NFTアートとカーボンクレジットを組み合わせたプロジェクト「Ecosapiens」とは?
目次
「Ecosapiens」とは?
EcosapiensはNFTにカーボンクレジットを格納したアートプロジェクトです。2023年2月にアルファ版がリリースされており、アートはニューヨークを活動拠点とするアニメーターのギャレット・ケインが担当しました。NFTアートを通じて多くの人に気候変動問題に対しての関心と解決へのアクションを促すために設立され、多くの環境活動家から共感を集めています。
Ecosapiensは、カーボンクレジットを組み込んだNFTを提供しており、ユーザーはこれらのNFTを購入することでCO2削減に貢献できます。具体的には、ユーザーがEcosapiensのNFTをミントする際に支払う資金が、カーボンクレジットの購入に充てられる仕組みです。これにより、ユーザーはNFTの所有権を得るだけでなく、デジタルアートを通じて環境保全にも積極的に参加することが可能となります。EcosapiensのNFTはカーボンクレジットと直接リンクしているため、ユーザーは自身が行った環境保全の行動をデジタル上で表現することができます。
2023年2月にリリースされたアルファ版では限定350個のNFTが販売されました。これらのNFTには、Kenya Soil Carbonが組み込まれており、民間市場で最も高いシェアを誇っているVerra社によって認証された高品質なカーボンクレジットが使われています。一般的に、カーボンクレジットの購入はCO2削減の貢献として注目されがちですが、それらの資金は環境プロジェクトのオーナーに渡り、彼らが生活する地域経済の発展にも貢献しています。実際に、カーボンクレジットの生成は発展途上国で行われているケースが多くあり、今回のKenya Soil Carbonも同様です。カーボンクレジットを購入することは発展途上国の地域経済への直接的な支援にも繋がっている側面があります。
EcosapiensのNFTを通じてカーボンクレジットを購入することはCO2削減だけに留まらず、貧困解決といった社会的インパクトを与えることができます。実績として、EcosapiensのNFTによって4,000トン以上のCO2を隔離することに成功しています。これは16万本以上の木に相当し、サッカー場500面以上を埋め尽くすことができる規模です。
Ecosapiens NFTの仕組みは?
では続いて、Ecosapiensが2023年2月に行ったアルファ版のNFTについて解説していきます。
アルファ版ではNFTを限定販売にすることで希少性を高める施策を行いました。同時にこのプロジェクトではアメリカ人が一年間で排出するCO2量である16トン分のカーボンクレジットがNFTに組み込まれています。これによって、購入者が自分の行動によって具体的にどれだけの影響を与えることができるのかを可視化し、より実感しやすくさせています。Ecosapiensではカーボンクレジットの購入量でクリエイティブが変化するダイナミックNFTの仕組みが使われています。
レベル0のCHRYSALISはカーボンクレジットが格納されておらず、ユーザーはNFTアートとして先に購入する必要があります。CHRYSALISを購入すると、カーボンクレジットを購入した量に比例してレベルが上がっていく仕組みで、レベル7まで進化させることができます。
レベル0からレベル1に進化する過程で16トン分のカーボンクレジットが必要となり、これがアメリカ人が排出する一年間の平均CO2排出量を意味しています。レベル1以降は2トン分のカーボンクレジットを買い増していくことでレベル7まで到達することができます。レベル7になるためには合計28トンのカーボンクレジットが必要であり、アメリカ人が一年間に排出するCO2量の約2倍と位置付けられています。
加えて、Ecosapiens NFTにはレベルだけでなくレアリティの仕組みも用意されています。各Ecosapiensには4つのレアリティタイプがあります。
ユーザーは最もレアリティの低い「コモン」から最もレアリティの高い「プライム」まで4つのレアリティタイプのいずれかを持つことができます。全体のNFTの48%が最もレアリティの低い「コモン」で構成されており、順に「スペシャル」が40%、「アルファ」が10%、「プライム」が2%となっています。
NFTを購入したユーザーはエコポータルにログインする必要があり、MetamaskなどのEVMに対応したウォレットを紐付けて登録できます。
登録には米国の規制上、KYCを完了させる必要があり、ユーザーの個人情報が安全に管理されるようにPersona KYCによって情報が管理されます。
Ecosapiensの変遷と展望は?
Ecosapiensは2023年にアルファ版がリリースされ、現在はMauisapienとLeosapienという2つのシリーズがローンチされています。MauisapienはETH、LeosapienはMATICで購入することができ、どちらもOpen seaで販売されています。
EcosapiensはCrunchbaseのデータによると、シードラウンドで合計500万ドルを調達しており、主要投資家はホームページに記載されています。
筆者としてはEcosapiensの取り組みは非常にユニークだと感じており、NFTアートとカーボンクレジットの融合による気候変動の解決という点において、最先端に位置しているプロジェクトだと考えています。NFTを使うことでユーザーはアートとして作品を楽しむことができると同時に、その購入資金を気候変動の解決に役立てることができるので、今後より多くのユーザーを惹きつけることができると思います。
懸念点としては一般的なNFTプロジェクトに比べて利益率が落ちてしまうことが挙げられます。Ecosapiensは気候変動の解決を目指すNFTアートプロジェクトで社会的に意義のあるプロジェクトですが、複数の投資家から資金を調達していることもあり、投資家に対してリターンを出さなければなりません。NFTにカーボンクレジットを格納することはNFTの売上を使ってカーボンクレジットを調達することを意味しているので、仕入れ金が必要となります。ですので、ユーザーへしっかり価値を提供することで利益を出しつつ、気候変動の解決にも繋げていけるかという点が大事になってきます。
Ecosapiensのエンタープライズ向けのホームページに記載されていた情報によると、FlowcarbonやToucanなどのカーボンクレジットトークンをNFTに組み込む技術を提供しているようです。
つまり、今後はEcosapiensが自身で行うNFTプロジェクトとは別に、他のDappsや企業に対してカーボンクレジットとNFTを組み合わせた技術を提供するtoBのマネタイズが可能となります。カーボンニュートラルの取組がますます加速していく中で、NFTとカーボンクレジットを使ったソリューションはこれから需要がありそうなので、今後のEcosapiensの成長に期待していきたいと思います。
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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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