マンション投資をしながらSDGsに取り組む方法は?不動産投資会社の事例も
住居の提供を通じて、さまざまな視点でSDGsへの貢献が可能です。物件を長寿命化させたり、物件の省エネ性能を向上させたりすれば、資源保護やエネルギー消費の抑制につながります。
また、オーナーや管理会社の取り組み次第で、より幅広い人に平等に住居を提供可能です。適切に物件を維持・管理して空き家を減らせば、地域の活性化や衰退・人口減少の予防にも役立ちます。
今回の記事では、個人投資家がマンション経営を通じて取り組めるSDGsへの貢献方法をまとめました。後半では、不動産投資会社におけるSDGsへの貢献方法についても紹介しています。不動産投資を通じたSDGsへの貢献を実践するうえで、ぜひ参考にしてください。
目次
- SDGsに貢献するマンション投資の5つの視点
1-1.環境に配慮した省エネ・脱炭素化に貢献する物件を所有
1-2.物件の長寿命化に配慮した物件を所有
1-3.都市部の利便性の高い地域での不動産経営
1-4.高齢者や女性、外国人誰でも住める物件を運営
1-5.防災性能が高い物件での不動産経営 - 不動産投資会社のSDGsへの取り組み事例
2-1.プロパティエージェント
2-2.グローバル・リンク・マネジメント
2-3.リズム - まとめ
1 SDGsに貢献するマンション投資の5つの視点
個人投資家でも、工夫次第でマンション投資を通じてSDGsに取り組む方法は複数あります。ここでは大きく5つの視点で個人投資家による貢献方法を紹介します。
1-1 環境に配慮した省エネ・脱炭素化に貢献する物件を所有
近年マンションでは環境して、エネルギー消費の抑制やCO2排出削減の対策を施した物件が増えています。こうした物件で不動産経営をすれば、間接的に環境保護への貢献が可能です。
個々のマンションの環境性能を確認するなら、ESGやサステナビリティに関する評価を参照するのがよいでしょう。
たとえば「一般社団法人 住宅性能評価・表示協会」が運営する「BELS」では、省エネ性能を客観的に評価したうえで、一次エネルギー消費量をもとに5段階評価が付与されます。
また、CO2排出の抑制度合いを評価・認定する制度としては「ZEH-M」があります。断熱性能の高さや省エネ達成率に応じて、ZEH-M Oriented、ZEH-M Ready、Nearby ZEH-M、ZEH-Mの4段階があります。
正式な「ZEH-M」認定を受けるのは、再生可能エネルギーの活用により実質的なエネルギー収支をゼロ以下にした物件です。
【関連記事】ESG不動産投資の関連指標「ZEH」「BELS」「GRESB」「LEED」の違いは?
1-2 物件の長寿命化に配慮した物件を所有
不動産の建設・解体では大量の資源の消費・廃棄が発生し、さらに多くのエネルギーを必要とします。そのため、物件の長寿命化への貢献はSDGsへの重要な貢献の一つです。
新築を購入するなら、建物の長寿命化に積極的な建設会社・不動産仲介会社を利用して物件探しをしましょう。
可能であれば管理組合や管理会社の方針を確認して、物件管理・修繕計画などマンションの資産価値を維持する工夫がなされているか確認しましょう。
区分マンションでは、不動産仲介会社が管理会社もグループで手掛けているケースも少なくありません。こうした企業であれば、仲介会社を通じて経営開始後の管理方針も確認できます。
また、中古物件で運用する場合は、築古のリノベーション物件で経営するのも一つの方法です。リノベーションした物件に実際に入居者に提供することで、長期にわたり住居として使用し、空き家発生や解体頻度の抑制に貢献できます。
1-3 都市部の利便性の高い地域での不動産経営
都市部の利便性の高い地域でマンション経営をすることも、SDGsの貢献につながります。駅が近い物件では、多くの住民が公共交通機関を使用します。
職場・教育機関が近ければ自転車・徒歩で通う人もいるでしょう。公共交通機関や徒歩・自転車での移動は、自動車の使用と比べてCO2の削減効果が期待できます。
生活に必要な各種機能(住居、職場や学校、商業施設、公共施設など)集約させる取り組みは「コンパクトシティ政策」として、国土交通省も推進しています。好立地な物件を選択すれば、自然とコンパクトシティへの貢献が可能です。
参考:国土交通省「コンパクトシティ政策について」
1-4 高齢者や女性、外国人誰でも住める物件を運営
さまざまな人が住める住居の提供を通じて、SDGsに貢献する方法もあります。例えば、高齢化社会が進む中で、高齢者の方でも安心して住める住居を提供するのは、投資家や不動産事業者に求められる役割の一つです。
不動産投資で高齢者の方を受け入れる際には孤独死や事故のリスクが高まります。多くの投資家がこれらのリスクを回避するようになると、高齢者の方の入居審査が厳しくなり、住宅確保が難しくなってしまう要因の1つとなります。
見守りサービスや自治体のサポートを受けるなどでリスク対策をしたり、高齢者がいつまでも快適に暮らせるバリアフリーに対応した物件で賃貸経営を行うことは、マンション投資を通じてSDGsに貢献することにつながります。
【関連記事】高齢者を受け入れる不動産投資のポイントは?自治体のサポート事例も
その他、女性の方でも安心して住みやすい物件で不動産経営をするのもよいでしょう。そのためには、防犯性能の高いマンションで経営を行うのが一案です。その他、ひとり親・母子家庭の方でも入居できるよう補助金や制度を活用するのもポイントと言えます。
【関連記事】賃貸経営、ひとり親・母子家庭の入居受け入れで利用できる補助金や制度は?
日本に居住する外国人の方も多くいるなかで、快適に住める物件を提供することも重要な役割といえます。契約書類や説明書類の英語対応、外国語でコミュニケーションが取れるスタッフの配備など、外国人への配慮が行き届いた管理会社・仲介会社を利用しましょう。
【関連記事】不動産投資で外国人入居者の受け入れのメリット・注意点は?不動産会社の対応事例も
1-5 防災性能が高い物件での不動産経営
人々が安心して住める街づくりに貢献するために、防災性能の高いマンションで不動産経営を行うのも有効な対策です。
現代の日本のマンションの場合、マンション自体が一度の災害で倒壊して住めなくなるリスクは小さくなっています。その代わり、マンションの住民や地域住民が、被災時でも安心して暮らせるようにする役割が求められているのです。
たとえば次に代表されるような防災対策が行き届いたマンションで、賃貸経営を始めましょう。
- 消化器・スプリンクラーや火災報知機の完備
- 避難経路、避難用具の管理
- 防災設備の適切な点検・設備更新の実施
- 防災・被災時の対応に関する住民への情報提供
- 防災訓練の適切な実施
- 食料や防災グッズの備蓄
- 太陽光発電+蓄電池などによる非常用電源の確保
- 災害用トイレの設置
【関連記事】高まる入居者の防災需要、マンション経営でのポイントは?防災設備や防災グッズ、注意点も
2 不動産投資会社のSDGsへの取り組み事例
3社の不動産投資会社のSDGsへの取り組みを紹介します。個人のマンション投資を通じてSDGsに貢献するために、SDGsに積極的な不動産投資会社の物件を保有するのも一つの選択肢といえるでしょう。
2-1 プロパティエージェント
プロパティエージェントは、東証プライム上場企業で、マンション投資物件の販売から管理までを一括で運営している企業です。
「DX不動産事業」と称して、デジタル技術を活用し、優良な物件の販売や効率的な物件管理を進めています。東京都心部のマンションを中心に扱っていて、投資家の属性次第では自己資金10万円~から始められるのが特徴です。
不動産事業での貢献
「不動産と不動産サービスの価値創造、価値向上により、顧客のみならず社会の価値創造に貢献する」というテーマのもと、メイン事業の一つである不動産事業のなかで、SDGsへの貢献を積極的に行っています。
たとえば、物件の開発・設計時には、外壁材の耐食性・高寿命/省エネ性能の高いLED照明の活用、緑を取り入れたデザインによる環境負荷の低減などに取り組んでいます。また、節水効果のある洗面水栓、シャワーヘッド、トイレ等の設備を標準仕様としています。
事業運営においてはペーパーレス化を積極的に推進しています。DXの取り組みの一環として、2020年の新オフィス移転時に電子化を進め、90%以上の紙類削減に成功しています。(※参考:プロパティエージェント「サステナビリティ」)
人事制度における貢献
「自己成長、自浄機能を備えた、コンプライアンス遵守の公正かつ透明性のある経営を実現し、ステークホルダーとの協働を実現する」というテーマのもと、社員のライフスタイルや指向の多様化を受け入れる人事制度を導入しています。
- 複線型人事制度|マネジメントを担うジェネラリスト職群と専門性を活かすエキスパート職群から選択可能
- 職群転換制度|職群はあとで転換が可能。ライフイベントやキャリア設計の変化に応えられる制度に
- 透明性の高い評価制度|「業績評価」「能力評価」「バリュー評価」を軸に公平で透明性の高い評価を実施。社員の人材育成にも役立つ制度に
- 時短勤務制度|育休制度・時短勤務制度を積極的に導入。女性社員の育休取得率は100%、小学校4年生の子供がいる社員は時短勤務可。
育児と仕事を両立できる環境を整備して、長期的でのキャリア形成を支援 - キッズデイ休暇|子どもの入園・入学式や参観日など、保育園・幼稚園・学校行事の参加時に取得できる特別休暇制度
参考:プロパティエージェント「サステナビリティ」
その他社会への取り組み
「社会の進化に貢献し、持続可能な社会の実現と企業価値向上及び永続経営を図る」というテーマで、本業とは別の部分で社会貢献を行っています。
不動産事業で培ったデジタル技術を活かして、スマートな社会を実現する子会社 DXYZ(ディクシーズ)株式会社を設立しています。企業(Company)、マンション(Condominium)、街(City)の3領域でのDXを推進し、より持続的でスマートな社会の実現に向けて事業展開している企業です。
また、東日本大震災では物資提供・寄附金を継続して実施しています。寄付金は2011年~2019年の間に7,000万円以上を提供しています。
ダイバーシティマンション事業
ダイバーシティマンション事業では、ライフスタイルや家族構成の変化に対応できるマンションを開発・供給しています。
近年は「単独世帯」「夫婦のみ世帯」が増えるなかで、ライフスタイルが変化する可能性があることから住宅購入のタイミングに悩む方が増えています。
そこで、間取りや区画をあとで変えやすい都市型コンパクトマンション(東京23区を中心とした駅近かつ30~60㎡タイプの住戸)を供給し、住宅保有を後押しするとともに、長く住み続けられる住宅を提供しているのです。(※参考:プロパティエージェント「ダイバーシティマンション事業」)
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2-2 グローバル・リンク・マネジメント
株式会社グローバル・リンク・マネジメントは、東京都内を中心に投資用マンションを供給している不動産投資会社です。長期にわたって資産価値が継続するよう、「駅から徒歩10分圏内(駅からチカい)」「ターミナル駅まで30分前後(都心からチカい)」「高い地価(チカ)」の3チカ物件の開発に特化していることが特徴です。グローバル・リンク・マネジメントは、首都圏で利便性の良い物件を中心に投資用物件の開発や販売を行っています。
区分・一棟マンションの双方を手がけていて、個人投資家のほか、不動産会社や投資ファンド、REITなどの多様な機関投資家に対しても物件の販売や投資のソリューションを提供しています。土地探しからマンション建設、自社開発・共同開発、新築・中古とさまざまなタイプの事業を手掛けているのも特徴です。
自社開発マンションでは環境対応を標準仕様に
グローバル・リンク・マネジメントは、2022年2月に「ZEHデベロッパー」として登録を行っています。
そのうえで、自社で新たに手掛ける新築物件ではBELS5つ星以上やZEH-M Orientedの環境対応を標準仕様として武家開発を進める方針です。資産価値・環境保全に配慮した投資物件の供給を通じて、豊かな社会の実現を目指しています。
ZEH・BELSの物件事例
- ZEH-M Oriented(アルテシモ中野)一次エネルギー消費削減率:26%
- BELS5つ星(アルテシモ上十条))一次エネルギー消費削減率:20%
また、同社では駅に近い物件の開発を積極的に行っています。これは都市機能を集約させて通勤・通学の移動を減らし、CO2排出を削減する「コンパクトシティ化」に貢献するものです。(※参考:グローバル・リンク・マネジメント「自社開発マンションで環境対応を標準仕様化」)
地域社会との関係構築①「食」を通じたステークホルダーとの共創
グローバル・リンク・マネジメントでは、地域社会との関係構築も積極的に行っています。
その活動の一環として、「水田オーナーズクラブ」に加盟して、鳥取県日野郡の水田オーナーとして農家の所得向上や地域交流の拡大を支援しています。また、従業員の環境意識を高めて、物件開発に活かす狙いもあります。(※参考:グローバル・リンク・マネジメント「地域社会への貢献」)
地域社会との関係構築②「衣」を通じたステークホルダーとの共創
2019年より「古着deワクチン」プロジェクトに参加して、入居者の不要になった衣類を回収して、発展途上国での再利用を促進しています。
また、同プロジェクトには回収量に応じてワクチンを寄付する仕組みもあります。入居者の不用品処理を支援しつつ、開発途上国の援助を推進し、グローバルなコミュニティへ貢献する事業です。
2020年11月までで、約279万人分のワクチンを寄付し、約2,282万着の衣類の再利用を実現しています。(※参考:グローバル・リンク・マネジメント「地域社会への貢献」)
2-3 リズム
リズムは、不動産賃貸および投資用不動産の販売を手掛ける企業です。同社の特徴は、リノベーションによる中古物件を投資用物件として積極的に販売している点にあります。
リノベーションで付加価値を高めることにより、中古物件でありながら全体の稼働率97%という高水準を実現しています。
不動産投資においては、属性次第で自己資金10万円~投資が可能となっています。物件の購入・売却にとどまらず、保険や融資のサポート、資産形成プランのご提案まで行ってくれるのが特徴です。
リノベーション事業による貢献
リズムでは「ロングライフリノベーション」「再生主義」を掲げて、中古物件をリノベーションさせて投資用物件として販売する事業を手掛けています。
不動産のリノベーションは、それ自体がSDGsに対して大きな貢献をもたらす取り組みです。古くなった物件が空き家になってしまえば、地域の衰退や人口減少といった課題を助長しますし解体すれば大量の廃棄物が発生します。
リノベーションを通じて新たな付加価値を持つ物件に生まれ変われば、空き家が減少し、さらに物件の寿命伸長につながります。廃棄物の発生を抑制し、さらに新築・解体の頻度が減少すれば工事や資材調達に伴うCO2排出の抑制効果も期待できるのです。
リズムでは、さらに経年変化も味として楽しめる天然素材を使用し、上質な空間を実現するなど、末永く快適に住み続けられるリノベーションを実行しています。環境だけでなく住民に配慮した物件の提供を推進しているのが特徴です。
サステナビリティに配慮する取り組み
リノベーション事業におけるさまざまな工夫、取り組みによりリズムではさらにSDGsへ貢献しています。
まず、入退去時の原状回復では、塗装壁・無垢材フローリングの採用により、原状回復での廃棄物を削減しています。なお、オーナーのコスト負担が軽減するという効果もある取り組みです。
また、LED照明の活用、二重サッシによる省エネ化、環境負荷の小さい建材の積極的な使用などにより、一段と環境負荷を軽減しています。
フルリノベーション時には、アスベスト含有材の撤去・断熱材の補充なども手掛け、居住環境の向上と環境保護を両立しているのが特徴です。
社員の成長を促す取り組み
リズムでは、社員それぞれの頑張りを公平に評価するスタンスを取っています。社員の成長を促し、不動産業で誇りをもって働いてほしいと考えています。社員それぞれが協力しながら働きがいのある職場形成を目指しています。
また、全社員の宅建取得を目指して支援を行うほか、建築士やインテリアコーディネーターなどへの資格手当制度、リノベーションに関する勉強会・社内ワークショップを実施など、社員のスキルアップにも積極的です。(※参考:リズム「SDGs INITIATIVES|SDGsへの取り組み」)
3 まとめ
区分マンション経営でも、物件選びや管理会社選びの工夫により、SDGsに貢献しながら経営を進めることは可能です。今回紹介した5つのポイントを踏まえて、自分なりの貢献方法を考えてみてください。
また、今回紹介した3社のように、多くの不動産投資会社がSDGsへの取り組みを積極化させています。
個人として有効なSDGsへの貢献方法がわからないという方は、取り組みに積極的な不動産投資会社に相談して、適切な物件を紹介してもらうのも一つの方法です。
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