環境・インパクト用語を含むファンドの44%が新EU規制に違反の可能性。Clarity AI調査
サステナビリティ分析プラットフォームClarity AIの最新調査によると、環境・インパクト用語を使用しているファンドの44%が、欧州のファンド名称ルールに違反し、名称の変更もしくは資産の売却を迫られる可能性がある(*1)。
欧州連合(EU)の専門機関である欧州証券市場監督機構(ESMA)は5月14日、ESGやサステナビリティに関連する用語の使用したファンドの名称に関する最終的なガイドラインを公表した。
過去数年間に欧州でファンドの名称としてサステナビリティに関連する用語の使用が急増する中、ESMAはグリーンウォッシュのリスクが高まっていることを指摘した上で、新たな規則を発表した。
新ルールでは、ESG、サステナビリティ、インパクトといった用語を使用するファンドは、ファンドのサステナビリティの目的を達成する投資先に資産の80%以上を振り向けなければならない。
パリ協定適合ベンチマーク(PaB)の除外基準に従う必要もある。同基準には、兵器に関与している企業、タバコ生産に関与している企業、収益の10%以上が石油生産または精製、1%以上が石炭、50%以上がガス生産、収益の殆どが炭素集約型の発電によるものなどが含まれる。
新ガイドラインは、ESMAのウェブサイトで公表されてから3か月後に適用が開始され、既存ファンドはそれから6か月間以内に必要な修正をおこなう必要がある。
Clarity AIの調査では、ファンド名に環境やインパクト用語を使用しているEU籍のファンドが3,256本に上った。その半数近くが、PaBの除外基準に抵触する資産に投資している。PaB基準に違反する投資を行っているファンドのうち、約80%が8条ファンド(#1)である。
化石燃料に関する除外基準に抵触するものが最も多いが、たばこの生産や兵器など除外基準に違反する複数の企業に投資していることも明らかになった。
これらの結果は、調査対象となった多くのファンドが、新ガイドラインを遵守すべく、環境・インパクトに関する用語の使用を再考するか、特定の投資対象からのダイベスト(撤退)を余儀なくされることを示唆している。
Clarity AIは、最先端の技術を活用して市場参加者にサステナビリティ関連の洞察を提供している。同社のPaB除外ツールにより、PABの除外基準に抵触する企業へのエクスポージャーを迅速に確認することができる。
(#1)8条ファンド…サステナブル投資には該当しないものの、結果としてESGのうちEまたはSを促進している投資を運用ポートフォリオのメインに据えたもの。ライトグリーン・ファンドとも呼ばれる。
【参照記事】*1 Clarity AI「Nearly half of the funds with environmental terms in their names may breach new EU regulations」
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