23年の中古住宅買取再販の成約戸数は前年比2.4%増、今後も拡大を予想。矢野経済研究所

株式会社矢野経済研究所は10月5日、国内の中古住宅買取再販市場の調査結果を発表した。不動産会社などが一旦購入し、リフォーム・リノベーションした後に販売する中古住宅買取再販は年々拡大しており、同社は2022年の中古住宅買取再販市場規模(中古戸建および中古マンションの買取再販戸数の合計)は成約戸数ベースで前年比5.1%増の4万1000戸と推計。市場は拡大傾向にある。

調査は2023年7月から9月にかけ、中古住宅買取再販事業者などを対象に実施、市場の現況、参入企業の動向、および将来展望を分析した。市場拡大の主な要因について、同社は中古住宅の需要増を挙げている。「新築分譲マンションの価格は高騰・高止まりしており、新築と比較して相対的に割安な中古住宅の需要が増えている。なかでも、買取再販物件は、リフォーム・リノベーションが施され、新築同様に入居できるため人気を博している」と見る。

主な中古住宅買取再販事業者の業績は、ここ数年総じて好調だ。特に22年末までの販売状況は極めて好調で、理由としては、新築住宅価格の高止まりにより相対的に割安な中古住宅に対する需要増に加え、コロナ禍での在宅時間の長期化に伴う住宅取得ニーズの増加が挙げられた。

同社は、23年の中古住宅買取再販市場規模は前年比2.4%増の4万2千戸を予測している。今後も市場は拡大基調で推移する見込みで、30年の中古住宅買取再販市場は22年比22%増の5万戸と見込む。主な要因としては、住宅ローン金利については先高観があるものの、それでも低金利を前提とした緩やかな上昇が見込まれることや、住宅取得時の税制優遇措置の継続など、良好な住宅取得環境が継続する見通しであるといった外部環境を挙げる。

また、需給面について「割安で新築同様の住まいが実現する買取再販物件への需要は堅調に増加する見込みであるほか、築年数の経過とともにリフォーム・リノベーションを必要とする住宅ストック数は間違いなく増加し、それに伴い、買取再販物件の供給は必然的に増加していく」ことも市場拡大の要因とした。

さらに、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)経営といった観点も加える。中古住宅買取再販事業者にとって、良質な住宅ストックの流通を促進し、循環型社会の実現に資する買取再販ビジネスは「取り組むに足るインセンティブがある」とし、消費者にとっても中古住宅を積極的に選択しようという機運が高まっていけば「市場拡大の追い風となる」と予想している。

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