナビではリバランスのタイミングが半年に1回です。なお、選択したポートフォリオと最適ポートフォリオの配分比率を資産クラスごとに比較し、5%以上乖離している資産クラスがあった場合は、前倒しで行われます。(※評価額の合計が50万円未満の場合は、前倒しでのリバランスは行われない)

小まめなリバランスにより市場動向に合わせた運用が可能であるという点はFOLIO ROBO PROの強みと言えるでしょう。一方、ウェルスナビはリバランスの頻度は半年に1回となりますが、リスク許容度を自身で選択することができるという点がメリットです。

5.ウェルスナビとFOLIO ROBO PRO、どちらを選べばいい?

ここまでご紹介したように、ウェルスナビとFOLIO ROBO PROにはそれぞれメリット・デメリットがあります。どちらを選んだらよいのか、ポイントごとに整理してみましょう。

5-1.ウェルスナビが向いている人

ウェルスナビとFOLIO ROBO PROを比較して、ウェルスナビのほうが向いているのは以下のような人です。

  • 着実に資産形成をしたい人
  • 自分のリスク許容度に合わせた資産運用をしたい人
  • ロボアドバイザーでNISAも利用したい人

5-2.FOLIO ROBO PROが向いている人

一方、FOLIO ROBO PROが適しているのは以下のような人です

  • AI投資で高い運用実績を追求したい人
  • 下落相場でもリバランスによって低リスク運用をしたい人

まとめ

ウェルスナビはリスク許容度に合わせた運用が期待できる点、NISAに対応している点はメリットです。一方、FOLIO ROBO PROはAIによる高度な投資分析を行い、小まめな資産のリバランスを行っている点や高い実績を出している点は大きな魅力といえます。

ウェルスナビとFOLIO ROBO PROにはそれぞれに魅力があり、どちらを選んでも資産形成に役立てる投資サービスです。ただし、元本を棄損してしまうリスクもあるため、まずは少額資金で投資を始めたりするなど、慎重に投資判断を行うことも大切なポイントです。

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