米国CPIは強弱混在。ドル円の介入警戒水準は?プロトレーダーが解説【2023年9月】
2023年9月現在、アメリカのCPIが発表されました。CPIは消費者物価指数を指し、インフレ動向をチェックできる指標です。FRBはインフレ動向を注視しており、CPIは利上げ見通しを占う上で重要な指標です。
本稿ではプロトレーダーの筆者がアメリカのCPIや日銀の動向、ドル円のFX戦略を解説します。チャートを使ってCPIを受けた市場の反応も解説しますので、参考にしてみてください。
※本記事は2023年9月18日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
1.米国CPIの結果
最初に米国CPIの数字から見ていきましょう。
結果 | 予想 | 前月 | |
---|---|---|---|
総合CPI(前月比) | +0.6% | +0.6% | +0.2% |
総合CPI(前年同月比) | +3.7% | +3.6% | +3.2% |
コアCPI(前月比) | +0.3% | +0.2% | +0.2% |
コアCPI(前年同月比) | +4.3% | +4.3% | +4.7% |
総合CPIは予想通りではあるものの、2023年8月から伸び率が大幅に上昇しています。前年同月比でも予想以上の数字となり、また前月から上昇しました。
一方でコアCPIを見ると前月比では上昇しているものの、前年同月比では前月の数字から低下しており、コアCPIの低下幅と総合CPIの大幅上昇という逆の結果となっています。
足元進んでいるエネルギー価格の上昇から、ガソリン価格が上昇したことが、総合CPIの伸び率が拡大した背景となっています。前月から上昇した半分程度の要因がガソリン価格の上昇によるものです。
コアCPIはある程度低下していることから、インフレが継続しているというよりは抑制方向に向かっている可能性が高いと言えます。しかしFRBが気にしているスーパーコアが低下する動きが見られていないため、強弱混在という内容となりました。
インフレ退治は完了しておらず、9月のFOMCも据え置きの可能性は高いものの、将来的な利上げの可能性には含みを持たせると想定されています。
2.CPIを受けた市場の動き
※図はTradingViewより筆者作成
アメリカのCPIを受けた市場の反応は上記のチャートの丸印の通り限定的な動きとなりました。指標自体は強弱混在となっていることもあり、米国債金利は低下で反応したもののドル安が進行することはなく、ドル円も147円台半ばで小動きとなっています。
また株式市場でも大きな変動はなく、寄り付きで上昇するような動きを見せましたが、引けにかけて下落しており、CPIによる反応は限定的でした。
3.ドル円の市場環境
※図はTradingViewより筆者作成
次にドル円の市場環境を確認していきましょう。チャートを確認すると、2022年の高値である、152円手前の水準が視野に入ってくる動きとなっています。短期的には、148円を突破するかどうかがポイントです。
最近では鈴木財務相の口先介入での円安牽制発言や、読売新聞がリークを行った日銀植田総裁の金融政策の変更の可能性を指摘した記事等から円売りで攻めにくい地合いとなっているような状況となっており上昇幅は緩やかになっているものの、トレンドは上昇トレンドが継続していると考えた方がいいでしょう。
参考:ブルームバーグ「円安阻止で介入選択肢に鈴木財務相が言及、レートチェックも実施」
参考:ロイター「アングル:植田総裁発言で市場動揺、政治と日銀の役割変化の思惑も」
チャートには目立った節目がなく上昇に乗っている投資家がいる一方で、そろそろ為替介入等含めて円安を止めに入るのではないかという不安が上昇の強さを緩めており、ショートで攻める環境ではないでしょう。
日本国債の10年金利をみても読売新聞の報道以降、0.70%を突破して0.72%まで上昇するような動きを見せました。以前黒田総裁の時には10年金利の上限を025%から0.50%まで引き上げた時には急激な円高が発生しましたが、今回上限金利を1.00%まで引き上げても特に反応はなく、現在金利が上昇しても円高とは紐づいていません。
日米金利差は縮小していないことから中長期的にドル円のショートポジションを保有することは難しく、ドル円の下落はなかなか発生していません。
4.ドル円の動向を考えていく重要なポイント
4-1.アメリカのFRBのスタンス
ドル円の動向を考える上では、FRBの金融政策の動向がポイントになります。FRBは、インフレが再加速すれば利上げを行うとのスタンスです。一方でインフレ水準は、このまま高止まりする可能性があります。
引用:CME「FedWatch Tool」
利上げ織り込み度合いを確認すると、2024年5月まで金利は据え置くと予想されており、11月の利上げ確率は高まってきているものの、まだ30%程度の織り込みとなっています。利上げ見通しが引き上がれば、年末までドル高の地合いが継続する可能性が出てくるでしょう。
4-2.日銀の政策スタンス
ドル円は、アメリカの要因ではなく日本の要因が大きいと考えられます。先進国で唯一継続しているマイナス金利の脱却がいつ行われるのか、日銀の金融政策は世界中の投資家から注目されています。
日銀は緩和策を継続するスタンスを取っているものの、ニュアンスが若干変化してきています。日本でもインフレがなかなか止まらない中で、円安がインフレに波及しており、日銀は円安を無視できない状況です。
読売新聞の記事から、2023年年末あたりから2024年初旬に一部金融政策を変更するのではとの予想も出ています。しかし日銀は、植田総裁のコメントが金融政策を早める意図ではないと示唆したため、円売りがしやすい相場となりました。
為替介入の水準は150円あたりとの見方が強く、149円を超えてくると介入警戒感が広がるでしょう。
5.まとめ
本記事ではCPIの動向から今後のドル円動向について、プロトレーダーの筆者が解説しました。ドル円は150円が視野に入る水準ではあるものの、為替介入や、日銀の金融政策が急激に変化する可能性があるため、少し神経質な展開が継続しそうです。
2023年9月はFOMCがあるため、今後はパウエル議長の発言と下旬の日銀政策会合が焦点となるでしょう。
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