新築木造アパートへの投資と中古アパート投資・マンション投資との違いを比較、新築アパート会社も
アパートへの投資を考えたときに、新築物件か中古物件のどちらに投資をするべきか悩むポイント方も多いのではないでしょうか。「アパートに投資する」というのは同じでも、新築物件と中古物件ではそれぞれに特徴があり、明確な違いがあります。
そこで今回のコラムでは、新築物件と中古物件の違いを比較して解説します。また、新築の木造アパートを提供している2社も紹介します。
目次
- アパートを取得する方法とは
- 新築アパートと中古アパートの比較
2-1.新築と中古の「費用」の比較
2-2.新築と中古の「利回り」の比較
2-3.新築と中古の「保証」の比較
2-4.新築と中古の「設備・仕様」の比較
2-5.新築と中古の「修繕費」の比較
2-6.新築と中古の「リスク」の比較
2-7.新築と中古の「融資」の比較 - 土地の選定や管理に強い新築アパート会社2社を見る
3-1.シノケンプロデュース
3-2.アイケンジャパン - まとめ
1 アパートを取得する方法とは
アパートに投資するには物件を取得する必要がありますが、その代表的な方法は次の5つがあります。
- 所有している土地にアパートを建築する
- 新たに土地を購入し、アパートを建築する
- これから建てる予定のアパートを購入する
- すでに建てられているが、誰も経営をしていないアパートを購入する
- 他の所有者が経営しているアパートを購入する
不動産業界において、新築物件と中古物件には明確に違いがあります。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)の第二条2で、「新築」を下記のように定義しているからです。
この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。
※引用:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」
つまり、新しく建てられてから1年未満であり未入居であれば、新築と表記していいとしています。そのため、上記のアパートを取得する方法のうち、①〜④までは新築物件、⑤は中古物件ということになります。
アパートを取得するという行為は同じですが、新築物件と中古物件では取得する方法が違うことがわかります。またそのほかにもさまざまな違いがありますので、次の項目で比較しながら確認していきましょう。
2 新築アパートと中古アパートの比較
下記の表は、アパート経営における新築物件と中古物件の違いについて相場や目安をまとめたものです。それぞれの項目について、比較して解説していきます。
項目 | 新築物件 | 中古物件 |
---|---|---|
費用 | 5,000万円〜1億円以上 | 1,000万円〜1億円 |
利回り | 4%〜8%未満 | 8%〜10%以上 |
保証 | 10年間 | 最長1年間 |
設備・仕様 | 新しい | 築年数に応じて古い |
修繕費 | 築後しばらく大きな修繕費はかからない | 築年数を重ねるごとにかかる |
リスク | おおむね低い | 空室や家賃下落、資産価値下落リスクなど |
融資 | 好条件で得られる可能性がある | 物件の状態による |
2-1 新築と中古の「費用」の比較
アパートの規模にもよりますが、新築物件の場合は建築費用と土地価格が含まれるため5,000万円以上というケースが大半を占めます。利便性の良好な立地で、さらにグレードの高い設備や仕様を導入している場合は1億円〜2億円というケースもあります。
対して中古物件の場合は、すでに建築されていているのに加えて、経年劣化があることも想定されるため、築年数に応じて販売価格は下落していきます。築30年以上になると建物の評価額はほとんどなくなり、土地価格前後で販売されているアパートも少なくありません。
ただしRC造の中古一棟マンションの場合は、経年劣化がしにくく、法定耐用年数も長いため、5,000万円〜2億円が物件代金の相場となっています。
2-2 新築と中古の「利回り」の比較
- 新築の木造アパート:表面利回り4%〜8%未満
- 中古の木造アパート:表面利回り8%~10%前後
新築物件は家賃を高めに設定しても、暮らしやすさなどから入居者を確保しやすいと考えられます。しかし、物件を購入する際の費用が高額になるため、表面利回りは低下します。
大都市圏と地方都市といったように地域性の違いもありますが、新築の木造アパートであれば表面利回りは4%〜8%未満が目安となるでしょう。
一方、中古物件の場合は築年数が経っているほど物件価格が低くなりやすく、表面利回りは高くなる傾向があります。地方都市では表面利回りが10%以上という物件も少なくなく、15%以上や20%以上という物件も見られます。
ただし、表面利回りが高いのには経年劣化が進んでいる、入居率が低いといった理由があり、単純に表面利回りを比較するだけではなく、購入後の入居率を想定することが必要です。高い利回りであっても、10年後や20年後も同じ利回りが続くかどうか、競合物件の状況や家賃相場などから適切に判断するようにしましょう。
2-3 新築と中古の「保証」の比較
アパートを購入した際の法的な保証は、新築物件の場合は10年間、中古物件の場合は最長でも1年間となっており、大きな違いがあります。
新築物件の場合は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって売主に10年間の保証責任(瑕疵担保責任)があります。例えば、設計や施工のミスによって欠陥(瑕疵)があると、補修工事を行うなどの対応をするよう売主に義務付けられています。
対して中古物件の場合は、民法上の契約不適合責任が売主にあり、下記の権利のもと買主が売主に対応を求めることができます。
権利 | 内容 |
---|---|
追完請求 | 代わりのものを提供するか、修理するなどで契約内容を満たすことを求める権利(例えば、雨戸の鍵が壊れていたケースでは、鍵の交換などで対応する) |
代金減額請求 | 欠陥があって追完請求をしても売主が修理をしない時、あるいは修理ができない場合に買主が売主に代金の減額を求める権利 |
催告解除 | 追完請求をしても売主が修理をしない場合に、買主が契約を解除できる権利 |
無催告解除 | 追完請求をしても売主が修理をしないと想定される場合に、買主が契約を解除できる権利 |
損害賠償請求 | 売主に過失があった場合に、買主に認められている損害賠償請求の権利 |
ただし、売主が契約不適合責任を負う期間は、買主が契約不適合(瑕疵)を知った時から1年間です。
また個人間売買の場合、契約不適合責任を軽減あるいは免除する特例を設けることができ、「売主の契約不適合責任は免責」「契約不適合責任を負う期間は引き渡しから3カ月以内」といった条件が付随している物件もあります。つまり中古物件の場合は、最長で1年間の保証期間となっており、保証が何もないケースもあるのです。
2-4 新築と中古の「設備・仕様」の比較
入居者の快適性や住み心地に関わる設備・仕様も、新築物件と中古物件では違いがあります。新築物件であれば、最新型あるいは型落ちのものでも2〜3年前の設備機器が使用されていると考えられます。
一方、中古物件は新しいものに交換をしていなければ、建てた際に取り付けた設備機器を使用していることになります。例えば、築20年の物件であれば、設備機器はそれ以上古い型となります。
設備機器の型が古いと性能が劣るだけではなく、省エネ基準達成率が低かったり、操作性が悪かったりし、入居者の快適性に悪影響を及ぼすことが考えられます。また、交換や修理の必要性も高く、修繕費の増加につながってしまう可能性もあります。
2-5 新築と中古の「修繕費」の比較
新築物件の優位性の一つとして挙げられるのが、修繕費があまりかからないことです。建てたばかりのアパートがすぐに壊れたり、設備機器が使えなくなったりということは考えにくいものです。また、10年間の保証もあるため、修繕が必要でも売主負担(保険)で賄える可能性も高いと想定できます。
反対に中古物件の場合は、修繕費がネックとなってランニングコストを圧迫し、健全なアパート経営がしにくくなる事例もあります。
エアコンや給湯器、キッチン、トイレなどの寿命は10年から20年程度で、台数の数だけ交換や修理リスクがあります。入居者が退去した後の原状回復工事が、新築物件に比べて高額になりやすいのも中古物件の特徴です。
また老朽化などに対応するため、物件の状態に応じて内外壁や屋根の補修および塗装工事をする必要もあります。
2-6 新築と中古の「リスク」の比較
アパート投資にはリスクがつきものですが、度合いの大きさは新築物件と中古物件で異なります。例えば、新築物件は入居者から好まれやすいということもあり、空室リスクはそれほど高くはありません。
一方、中古物件は築年数や設備・仕様の老朽化、間取りの使いにくさなどによって、空室が長期間になる可能性もあります。また中古物件で注意したいのは、家賃下落リスクと資産価値下落リスクです。入居率が悪くなると家賃が下落しやすくなり、老朽化によって資産価値は下落しやすくなります。
対して新築物件の場合は、10年程度は家賃も資産価値も下がりにくいのが通常です。ただしその後の安定的な経営を見据えると、入居率を高い水準で維持する、メンテナンスで老朽化を抑制するといった経営的な戦略も必要になります。
2-7 新築と中古の「融資」の比較
アパートは高額になるため、金融機関から融資を獲得するケースがほとんどです。その場合、金融機関が融資に関する審査を行い、可否を判断することになります。
融資審査の基準は各金融機関で異なりますが、新築物件であれば高い入居率が望め、高額な修繕費用がかからないことが想定されるため、融資金額は物件価格の9割以上、返済期間は20年〜30年以上といった好条件が提示されることもあります。
一方、中古物件の場合は、事業計画をはじめ、法定耐用年数と築年数の関係、これまでの入居率、想定される今後の家賃下落率などで判断されます。物件によっては返済期間が10年程度、金利が2〜3%台といった条件が提示される可能性もあり、物件やオーナーの属性によっては融資不可となるケースも少なくありません。
3 土地の選定や管理に強い新築アパート会社2社を見る
ここまで新築物件と中古物件の違いについてみてきましたが、概ね中古アパートはハイリスクであるものの大きなリターンが期待でき、新築アパートは低利回りである代わりに低リスクの運用が期待できるというメリットがあります。
中古アパートの経営を行うには、物件ごとに内包されているリスクを正しく調査し、それぞれのリスクを考慮したうえで投資判断をするという専門的な知識が必要です。
アパート経営の初心者の方や、本業が忙しくアパート経営の情報収集や管理を積極的に行いづらい方には新築アパート経営が検討しやすい物件タイプであると言えるでしょう。
ここからは上記のような方向けに新築の木造アパートを供給している2社を紹介します。新築アパートを選ぶ際に、参考にしてください。
3-1 シノケンプロデュース
シノケンプロデュースは、一般投資家向け賃貸住宅経営のパイオニアとして知られるアパート建築会社です。土地の選定から企画、設計、施工、引き渡し後の賃貸管理まで一貫したサービスを提供しており、アパート供給棟数は自社施工で6,000棟を超えています。全国賃貸住宅新聞「賃貸住宅に強い建築会社ランキング」の自社開発物件部門では、8年連続No.1(2015年度〜2022年度)に輝いています。
最寄駅から徒歩10分以内に高稼働を維持できるアパートを供給
シノケンプロデュースが目指すのは「高稼働を維持できるアパート」を提供することです。そのため土地を取得する際は、通勤や通学がしやすいように大都市圏のターミナル駅から電車で30分圏内、さらに賃貸需要の高い最寄り駅から徒歩10分以内を基準としています。
アパートのデザインは、取得した土地の形状や条件に合わせた上で建築のトレンドなどを加味して、専属デザイナーが手掛けています。スタイリッシュかつ機能的なアパートは、グッドデザイン賞を2部門で受賞しています。
また、入居者の満足度につながるよう独立洗面化粧台、サーモスタット付水栓、システムキッチン、カラーモニター付きインターフォンといった設備・仕様が標準となっています。共用部も防犯体制が強化されており、オートロックや防犯カメラなどを導入しています。
2022年の年間平均入居率は98.39%
シノケンプロデュースが供給するアパートは、グループ会社のシノケンファシリティーズが管理業務を担当しています。2023年3月末時点の管理戸数は、全国で45,000戸以上となっており、2022年の年間平均入居率は98.39%となっています。
高い入居率が維持されていますが、5,000店舗以上(2021年4月時点)の仲介業者と提携し、良好な関係を築いていることもその要因の一つです。
3-2 アイケンジャパン
アイケンジャパンは、福岡本社・東京本社を含め全国10カ所、さらに台湾にも拠点を設けているアパート建築会社です。「グランティック」「レガリスト」などのアパートブランドを全国で供給しており、2021年12月にはアパートの総数が1,000棟を突破しています。
「堅実なアパート経営」をコンセプトとして掲げており、シンプルかつ高級感のあるデザインのアパートを供給しています。入居者ターゲットを「社会人女性」にしているのも特徴で、ターゲット層を絞り込んだアパートの供給、入居者募集活動、管理業務を得意としています。
入居者が入り続けるエリアにワンランク上のアパートを供給
アイケンジャパンでは「アパート経営の要」を土地選定とし、「老朽化しても入居者から選ばれるかどうか」を基準に、「入居者が入り続けるエリア」のみを厳選しています。具体的には、最寄り駅から徒歩15分以内が基準の一つとなっています。
ワンランク上の住み心地と満足感を追求し、設備や防犯性にこだわっています。そのため、ビルトインキッチンや温水洗浄便座、浴室テレビなど、アパートとは思えないような設備を標準にしているのも特徴です。
また木造アパートでありながら、劣化対策等級が最高レベルの「等級3」相当を標準としており、さらに耐震性能も建築基準法以上の基準を設けています。
入居率99.7%を実現、築10年以上でも高い家賃水準を維持
アイケンジャパン施工物件の年間平均入居率実績は99.7%(2021年)となっています。オーナーの負担が大きく、効果が一時的なフリーレントや家賃の値下げを行わずに高い入居率を維持しているのが特徴です。
また、新築時に提案した年間の想定家賃収入に対して、実際の家賃収入の割合を示す数値を収益稼働率としています。同社が企画・開発した物件の収益稼働率は98.3%(2022年12月末時点)となっており、こちらも高い水準を維持しています。
まとめ
アパートへの投資は、アパートを取得することから始まります。その際、新築物件か中古物件か選択肢は大きく2つあります。
今回のコラムでは、新築物件と中古物件を7つの項目で比較して、その違いを解説しました。新築か中古か悩んでいる際に参考になれば幸いです。
また新築の木造アパートを提供している2社を紹介しました。新築アパートについてより詳しく知りたい場合は、定期的に開催しているセミナーや個別相談会に参加するほか、資料などを取り寄せることもできるため、情報収集をしていきたい方は検討されてみると良いでしょう。
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