インドに投資できる投資信託・ETFは?主なファンド5本を比較

新興国の中でも成長著しいインドは、新しい時代を見据えた投資には欠かせない存在の一つです。インドをテーマとしたファンドには、どのようなものがあるのでしょうか。

本記事ではインドの現状の説明と、インドをテーマとしたファンドの紹介を行います。インドを投資先として検討している人はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. インド投資とは?国内の状況やマーケットを紹介
    1-1.世界2位の人口を背景とした高い経済成長率
    1-2.IT先進国が排出する豊富な人材
    1-3.進む財政健全化
  2. インドのマーケット
  3. 新興国へ投資するときの注意点
    3-1.流動性が確保されない可能性も
    3-2.運用資金の中の余裕資金を新興国へまわす
    3-3.分散投資を徹底する
  4. インドに投資できる投資信託やETF5選
    4-1.イーストスプリング・インド株式オープン
    4-2.野村インド債券ファンド(毎月分配型)
    4-3.三井住友DS-高成長インド・中型株式ファンド
    4-4.新生・UTIインドファンド
    4-5.NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信
  5. まとめ

1.インド投資とは?国内の状況やマーケットを紹介

インドの資産に投資するにあたって、インド国内の状況について確認しておきましょう。現在のインドを語る上で欠かせない3つのポイントを以下に紹介します。

  1. 世界2位の人口を背景とした高い経済成長率
  2. IT先進国が排出する豊富な人材
  3. 進む財政健全化

1-1.世界2位の人口を背景とした高い経済成長率

以前から中国の次はインドが世界の工場になると言われていたほど、インドの潜在能力は高く評価されていました。月日が経ち、中国の経済成長にやや陰りが見える現代において、インドの存在感は増すばかりです。

IMFによると、2023年のインドのGDP成長率は7.8%で、他の先進国や中国を上回る数値を記録しています。インドの急激な成長の背景には、消費増加による内需拡大の影響を見て取ることができます。

参照:IMF「世界経済見通し

1-2.IT先進国が排出する豊富な人材

インドはITを国の産業として力を入れており、世界中に優秀なIT人材を送り出しています。

インドの都市、バンガロールはIT都市として発展を遂げ、近年ではトヨタ、ソニー、ホンダなどの日本企業に加えて、GoogleやMicrosoft、サムスン、Meta(旧Facebook)など多くの企業が拠点を置くに至りました。

IT産業の成功をきっかけに、半導体工場など、中国からインドへの流れも少しづつ形成されつつあります。人材の輩出とともに、外国企業の誘致はインドにとって大きなメリットとなっています。

1-3.進む財政健全化

インドは2014年以降のモディ政権下にて、順調な経済発展と財政健全化を進めてきました。モディ政権下にて行われる経済施策は、日本国内のアベノミクスになぞらえて、モディノミクスと呼ばれています。

モディ政権下で見られる目立った成果は以下のとおりです。

  1. 実質GDPのプラス成長
  2. インフレ率の抑制による消費マインドの回復
  3. 経常赤字の縮小

2014年に発足したモディ政権は2024年時点でも継続しており、今後のインド経済の舵取りが期待されるところです。

2.インドのマーケット

インドには、ボンベイ証券取引所、ナショナル証券取引所、カルカッタ証券取引所の3つの証券取引所があります。

このうち、ムンバイにあるボンベイ証券取引所に上場している銘柄の中から、流動性、取引規模、業種などを代表する30銘柄にて構成される指数がSENSEX指数です。1979年4月3日を基準日として、その日の時価総額を基準値100として算出されます。

インドのマーケットを見る時はSENSEX指数を参考にすることが一般的です。インドの株式投資信託の多くはSENSEX指数をベンチマークとしています。

インドの通貨ルピーの対円レートは、2018年〜2024年の間、1ルピー1.9円〜1.4円の間を推移しています。

インド国債の利回りは直近5年間で、6%〜7%の間を推移しています。格付け主要会社によるインド、日本、アメリカの国債格付けは以下のとおりです。国債の格付けは、利払いや償還のデフォルトリスクを表しています。

日本やアメリカは投資適格債に分類されていますが、インド国債は投資適格債ではなく、ハイイールド債に分類されています。

インド国債

  • ムーディーズ Baa3
  • S&P BBB-
  • フィッチ・レーティングス BBB-
項目 インド 日本 アメリカ
ムーディーズ Baa3 A1 Aaa
S&P BBB- A+ AA+
フィッチ・レーティングス BBB- A AA+

3.新興国へ投資するときの注意点

先進国に比べると新興国への投資は、やや高いリスクを取る必要があります。リスクの詳細と対策について、以下3つのポイントにて説明します。

  1. 流動性が確保されない可能性も
  2. 運用資金の中の余裕資金を新興国へまわす
  3. 分散投資を徹底する

3-1.流動性が確保されない可能性も

新興国投資で気をつけたいリスクは、カントリーリスクです。カントリーリスクは主に、政治経済、社会情勢によって証券市場や為替に大きな影響を与えることをいいます。

例えば、中国では政府による突然の通貨政策による規制、アルゼンチンの債務不履行、インドでは、パキスタンとの関係悪化による紛争などが挙げられます。

カントリーリスクが顕在化すると同国の資産の流動性が著しく悪化し、対応が遅れると現金化もままならなくなるため、カントリーリスクには特に注意が必要です。

3-2.運用資金の中の余裕資金を新興国へまわす

投資は投資専用の余裕資金で行うことが鉄則ですが、新興国へ投資する資金は、投資資金の中の余剰資金で行うようにしましょう。

前述のように、カントリーリスクの顕在化や、世界的な恐慌に陥ると真っ先に新興国資産が売却され、市場が大幅に下落します。先進国への投資よりも大きな損失になる可能性が高いのです。

新興国投資は大きな収益を得る可能性と同時に、損失を被る可能性も高いことを認識しておきましょう。

3-3.分散投資を徹底する

分散投資の手法には国や地域の分散、資産の分散、時間の分散などが挙げられます。新興国投資では、カントリーリスクが懸念されるため、一つの地域に多額の資金を投資するのは避けたほうが良いでしょう。

新興国同士でも、関係性が遠い国や地域への分散投資が望ましいといえます。株式の他に債券などを組み合わせて、つみたて投資など時間の分散も考慮する運用方法も考えられます。

4.インドに投資できる投資信託やETF5選

現状、インドの金融資産に投資するには投資信託やETFを介する方法が一般的です。投資信託やETFを通じてインドへ投資できるファンドを5つ紹介します。

  1. イーストスプリング・インド株式オープン
  2. 野村インド債券ファンド(毎月分配型)
  3. 三井住友DS-高成長インド・中型株式ファンド
  4. 新生・UTIインドファンド
  5. NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信

※以下、数値は全て2024年5月27時点。

4-1.イーストスプリング・インド株式オープン

基準価額 31,447円
純資産 2,532億円
運用管理費 1.9497%程度
騰落率 51.4%(1年)
設定日 2004年9月30日

運営会社のイーストスプリングは、イギリスに拠点を置く金融サービスグループです。インド株式を扱うファンドの先駆け的存在で、運用を始めて約18年になりました。

基準価額の変動が激しいファンドでしたが、コロナ禍の2020年以降から現在に至るまで継続して上昇し続けています。

組入上位5業種

業種 比率
1.銀行 19.2%
2.自動車・自動車部品 12.3%
3.エネルギー 12.2%
4.ソフトウェア・サービス 11.1%
5.電気通信サービス 5.7%

全44銘柄中の組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率
1.リライアンス・インダストリーズ エネルギー 9.5%
2.ICICI銀行 ソフトウェア・サービス 7.4%
3.インフォシス 銀行 6.5%
4.HDFC銀行 銀行 5.8%
5.タタ・コンサルタンシー・サービシ
ソフトウェア・サービス 4.6%
6.マヒンドラ・マヒンドラ 自動車・自動車部品 3.9%
7.アクシス銀行 銀行 3.5%
8.バルティ・エアテル 電気通信サービス 3.4%
9.ラーセン&トゥブロ 資本財 3.4%
10.インドガス公社 公益事業 3.1%

インド国内の産業を象徴するように、組入上位業種や銘柄は銀行やソフトウェアサービスが多くを占めています。

中でも組入比率第三位のインフォシスは、世界各地に拠点を持つITコンサルティング、ソフトウェアサービスを提供する会社です。今後のインドを牽引するリーディングカンパニーとして、視線を集めています。

4-2.野村インド債券ファンド(毎月分配型)

基準価額 7,578円
純資産 1,176億円
運用管理費 1.584%~1.744%程度
騰落率 20.4%(1年)
設定日 2011年11月30日

野村アセットマネジメントが運営するインド債券を投資対象としたファンドです。基本的に利払いによるインカムゲインを収益の柱としています。

運用は2023年12月時点で12年となっており、毎月分配金を出しながら基準価額を積み上げてきました。

分配金の推移と設定来の合計額

2024年4月 50円
2024年3月 50円
2024年2月 50円
2024年1月 50円
2023年12月 50円
設定来合計 12,960円

保有債券の内訳

種別 比率
国債 8.0%
社債 70.0%
国際機関債・政府機関債
(含む公営企業等)
16.3%
小計 94.2%
その他の資産 5.8%
合計 100%

格付ごとの割合(S&P社、ムーディーズ社のいずれかの格付機関の高い方の格付)

格付 純資産比率
AAA 0.3%
AA 0
A 0
BBB 57.4%
BB 15.2%
B以下、無格付 21.3%
その他の資産 5.8%
合計 100%

ポートフォリオの特性値

組入銘柄数 188
平均最終利回り 6.7%
平均直接利回り 6.3%
平均デュレーション 3.6年
平均格付け BBB

全188銘柄の上位5銘柄

銘柄 クーポン 償還日 業種 割合
1.INDIAN RAILWAY FINANCE 7.83% 2027/3/19 政府機関(含む公営企業等) 1.8%
2.RELIANCE INDUSTRIES LTD 8.95% 2028/11/9 石油・ガス 1.6%
3.HDFC BANK LTD 7.95% 2026/9/21 銀行 1.6%
4.INDIA GOVERNMENT BOND 9.20% 2030/9/30 国債 1.5%
5.INDIA GOVERNMENT BOND 6.79% 2027/5/15 国債 1.5%

保有債券の多くは投資適格債の最低ラインとされるBBBの社債で占められており、最終利回りは7.1%%です。ジャンク債とされるBB以下の債券も含まれており、ややリスクが高い債券で構成されています。

リスクは高めながらも、債券ファンドは株式の価格変動と対象的な値動きをし、インカムゲインによる資産成長が中心となるため、分散投資先のファンドとして有効です。

4-3.三井住友DS-高成長インド・中型株式ファンド

基準価額 14,588円
純資産 2,607億円
運用管理費 2.0505%程度
騰落率 54.2%(1年)
設定日 2011年8月31日

インドの中型株式を主な投資対象として運用を行うファンドです。インドの総合金融グループであるコタック・マヒンドラによって運営が行われます。同じインド株式のファンドでも前出のイーストスプリングとは、組入銘柄や業種が大きく異なる点が注目ポイントです。

1年間のトータルリターンでは、やや当ファンドの成績が劣っています。

直近と設定来合計の分配金

2023年2月 0円
2023年5月 300円
2023年8月 200円
2023年11月 200円
2024年2月 200円
設定来合計 17,300円

組入上位5業種

業種 割合
1. 資本財 12.4
2.素材 11.7
3.⾃動⾞・⾃動⾞部品 10.5%
4.銀⾏ 8.3%
5.⾦融サービス 7.8%

全86銘柄中の組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率
1.Zomato 消費者サービス 3.9%
2.Shriram Finance ⾦融サービス 3.3%
3.Cummins India 資本財 2.7%
4.Power Finance Corporation ⾦融サービス 2.7%
5.Apollo Hospitals Enterprise ヘルスケア機器・サービス 2.6%
6.PB Fintech 保険 2.6%
7.Thermax 資本財 2.4%
8.Max Healthcare Institute ヘルスケア機器・サービス 2.3%
9.Supreme Industries 素材 2.1%
10.Max Financial Services 保険 2.0%

高成長インド・中型株式ファンドでは、中型株式を主な投資対象としているせいか、ソフトウェアサービスの代わりに資本財や素材などの業種の構成比率が高めに配分されています。

4-4.新生・UTIインドファンド

基準価額 42,321円
純資産 804億円
運用管理費 1.954%程度
騰落率 37.79%(1年)
設定日 2006年12月27日

主にインドの証券取引所に上場している株式へ投資するファンドです。実質的な運用は、インドの投信会社であるUTIグループが請け負います。

組入銘柄上位5業種

業種 割合
1.銀行・金融サービス 23.6%
2.消費財 15.2%
3.消費サービス 14.0%
4.情報技術サービス 11.5%
5.資本財 6.5%

全44銘柄中の組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率
1.ICICI銀行 銀行 6.4%
2.HDFC銀行 銀行 6.2%
3.バジャジ・ファイナンス 銀行・金融 5.3%
4.LTIマインドツリー 情報技術サービス 4.7%
5.アベニュー・スーパーマーツ 消費サービス 4.1%
6.インフォエッジ・インディア 消費サービス 3.4%
7.コタック・マヒンドラ銀行 銀行・金融サービス 3.3%
8.インフォシス 情報技術サービス 3.3%
9.タイタン 消費財 3.0%
10.アストラル 資本財 2.8%

組入業種や組入銘柄では、多くを銀行が占めています。次いで、ソフトウェア会社などの情報技術サービス、小売店などのサービス業が見られます。

インド株式をテーマにしたファンドはいくつもありますが、運用会社ごとに成績が異なるため、ファンドの構成など詳細の確認は押さえておきたいところです。

4-5.NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信

基準価額 37,506円
純資産 698億円
運用管理費 1.045%
騰落率 40.2%(1年)
設定日 2009年11月24日

インドを代表する株価指数のNifty50指数に投資するETFです。インドのナショナル証券取引所に上場する銘柄の中から、時価総額や流動性、浮動株比率などの基準を用いて選定された50銘柄で構成されています。

指数にリアルタイムで取引できる点がETFのメリットです。一方で、投資信託のように月次レポートの内容が充実していないデメリットもあります。

まとめ

インド株式や債券をテーマとしたファンドは、以前に比べてかなり数が多くなりました。新興国の中でも成長著しいインドへの投資は、ポートフォリオ構成にあたって押さえておきたいところです。

ファンドによって運用成果が異なるため、投資をする時はファンドごとの運用方針や運用成果をよく確認するようにしましょう。

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