TCFD、最終報告書で「さらなる進展が必要」と提言。5項目以上開示の企業数は58%も、全11項目の開示企業は4%

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」は10月12日、第6回目(2022年度)となる最終報告書を発表した。同タスクフォースが推奨する11項目の情報開示のうち、企業は平均5.3項目を報告しており、20年の平均3.2項目から増加した。情報開示のレベルは向上しているが、推奨される11項目の情報開示にはまだ達しておらず、TCFDは企業が情報開示を着実に前進させていると評価する一方、さらなる進展が必要と提言している。

金融安定理事会(FSB)によって2015年に設立されたTCFDは、本報告書の発表をもって解散することも示唆した。

報告では、推奨されている11項目の開示のうち、5項目以上を開示している企業数は58%で、20年の18%から3倍近く増加した。財務報告書よりもサステナビリティ報告書や年次報告書で開示される可能性が平均で4倍以上になった。

資産運用で最大手企業の80%以上、資産保有最大手企業の50%が、推奨される11項目の開示のうち少なくとも1つに沿って報告している。一般公開されている報告書のレビューによると、資産運用会社上位50社のうち70%近く、また資産保有機関上位50社のうち36%が、推奨される開示のうち少なくとも5項目に沿った開示を行っていた。一方、11項目すべてを開示している企業は4%に止まった。

TCFDの提言は、主要な気候関連開示制度間の一貫性を高めるのに役立っている。例えば、19年までに、複数の主要な気候変動開示制度が、TCFDの提言を要求事項やガイダンスに取り入れた。さらに、米国証券取引委員会、英国議会、欧州委員会、ISSBなど、複数の政府、規制当局、基準設定主体は、気候関連の報告要件や基準を策定する際にTCFDの提言を取り入れたり参考にしたりしている。

任務が終了することを受け、TCFDは適切な機関に対して実施、または進捗すべき活動として①気候変動に関する最新の国際合意に沿った気候関連シナリオなど、さまざまな気候関連シナリオの下での企業戦略のレジリエンスに関する情報開示の重要性を引き続き強調する②ISSB基準と地域別・管轄区域別の枠組みとの相互運用性を確保し、管轄区域間で一貫性のある企業報告を支援して報告の重複を回避する③気候関連の物理的リスク評価や適応計画、セクターや業種レベルでの気候関連シナリオ分析、セクターや業種レベルでのスコープ3のGHG排出量測定などのトピックに関する実施ガイダンスを策定する④生物多様性、水問題、社会問題など、他のサステナビリティに関するトピックについて情報開示に焦点を当て、気候変動とその他のサステナビリティ問題との連携を検討する⑤国による一貫した開示が、企業が気候変動に関連する包括的な財務開示を準備する際の支援となることから、国やその他の主権主体が利用するための気候変動に関連する財務開示の枠組みを策定する――の5項目を挙げた。

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