投資のプロが初心者におすすめするつみたてNISAの銘柄は?年齢別に解説

つみたてNISAの対象商品は2024年2月末時点で、指定インデックス投資信託が227本、アクティブ運用投資信託が47本、上場投資信託(ETF)が8本の合計282本と銘柄が多く、銘柄選択に迷った経験がある方は多いのではないでしょうか。本稿では投資のプロである筆者が、銘柄を選ぶ際のポイントや、年代別におすすめの積立方法を解説します。

参照:金融庁「つみたて投資枠対象商品株式
※本記事は2024年5月15日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. 投資信託の概要
  2. 資産ごとの特徴とリスク
    2-1.株式
    2-2.公社債
    2-3.REIT
    2-4.コモディティ
  3. アクティブ運用とパッシブ運用の違い
    3-1.アクティブ運用とつみたてNISA対象銘柄
    3-2.パッシブ運用とつみたてNISA対象銘柄
  4. アクティブファンドとインデックスファンドどちらを選ぶか
  5. 30年でもっとも騰落率(円換算)が高かった指数はNASDAQ100指数
  6. 月3万円を積み立てるなら?
    6-1.20代から30代
    6-2.40代から50代半ば
    6-3.50代半から年金受給まで
  7. まとめ

1.投資信託の概要

投資信託とは、幅広い投資家から資金を集め、その資金をもとに投資のプロが株式、債券、REITなど複数の資産に投資する金融商品です。ひとつの企業の株式に投資をした場合、企業が倒産してしまうと株価はゼロ円となります。しかし、投資信託は複数の銘柄や資産に分散投資するため、一企業が倒産してもゼロ円にはなりません。

投資信託のデメリットとしては複数の銘柄に分散投資をしているので、個別株のように急上昇が期待できないことがあげられます。

2.資産ごとの特徴とリスク

投資信託は、銘柄ごとに保有資産が異なります。ここでは投資信託が投資する資産の特徴とリスクについて解説します。

2-1.株式

株式の特徴は、株価が大きく上昇する可能性があることです。企業が順調に業績を伸ばすと、株価が将来10倍以上に成長することもあります。また、株式はインフレに強いという特徴があります。

一方で、企業が倒産すると価値はゼロになってしまいます。

2-2.公社債

公社債とは、国や事業法人が発行する国債や社債などの債券です。特徴としては元本割れのリスクが小さいことが挙げられます。特に国債は、国により元利金返済が保証されているため、償還時には元本を下回ることはありません。社債についても投資適格債(BBB格以上)であれば、企業倒産リスクが低いため、償還時の元本割れリスクは低いと言えるでしょう。

デメリットは、インフレに弱いこと、価格の上昇が期待できないこと、社債を発行している企業が倒産してしまうと、元利金が大幅にカットされることが挙げられます。

2-3.REIT

REITとは不動産投資信託のことで、投資家から集めた資金で不動産に投資し、その家賃収入や売買益を投資家に分配する金融商品です。REITの主な投資先は住宅、オフィス、ホテル、商業施設、ロジスティクス(物流施設)などです。

期待収益は個別案件により異なり、それぞれのREITがどのような案件に投資しているのかが重要です。期待リターンは株式ほど高くはないものの、公社債よりは高いと言えます。

2-4.コモディティ

コモディティとは、金、銀、銅、石油、コーン、大豆などの商品です。これらは商品先物市場で取引されています。株式や債券などと異なる動きをするため、一部のファンドは分散投資効果を期待し、資産の一部を投資しています。

3.アクティブ運用とパッシブ運用の違い

運用スタイルには、プロが分析し銘柄を選び運用するアクティブ運用と、株式指数などに連動するように運用するパッシブ運用があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

3-1.アクティブ運用とつみたてNISA対象銘柄

アクティブ運用とは、より高いリターンを目指すため、アナリストやファンドマネジャーが投資先を精査し運用するスタイルです。企業調査や人件費などコストが必要なため、パッシブ運用よりも信託報酬などの手数料が高く設定されています。

つみたてNISA対象は47本で、2024年4月23日時点での純資産額が5,000億円を超えている銘柄はグローバル・ハイクオリティ成長株ファンド(為替ヘッジなし)、日生SDGsグローバルセレクトファンド(資産成長型・為替ヘッジなし)、ひふみプラスの3銘柄です。

なお、今後の成長期待が高いインド関連では、iTrustインド株式がつみたてNISAの対象です。また、小型成長株で構成されるNASDAQ100指数に連動する銘柄も対象となっています。

3-2.パッシブ運用とつみたてNISA対象銘柄

パッシブ運用とは、S&P500指数やTOPIXなど特定の指数と同様な動きを目指すインデックスファンドです。指数は構成銘柄や構成比が開示されているため、企業調査の必要がありません。そのため、信託報酬などの手数料がアクティブ運用より低い設定となっています。

つみたてNISA対象としては、227銘柄です。全世界株式指数に連動する銘柄、S&P500やTOPIXに連動する銘柄、新興国株式指数や先進国株式指数に連動する銘柄のほか、バランス型も含まれています。

4.アクティブファンドとインデックスファンドどちらを選ぶか

アクティブファンドとインデックスファンドのどちらを選ぶかは、運用を始める年齢や性格が判断材料となります。

世界の株式市場は、クラッシュを経験しながら成長してきました。運用期間と資産の成長は相関関係にあり、運用期間が長いほど資産の成長は高くなります。つまり運用開始年齢が若いほど高いリターンが期待できるため、若い方ほどアクティブファンドを選ぶとメリットがあるでしょう。

一方、株式市場が暴落し、資産価値が大きく下がった場合、慌てて売却してしまうような方もいます。そのような性格の方は、バランス型の中から選ぶようにしましょう。バランス型は、株式、債券、不動産、コモディティなど複数の資産に分散投資されているため、株式市場が暴落しても価格の下落が抑えられるファンドです。

5.30年でもっとも騰落率(円換算)が高かった指数はNASDAQ100指数

ここでは、インデックスファンドのベンチマークとなっている主要株式指数(ダウ工業平均、S&P500指数、NASDAQ100指数、TOPIX、MSCIワールド)の30年、20年、10年、5年(2024年4月26日基準)の騰落率をみてみましょう。

騰落率(円換算、%)

銘柄/期間 5年 10年 20年 30年
ダウ工業平均 103 256 430 1,430
S&P500指数 145 317 550 1,580
NASDAQ100指数 222 660 1,667 6,036
MSCIコクサイ指数 116 204 356 712
日経平均 73 162 231 80
TOPIX 67 127 133 59

※2024年4月26日時点
※表はブルームバーグを基に筆者作成

30年でもっとも騰落率(円換算)が高かった指数は、NASDAQ100指数の6,036%でした。次がS&P500の1,580%、その次がダウ工業平均の1,430%でした。

NASDAQ100指数については、すべての期間において騰落率が他の指数を上回っています。一方、NASDAQ100指数は、乱高下が激しいという特徴があります。2021年11月から2022年9月にかけて30%以上も下落した経緯があります。その間の下落率は、ダウ工業平均16.6%、S&P500指数が21.4%、MSCIワールド指数が23.3%、TOPIXは25.5%でした。

6.月3万円を積み立てるなら?

積立を始める場合、需要なポイントは年齢と投資目的です。日本人の平均寿命は厚生労働省によると男性が81.05歳、女性が87.09歳(2023年)です。

参照:厚生労働省「令和4年簡易生命表

過去30年の株式は、リーマンショックや、コロナショックなど大きなクラッシュを経験しながら成長してきました。運用期間は長ければ長いほどリスクが小さくなる一方で、成長が期待できます。つまり、始める年齢が若いほど有利です。20代、30代の方は超長期運用が可能なため、大きなリスクがとれます。

一方、定年退職された方や年金生活の方は、株式市場が暴落した場合、リカバーに時間がかかるためリスクを抑えた運用をするように心がけるようにしましょう。また、投資目的が住宅購入の頭金など確定している場合も同様です。

ここでは、投資目的を老後資金と想定して解説します。

6-1.20代から30代

この世代の方はリスクを積極的にとれる世代です。リスクを恐れずに成長期待が高いファンドに投資してみてはいかがでしょうか。

NASDAQ100指数は30年で60倍に成長しました。つみたてNISA対象銘柄にNASDAQ100インデックスが入っているので、利用を検討してみてください。インド株式ファンドもつみたてNISA対象なので、成長期待が高いインドに投資するのも良いでしょう。

一方、債券型のファンドへの投資は、リスクは低いものの期待リターンが低いため、優先度は低いと言えます。

6-2.40代から50代半ば

40代から50代半ばの方は、平均寿命まで生きると想定すると20年程度あります。リスクを抑えつつ、高いリターンが期待できるファンドに投資することが大切です。

NASDAQ100指数連動のファンドは乱高下が大きいので、リスクを抑えるために3万円のうち1万円をNASDAQ100インデックスに、残り2万円をS&P500インデックスファンドかMSCIコクサイ指数に連動するファンドに投資することを検討してみてください。

6-3.50代半ばから年金受給まで

50代半ばになると所得が伸び悩む傾向があります。そのため、資金が不足した場合、積立を解約することになるかもしれません。この年代で将来の資金に不安な方は、リスクを抑えたバランス型のファンドに投資するようにしましょう。

バランス型ファンドの特徴は、対象指数が増えるほど期待リターンが下がる傾向があります。国内・外国株、国内・外国債に投資する4指数を対象とするファンドを中心に投資するようにしましょう。すでに貯蓄が十分でリスクを取れる方は、若い世代と同様に積極的にリスクをとってもよいでしょう。

7.まとめ

つみたてNISAを始めようと思って口座を開設したものの、何に投資して良いのか分からないという声を耳にします。そこで今回は、年代別に投資対象例をあげてみました。

20代、30代の方は積極的にリスクが取れる世代です。一方、50代半ばからは所得が減る傾向があることから、リスクを抑えたバランス型のファンドを中心に選ぶようにしましょう。

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