ソラナ(SOL)ステーキングとカーボンクレジット利用 Sunrise Stakeの仕組み解説
一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / @fukuokasho12))に解説していただきました。
目次
- Sunrise Stake(サンライズステーク)とは
1-1.Sunrise Stake(サンライズステーク)の概要
1-2.ソラナ財団のカーボンニュートラルへの動き - Sunrise Stake(サンライズステーク)の仕組み
2-1.SOLのステーキング
2-2.利用できるカーボンクレジット - Sunrise Stake(サンライズステーク)の特徴
3-1.ブロックチェーン技術を採用
3-2.簡単に環境問題解決に貢献できる
3-3.将来性がある - 実際の利用方法
4-1.ステーキングの方法
4-2.ステーキングの解除方法
4-3.ステーキング報酬の使用方法 - まとめ
ソラナ財団(Solana Foundation)は、2023年12月のエネルギー使用報告書において、2022年のネットワーク上のカーボン・フットプリントを相殺するために、10,901.2トンのカーボンクレジットを購入し、史上初めてカーボンニュートラルを達成したことを発表しました。
なお、これらのクレジットはすべてオンチェーン上で展開されている「ecoToken(エコトークン)」と「Sunrise Stake(サンライズステーク)」を通じて購入されたということで、脱炭素に向けた大きな一歩であると関心を集めています。
そこで今回は、その中でも「Sunrise Stake」にフォーカスし、その概要や仕組み、実際の利用方法などについて、詳しく解説していきます。
①「Sunrise Stake(サンライズステーク)」とは
1-1.「Sunrise Stake(サンライズステーク)」の概要
「Sunrise Stake(サンライズステーク)」とは、ソラナ(Solana)ブロックチェーン上でステーキングすることによって得られた利回りを、気候変動問題の解決のために利用することができるReFiステーキングプロトコルです。
「ReFi(リファイ)」とは、「Regenerative Finance」を略したもので、日本語では「再生金融」と訳されます。具体的には、ブロックチェーンテクノロジーを活用して、環境や社会に良い影響を与えるプロジェクトに報酬やインセンティブを提供する金融システムのことを指し、こうしたプロセスを通じて、サスティナブルな経済活動を促進しています。
そんなReFiの金融システムを導入したSunrise Stakeでは、仮想通貨を保有し、ブロックチェーンの安定稼働に貢献したことの対価として、報酬(仮想通貨)を受け取ることができる「ステーキング」から発生した利回りを用いて、カーボンクレジットを購入してオフセットに利用したり、環境プロジェクトへの投資を行うことが可能となっています。
このように、Sunrise Stakeは、ブロックチェーンの特徴である透明性、分散性、不変性、信頼性などを利用して、これまでの金融システムにはない柔軟且つ効率的なサービスを提供することに成功しており、多岐にわたるステークホルダーのニーズに応えています。
1-2.ソラナ財団のカーボンニュートラルへの動き
ソラナ財団(Solana Foundation)とは、ソラナプロトコルのエコシステム拡大と発展を促進することなどを通じて、公共財としての分散型技術の普及を促進することを目的に設立された組織のことを指します。
ソラナ財団では、2021年11月の最初のエネルギー使用報告書以来、ネットワークのカーボンフットプリントを定期的に測定・公表し、オフセットによってネットワークをカーボンニュートラルにすることを誓約するなど、脱炭素に向けた取り組みを積極的に行ってきました。また、2023年5月には、ソラナを、温室効果ガスの排出量をリアルタイムで測定する業界初のスマートコントラクトブロックチェーンとするための取り組みを推進していくことを宣言し、大きな注目を集めました。
具体的には、カーボンデータプラットフォームの「トライカルボナーラ(Trycarbonara)」と連携し、ソラナのブロックチェーン上で二酸化炭素排出量をリアルタイムで測定する追跡ダッシュボードを立ち上げたということで、ソラナ財団は、環境に配慮した取り組みの先駆けとして、トライカルボナーラと共同で新たなデータポータルを作成し、ソラナの排出量をリアルタイムで測定するとともに、ブロックチェーンエコシステムにおける二酸化炭素排出量の透明性向上を目指すとしています。
そして、こうした取り組みの中、ソラナ財団は2023年12月のエネルギー使用報告書において、史上初めてカーボンニュートラルを達成したことを発表しました。
内訳としては、2023年4月1日から2023年9月30日までのソラナブロックチェーンのカーボンフットプリントは4,392.9 tCO2、年間合計は8,785.8 tCO2であり、ソラナ財団は、2022年のネットワークのカーボンフットプリントを相殺するために10,901.2トンのカーボンクレジットを購入したということです。冒頭でも触れた通り、これらのクレジットは、今回紹介している「Sunrise Stake(サンライズステーク)」および「ecoToken(エコトークン)」を通じて取得されたということです。
「ecoToken(エコトークン)」とは、トークン化されたカーボンクレジットを使うことによって、オンチェーンでオフセットができるプラットフォームとなっており、カーボンクレジットを購入してオフセットを行うと、「インパクト証書(ecoNFT)」が発行される仕組みだと説明されています。また、ソラナ財団は、実際2023年12月に、このecoTokenを通じて5,000トンのカーボンクレジットを購入し、同ネットワークで発生した二酸化炭素をオフセットしたと発表しており、主に前述した2つのプロジェクトを通して、脱炭素に向けた取り組みを強化しています。
②「Sunrise Stake(サンライズステーク)」の仕組み
では、ここからはSunrise Stakeの仕組みについて、詳しく解説していきます。
2-1.SOLのステーキング
前述した通り、Sunrise Stakeでは、ソラナ(Solana)ブロックチェーン上でネイティブトークンである「SOL」をステーキングすることによって得られた利回りを、気候変動問題の解決のために利用することができます。
では、ここでステーキングについて、改めて簡単に解説しておきます。ステーキングは、仮想通貨による資産運用方法の1つとして知られており、対象の仮想通貨を保有するだけで利益を得ることができることから、仮想通貨の世界にインカムゲインを誕生させた存在と言われています。
仮想通貨を保有しているだけで利益が得られる仕組みには、ブロックの承認作業を定義するコンセンサスアルゴリズムが大きく関係しています。コンセンサスアルゴリズムは、それぞれのブロックチェーンごとに異なっていて、例えば「ビットコイン(BTC)」では「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」、「イーサリアム(ETH)」では「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」が用いられています。Sunrise Stakeで採用されているソラナブロックチェーンでは、「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」や「プルーフ・オブ・ヒストリー(PoH)」が用いられており、SOLを保有している人にランダムにトランザクション承認の権利が付与され、承認者として選ばれた人がブロックチェーンにトランザクションデータを記録する仕組みとなっています。この仕組みでは、ランダムではあるものの、SOLをより多く、長く保有している人ほど承認の役割を割り当てられる確率が高まり、その結果として、配布される報酬も増える構造が採られています。
Sunrise Stakeでは、こうした仕組みを活用し、ステーキング報酬によってカーボンクレジットの購入や環境プロジェクトの投資が行われるソリューションを提供しているというわけです。なお、具体的には、ステーキング報酬がプールに支払われ、スマートコントラクトによって利回りが自動で環境貢献に使われるシステムとなっています。また、Sunrise StakeにSOLをステーキングすることによって、SOLと同等の価値を有する「gSOL(グリーンSOL)」を受け取ることができます。
このgSOLは、SOLのステーキングを解除する際に使われるほか、ソラナベースのリステーキングプロトコルで運用することも可能だと説明されています。
2-2.利用できるカーボンクレジット
前述した通り、Sunrise Stakeでは、ステーキングから発生した利回りを用いてカーボンクレジットを購入し、オフセットに利用することが可能となっていますが、この際利用できるカーボンクレジットとして、「Toucan(トゥーカン)」が提供する「NCT」と呼ばれる自然ベースのカーボンクレジットトークンが採用されています。
「Toucan(トゥーカン)」とは、2021年10月に立ち上げられたスイスに拠点を置く非営利組織で、2050年までに人類がインターネットから排出するエネルギーを実質ゼロにするという目標のもと、主にブロックチェーンテクノロジーを駆使したカーボンクレジット市場におけるインフラストラクチャの構築を行っています。また、このインフラストラクチャは、個人や企業などのユーザーに対して、環境資産であるカーボンクレジットをトークン化し、幅広い用途で利用できるサービスを提供しており、ブロックチェーンテクノロジーの特徴を活かした脱炭素対策を推進しています。なお、Toucanでは「BCT(Base Carbon Tonne)」と「NCT(Nature Carbon Tonne)」というトークンが発行されており、今回紹介しているSunrise Stakeでは「NCT」が1トンの二酸化炭素に相当すると説明されています。
具体的には、トークンをバーンすると、カーボンクレジットが償却される仕組みだということです。さらに、前述した「ecoToken」も選択可能だということで、今後、Refiが発展していくにつれて、カーボントークンの選択肢もますます増えていくと考えられています。
③「Sunrise Stake(サンライズステーク)」の特徴
3-1.ブロックチェーン技術を採用
前Sunrise Stakeはソラナのエコシステム内に構築されたReFiであり、ブロックチェーンテクノロジーを駆使したサービスの提供を行っています。
ブロックチェーンとは、日本語で「分散型台帳」とも呼ばれるデータベースで、ネットワーク内で発生した全ての取引を記録する「台帳」としての役割を持っており、ネットワークに参加している全てのユーザーが同一の「台帳」を共有することによって、情報の信ぴょう性を確保しています。そのため、Sunrise Stakeは、ネットワーク内におけるセキュリティ性を常に高い状態で保つことに成功しており、ユーザーは安心してサービスを利用することが可能です。また、Sunrise Stakeにおいてポイントとなっている「ステーキング」ですが、これはWeb3.0時代のプロトコルにおける必要不可欠なソリューションとして位置付けられており、今後もそのニーズはより一層拡大していくと考えられています。
3-2.簡単に環境問題解決に貢献できる
近年、世界中でカーボンニュートラルや脱炭素といったキーワードが注目されており、温室効果ガスの削減に向けて、さまざまな取り組みが行われています。しかしその一方で、実際にアクションを起こそうと思っても、何から始めていいのか、どのような方法があるのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そんな中、Sunrise StakeではSOLのステーキングというシンプルな方法で環境問題解決に貢献できるため、脱炭素やカーボンニュートラルに関する専門的な知識がなくても、簡単にプロジェクトをサポートすることが可能です。
3-3.将来性がある
ステーキングはWeb3.0時代における必要不可欠なソリューションとして認識されており、今後もニーズの拡大が見込まれているほか、環境問題に関しても、「SDGs(持続可能な開発目標)」や「パリ協定」などの策定を受けて、今後は取り組みがより一層加速していくと見られています。
そんな中、Sunrise Stakeはこの2つの要素を掛け合わせた画期的なプロジェクトとなっており、現在、そして未来のトレンドにマッチした内容であることから、将来性が十分にあると言え、さらなる規模の拡大が期待できるでしょう。
④実際の利用方法
4-1.ステーキングの方法
Sunrise Stakeによるステーキングは、プラットフォーム上で数回クリックするだけで完了するため、誰でも簡単に行うことができます。具体的なプロセスは、下記の通りです。
- Sunrise Stakeのサイトにアクセスして、ウォレットを接続します。
- ステークしたいSOLの量を選択します。
- 「ステーク」をクリックして、トランザクションを確認します。
Sunrise Stakeでは、SOLをステーキングすることによって、同等の価値を持った「gSOL」を受け取ることができます。なお、「gSOL」は、保有して将来SOLに戻すことが可能なほか、サポートされているプラットフォームで使用することもできます。
4-2.ステーキングの解除方法
ステーキングの解除についても、簡単な操作のみで完了することが可能です。具体的なプロセスは、下記の通りです。
- Sunrise Stakeのサイトにアクセスして、ウォレットを接続します。
- ステーキングを解除したい「gSOL」の量を選択します。
- 「Unstake」をクリックして、トランザクションを確認します。
4-3.ステーキング報酬の使用方法
前述したように、Sunrise Stakeで発生した利回りは、気候変動問題の解決に寄与するプロジェクトのために利用することが可能です。
Sunrise Stakeには、利回りを収集し、どのターゲット(プロジェクト)に割り当てるのかを決定する「イールド・コントローラー(Yield Controller)」と呼ばれる機能が搭載されています。Sunrise Stakeでは、秘密キーやSunrise Stakeの運営元などではなく、イールド・コントローラーという名のスマートコントラクトによって、SOLをステーキングして得た利回りの所有およびコントロールが行われているというわけです。
そして、前述の通り、この利回りはToucanが発行する自然ベースのカーボンクレジットに裏付けされたNCT、およびecoTokenの購入に割り当てられる仕組みとなっています。
⑤まとめ
近年、気候変動問題がますます深刻化しており、世界各地で温室効果ガス排出量の削減を目指したプロジェクトが展開されています。そんな中、今回紹介したSunrise Stakeでは、ブロックチェーンテクノロジーを駆使することによって、高いセキュリティ性を維持した環境下において、ステーキング報酬で環境貢献ができるシステムを実現しています。
このように、脱炭素に向けてブロックチェーンテクノロジーを活用する動きは年々増加しており、「欧州連合(EU)の」執行機関である「欧州委員会」は、ブロックチェーンがあらゆる分野において、排出量の正確な測定の基盤として機能することを評価しているほか、アメリカにおいても、バイデン大統領が仮想通貨のマイニングに使用される電力に対する消費課税率を30%に引き上げる予算案を提案しているなど、「環境問題 × ブロックチェーンテクノロジー」の話題が盛り上がりを見せています。
こうした動きを受けて、Sunrise Stakeも、今後のブロックチェーン業界における環境への取り組みの方向性を示すような存在になることが期待されるため、興味のある方はこの機会に一度、理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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