Solana上に構築されたカーボンクレジットマーケットプレイス「ecoToken」とは?
目次
ecoTokenとは?
ecoTokenはSolana上に構築されたプラットフォームで、Regen Networkとの提携によって同ネットワークで認証されたカーボンクレジットをSolana上でも取引可能にしました。
Regen Networkについては過去記事で解説しているので詳しくはこちらをご覧ください。
簡単に説明するとRegen Networkはweb3ネイティブのカーボンクレジットを発行しており、そのクレジットはCosmosとPolygon上で取引可能でした。しかし、ecoTokenとの提携によりecoTokenプラットフォームを経由することでSOLとUSDCを使ってRegen Networkのカーボンクレジットを購入することができるようになりました。ecoTokenプラットフォームで購入したカーボンクレジットをオフセットすることで、購入者は環境保護の活動に貢献することができます。
ここで簡単にオフセットについて説明します。オフセットとは経済活動や消費活動によって排出されたCO2の排出量に相当する量を、他の場所での排出削減やCO2吸収活動によって相殺することです。カーボンクレジットはオフセットの1つの手段として企業や自治体、個人によって利用されています。具体的にはカーボンクレジットを購入し、それを償却(無効化)することでオフセットが認められます。この償却手続きを行うことで企業や自治体、個人は環境保護活動やCO2排出削減への貢献を証明することができる仕組みです。
ecoTokenはトークン化されたカーボンクレジットを使うことでオンチェーンでオフセットができる仕組みを提供しています。実際に2023年12月にSolanaがecoTokenを通じて5,000トンのカーボンクレジットを購入し、同ネットワークで発生したCO2をオフセットしたと発表しています。
このように近年ではカーボンニュートラルを公言するレイヤー1チェーンが増えてきており、Web3界隈でも気候変動に対する取り組みが加速化しています。カーボンクレジットとブロックチェーンは非常に相性が良く、旧来のカーボンクレジット市場が抱えていた様々な問題をブロックチェーンを活用することで解決できるとされています。
具体的にはブロックチェーンを使うことで透明性を確保することができ、旧来のカーボンクレジット市場で問題視されていたダブルカウンティングを解決できると期待されています。カーボンクレジットの発行主体は大きく民間と政府に分けることができ、市場には多くの発行主体が存在しています。そのような状況の中でダブルカウンティングを完全に抑止することは難しく、カーボンクレジットの二重発行が指摘されていました。しかし、ブロックチェーンを使って全ての取引履歴をオンチェーンに刻み、情報をオープンにすることでこのような問題を解決できるとされています。
ecoTokenではカーボンクレジットを購入し、オフセットを行うとインパクト証書(ecoNFT)が発行される仕組みになっています。ecoNFTには、購入したクレジット数、プロジェクト名と所在地、クレジットの生産者、クレジットを償却したユーザー、償却日、バッチ識別のためのクレジット IDなどの重要な詳細情報が含まれています。また、各ecoNFTにはクレジット償却時の取引ハッシュを含むメタデータが含まれ、透明性と説明責任を確保しています。
プロジェクト例
では、ecoTokenを通じてどのようなカーボンクレジットが購入できるのかを見ていきます。
Harvey Manning Park Expansion
Harvey Manning Park Expansionはアメリカのワシントン州で行われているプロジェクトで、City Forest Creditsによって発行されたカーボンクレジットを販売しています。
City Forest Creditsは都市部や自治体における樹木事業による温室効果ガス排出の削減・排除のための国家基準を示すものであり、このプロジェクトでは都市部の森林の保全、植林活動によってカーボンクレジットが生成されています。
REDD+ Mataven Forest Unified Indigenous Reserve Project
REDD+ Mataven Forest Reserveはコロンビアで行われているプロジェクトで、同じくCity Forest Creditsによって発行されたカーボンクレジットを販売しています。このプロジェクトでは、発展途上国に対して森林減少・劣化の抑制や森林保全による温室効果ガス排出量の減少に貢献することで発行されるREDD+のカーボンクレジットを購入することができます。
Nature Carbon Ton
Nature Carbon Ton(NCT)はボランタリークレジット市場で最も実績のあるVerraによって発行されたカーボンクレジットです。NCTはVerraのVerified Carbon Standardと、Toucan ProtocolがRegen Network、Moss、BICOWGと協議して作成したNCT Standardの両方に準拠しています。
ecoTokenの変遷は?
ecoTokenは2021年にカナダを拠点として設立されたスタートアップです。「ブロックチェーン技術の力を活用して環境クレジット市場に革命を起こすこと」をミッションに掲げています。
コアメンバーは4人で構成されており、Co-FounderはMBAを取得した起業家でWaterDAOにも在籍しています。
ecoTokenは現在、Regen NetworkのプロジェクトをSolana上で利用できるようにホストしていますが、今後はプラットフォーム上で水クレジットの創出を計画しています。具体的にはWater DAOとNOAH Solutionsと提携を行うことで実現を目指しています。
Water DAOは分散型の水クレジットを発行し、水源とクレジットの透明性を高めることを目指しているDAOです。NOAH Solutionsはフロリダ州オーランドで浄化槽廃棄物処理に除湿システム(DHS)を導入し、浄化槽排水の100%が敷地内で処理され、メタン排出に対処するソリューションを展開しています。
ecoTokenの展望を考察
最後は筆者による考察です。上述したようにカーボンクレジットとブロックチェーンは非常に相性が良く、多くのReFiプロジェクトで同じような方法が実践されています。しかし、カーボンクレジットをトークン化することで流動性や透明性を向上させたのはいいものの、プロジェクト毎に利用しているブロックチェーンが異なるという理由で取引の柔軟性に欠けていました。
このような状況の中、ecoTokenが行っているカーボンクレジットトークンのマルチチェーン展開は非常に革新的であり、ReFi業界の発展に向けて重要な要素となります。
脱炭素化への動きが世界で加速する中、企業だけでなく当然Web3のプロジェクトにも対応が求められてきます。現にカーボンニュートラルを宣言したレイヤー1チェーンが増えており、そのような取り組みを投資家やユーザーが評価し、今後それがトークン価格にも影響されることが予想されます。そのような未来を見越して、様々なReFiプロジェクトが立ち上がっており、カーボンクレジットを使ったオンチェーンでのオフセットソリューションの基盤が徐々に整いつつあります。
ecoTokenはカーボンクレジットトークンのマルチチェーン化、水クレジットのトークン化というアプローチを行っており、今後のRefiの発展において重要な役割を担うことが期待されています。
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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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