分散型の位置情報ベースのDappsやスマコンの作成基盤を作る「Astral」とは?

目次

  1. Astralとは?
  2. Astralの具体的なプロジェクト
    2-1. 地理空間非代替トークン (GeoNFT)
    2-2. 空間データレジストリ
    2-3. Geohash
    2-4. Sprout
    2-5. Geolocker
    2-6. Hyperaware
  3. 展望と考察

Astralとは?

「Astral」は分散型の位置情報ベースのDappsやスマートコントラクトを作成する基盤を構築することを目的としたプロジェクトです。

ドローンや衛星などで空間データを収集し、それらのオフチェーンデータをオンチェーンに載せるオラクルを開発し、IPFSに保存します。そうすることでリアルな位置データは空間データを分散型で保存することができます。また、それらを活用したDapps構築が可能となります。この技術は、環境問題に対処するReFiへの活用や、政治、物流、メタバース等への利用も期待されています。

ではその詳細を解説していきますが、Astralは2021年に数人の開発者が集まって創立された開発チームです。その1人はToucanの共同創設者でもあるJohn Hoopes氏です。よって、1つの特定のプロダクトを開発するプロジェクトではなく、大きな目標に向かって仮説研究を繰り返すR&D機関(研究機関)というイメージの方が近いです。ここからその事例を幾つか紹介していきますが、まだ研究過程であり現在は利用されていない事例も含みますので、ご注意ください。

研究を経てのAstralの主な目的は2つです。

  1. 位置ベースのDappsの構築を容易にすること
  2. web3に適した空間データのストレージシステムを作成すること(検証可能、検閲不可能)

では、具体的なプロジェクトを見ていきます。

Astralの具体的なプロジェクト

地理空間非代替トークン (GeoNFT)

GeoNFT は、位置を含む何らかの物理的特徴を表すNFTです。ERC-721の拡張バージョンとして実装されており、これには地理空間位置と生態学的インデックス(領域の迅速な評価を提供する計算された指標またはスコアの一種)が含まれます。

GeoNFTは、土地などの生態資産のデジタルツインと見なされ、その資産に関連して現実世界で何が起こっているかに関する関連データが含まれています。このGeoNFTを元にしたReFiプロジェクトやメタバース展開が考えられます。

空間データレジストリ

空間データ レジストリは、地理空間の検索を容易にするために空間データを整理および保存する方法です。これは、GeoNFTによって生成されたトークンを検索することに役立ちます。これは、温室効果ガス排出量を隠蔽してカーボン・オフセットを誇張することなど、環境資産の生産をごまかそうとする取り組みを防ぐのに役立ちます。

Geohash

Geohashは、地理座標を文字列としてエンコードする方法です。これはアルファベットと数字を使い位置情報に名前をつけます。Solidityは座標等の浮動小数点データ(小数点を含む数字を二進数で表したもの)に対応していないため、Geohashの文字と数字だけの組み合わせによって位置情報データの取り扱いをサポートすることができます。

Sprout

参照:Sprout

Sproutは、Solidityのサステナビリティ関連債券であり、イーサリアム上での社債や国債の発行と返済を可能にします。例えば、ロンドンの大気汚染を解決するための国債を発行するなど、環境問題などに紐づいた債券の発行の際に利用されます。

ブロックチェーンを活用することで債券の発行と管理コストを大幅に削減できます。そして、Sproutは分散型オラクルを活用して毎年計算され提出される大気質の測定値と返済額を関連付けることが可能です。よって、低コストで環境問題に対する債券の発行が可能となります。

Geolocker

参照:Geolocker

GeolockerはイーサリアムとIPFS上に構築された空間データレジストリです。これは個人、政府や企業などの組織が、ポリシーゾーンに関する位置データを自律的かつ透過的に利用できるようなシステムです。これは主に政府と自動運転車メーカーの間の橋渡しとして機能するように設計されており、共通の分散型データベースがあることで、政府が空間データ(たとえば、新しい空港が建設されると変化する)を自国の領土内のすべての自動運転車にプッシュする際などに利用できます。

Hyperaware

Hyperawareは接続されたデバイスとそのデータを物理的な位置に基づいて管理するための分散型アプリケーションです。Geolockerをより大規模に展開するために構築されました。ドローンや自動車にデバイスを設置し、そこから収集されたデータを分散型で安全に保管します。そして、それらを利用したDappsの構築を可能にします。デモ実験では自動車と連携して実施されましたが、ドローンへの活用や海運への利用も期待されています。

参照:Hyperaware

展望と考察

以上、Astralの具体的な実験を幾つかご紹介しました。説明が難しい部分もあったかもしれませんが、まずは位置情報ベースのDapps構築のために活動しているプロジェクトと理解すれば大丈夫です。

Astralは政治など国家も利用できるものですが、位置情報や空間データがリアルタイムでオラクルを通じてweb3の世界に繋げられるようになると、そこを起点としたカーボンクレジットの生成、融資や投資の実行などが可能になります。現在のカーボンクレジットの作成は多くの場合、非常に時間がかかりますが、Astralの構想が実現すれば、1日単位でカーボンクレジットの測定が可能となり、毎日トークンが発行されるということが実現するかもしれません。

また、カーボンクレジットや融資をメタバースと連動したデジタルツインNFTとすれば、環境保全が進むことでそのNFTの見た目が綺麗になっていく、ということが実現できます。例えば、企業がメタバース上に出展したお店の周りにそれらのNFTを購入することで、カーボンニュートラルへのコミットがメタバース上でのブランディングにも活用できるようになるので、さらに購入のインセンティブが高まります。

もちろんAstralの技術はReFiだけに留まりませんが、環境と紐づいたReFiでは位置情報や空間情報をweb3をオラクルで繋げることは必須となりますので、非常に親和性が高いと言えます。今後もAstralのプロジェクトには注目していきます!

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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