ステーキング収益でReFiプロジェクトの支援ができる「Spirals Protocol」とは?
目次
Spirals Protocolとは?
「Spirals Protocol」は、気候変動に対策するweb3プロジェクト(ReFiプロジェクト)に資金を提供するためのインフラストラクチャです。独自のトークンを中心としたエコシステムによって、普段通りのDappsを利用しながら、気候変動対策プロジェクトへの資金提供を可能にします。
具体的には、ETHやUSDCなどをSpirals Protocol上にステーキングすると、そのステーキング収益が提携している気候変動プロジェクトへの支援として利用されます。トークンを預け入れたユーザーはステーキングした資金と1対1の割合のグリーントークンが発行されます。
このトークン「グリーントークン」はERC-20で発行され、他のDeFiやDapps等で利用することができます。
少しややこしいので、流れを解説します。
- 1ETHをSpirals Protocol上にステーキング
- 1ETHと同等の価値を持つグリーントークン「1gETH」が発行
- 「1gETH」はERC-20規格で発行されているので、送金やDeFi上での利用も可能、ステーキング資金の引き出しも可能
- ステーキングした1ETHのステーキング収益は気候変動プロジェクトへの支援に利用される
これは寄付をするのではなく、ステーキング収益を活用して気候変動プロジェクトを金銭的に支援できるという仕組みです。一見すると1ETHを預け入れてもステーキング報酬を獲得できないのでユーザーに金銭的なインセンティブがないように感じるかもしれませんが、2つのメリットが存在します。
- 自身にマイナスがない形で気候変動プロジェクトへ支援ができる
- ステーキング資産と1対1で発行されるグリーントークンはDeFiで運用できる
前者は確かにステーキング報酬は獲得できないかもしれませんが、預け入れた資産がマイナスになるわけではないので、寄付とは違う形で資金援助ができます。これはこれまでにない画期的な資金援助の仕組みと言えます。また、グリーントークンを保有すること自体が気候変動にコミットしている証となるので、カーボンクレジットのように自社事業やプロジェクト、個人のブランディングにも貢献します。
また、直接的に資産をステーキングできるわけではありませんが、預け入れた資産と1対1の価値を持って発行されるグリーントークンはDeFiで運用することができます。また、関連Dapps上で利用することも可能です。例えば、決済アプリの Kaala Payでの送金が可能になったり、NFTマーケットプレイスであるSenkenで利用できるなど、連携Dappsで利用できます。
加えて、「Spirals Protocol」はSDKとしても提供しており、自社DappsやProtocolにグリーントークンの仕組みや手数料の一部が気候変動プロジェクトへ支援される仕組みを実装することも可能です。
現在は、Celo、Polygon、Ethereumで稼働しており、その他のチェーンにも今後対応予定とのことです。
支援プロジェクトの概要
「Spirals Protocol」は気候変動プロジェクトと連携しており、それらのプロジェクトに金銭的な支援を行っています。
この掲載には以下のステップが存在し、誰でも申請はできますが、適切な監査が入るようになっています。
- フォーム記入しプロジェクトを提案
- コアチームによる承認
- Spiralsに掲載、ユーザーからの資金提供
- 専門家からなる気候評議会による承認
- コミュニティからの資金提供
ポイントは「3と5が分かれている点」と4のプロセスにある「気候評議会の存在」です。
実は「Spirals Protocol」には掲載されるステップと、コミュニティからの資金提供が受けられるステップの2種類が存在します。これは「Spirals Protocol」には「プロジェクトを直接支援」するのと「ステーキングして支援」する2種類があることを意味します。
上記の解説ではステーキング収益をプロジェクトに支援する側面を紹介し、それこそが「Spirals Protocol」の最大の特徴ですが、ユーザーは掲載されているプロジェクトを直接支援することも可能です。
この直接支援ができる状態がステップ3の「Spiralsに掲載、ユーザーからの資金提供」であり、ここにはSpiralsのコアチームからの承認を受けることで実現します。(将来的にはコミュニティの承認で掲載ができるようになるとのことです。)
しかし、ステーキングされた資金の提供を受けるにはステップ4の「気候評議会の承認」を受ける必要があります。気候評議会は気候危機を総合的に理解する多分野の専門家からなる委員会であり、その専門家集団によるレビューを受けてコミュニティからの資金提供が実施されます。尚、一度承認を受けた後も継続的なレビューは受け続けます。
事象ではなく原因に焦点を当てるアプローチ
最後に「Spirals Protocol」の設立背景と根底にある思想を紹介します。「Spirals Protocol」のドキュメントやブログの中によく出てくる単語は「再生可能な未来へ向けたインセンティブ調整」であり、「具体的な事象ではなく、原因にアプローチする」という姿勢です。
昨今の資本主義では気候変動や環境問題に対応する金銭的なインセンティブがありません。この問題を解決するには、個別の干ばつ、洪水、不作、山火事などの事象に対応するのではなく、それら全てが巻き起こる原因に注目する必要があるという考えです。これはまさにReFiの思想そのものです。
「Spirals Protocol」は自然資産をトークン化して金融資産にすることで、これまでの資本主義の仕組みを変革し、再生可能な経済を実現することを目指しています。
簡単に言えば、資本主義は商品の利潤を最大化することが唯一の正解です。そのためには商品をできる限り高く販売し、できる限り安く生産することが求められます。その生産プロセスにおける”原価”に自然の破壊や再生に関する費用が入っていないことが問題だと考えています。
どれだけ環境破壊をしても生産コストが安くなれば原価が安くなるのが現在です。しかし、例えば生産中のCO2排出量も商品原価に加わる世界になれば、環境に配慮した上で利潤を最大化することが正解になるので、新しいルールの資本主義となります。
そのためには、自然資産をトークン化して値段がつくように見える化する必要があり、ブロックチェーンは非常に相性が良い技術であるため、「Spirals Protocol」は全てのReFiプロジェクトを支援できるようなポジションでプロトコルを構築しています。
「プログラマブル・マネーを使えば、文字通り、自分の価値観をお金にプログラムすることができる」
これは「Spirals Protocol」発表のブログの最後に書かれている言葉です。ブロックチェーンを活用した経済圏では、自身の価値観を反映した通貨を利用することができます。環境問題や気候変動への興味関心が強い人々が「Spirals Protocol」を通してReFiプロジェクトを応援することで、徐々に世の中が再生資本主義へ変化していくかもしれません。
以上、「Spirals Protocol」の概要について解説してきました。筆者としてもReFi領域に強い興味関心がありながらも、どうやってサポートすれば良いかを考えている1人でした。その中で全てのReFiエコシステムへサポートができるエコシステムの創出は非常にありがたいことであり、求められているプロトコルだと感じました。この仕組みはまさにブロックチェーンを活用しなければできないことであり、ReFiならではのソリューションだと感じました。自身でも利用しながらより今後の発展も追いかけていきたいと思います。
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