バイデン政権、低炭素材料を用いたクリーンな建設プロジェクトに3,000億円拠出。気候変動、イノベーション、雇用創出の取り組み推進

米国連邦政府の一般調達庁(GSA)は11月6日、低炭素の建材や材料を使用する建設プロジェクトに20億ドル(約3,000億円)を拠出すると発表した(*1)。バイデン大統領が掲げる「米国への投資(Investing in America)」アジェンダの一環として、気候危機への取り組み、イノベーションの創出、高賃金の雇用を推進する。

GSAは、資材調達から解体・廃棄までの二酸化炭素(CO2)排出量(体化排出、エンボディドカーボン)が少ない、よりクリーンな建設資材を使用する150件以上の建設プロジェクトへの拠出を決めた。これは「連邦バイ・クリーン・イニシアチブ」を推し進めるものだ。バイデン政権にとっては初めて、生産、使用、廃棄に伴う温室効果ガス(GHG)排出量の少ないアスファルト、コンクリート、ガラス、鉄鋼の購入を優先することになる。

この資金を活用し、39州、コロンビア特別区、プエルトリコ自治連邦区のプロジェクトを支援し、米国製の低炭素アスファルト、コンクリート、ガラス、鉄鋼市場の活性化を図る。拠出先の内訳は、アスファルトに3億8,400万ドル、コンクリートに7億6,700万ドル、ガラスに4億6,400万ドル、鉄鋼に3億8,800万ドルとなる。

アスファルト、コンクリート、ガラス、鉄鋼は、最も炭素集約的な建設資材であり、米国製造業のGHG排出量のほぼ半分を占める。政府がインフラ投資のために購入し、資金を提供する建材の98%を占めてもいる。エンボディドカーボンが少ない材料への需要を高めることに繋がるこれらの投資を通じ、アメリカの産業基盤を強化すると共に、技術革新を促進し、次世代素材を生産する産業における雇用の成長を促す狙いがある。

GSAは、建物のエネルギー使用量を削減し、耐用年数を延ばすために、窓とドアを耐爆アルミフレームと断熱且つエンボディドカーボンが少ないガラスへの切り替えを進める。コンクリート舗装の歩道と駐車場は、エンボディドカーボンが少ないコンクリートに改修することで、劣化を防ぎ、つまずきの危険性をなくし、アクセシビリティを向上させる。このプロジェクトは今年度中に設計し、2025年に工事を行う予定である。

ニューヨークの歴史的建造物であるアレクサンダー・ハミルトン合衆国税関から、シアトルのヘンリー・M・ジャクソン連邦ビル、南北国境にまたがる陸路入国港に至るまで、窓の取り換え、構造体の補修、耐震補強など様々な投資が行う。このプロジェクトを通じ、最大41,000トンのGHGを削減し、年間6,000人以上の雇用が創出されると試算されている。

バイデン政権は45年までに連邦政府の建物を、50年までに調達のネットゼロ化を目指す。低炭素の建材や材料を使用する建設プロジェクトへの投資は、バイデン大統領が掲げる連邦政府のサステナビリティ目標達成に向けた新たな一歩となる。

【参照記事】*1 U.S. General Services Administration「Biden-Harris Administration announces $2 billion for cleaner construction projects to tackle the climate crisis, spur American innovation, and create good-paying jobs as part of Investing in America agenda

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