東京と福岡でのアパート経営の違いは?空室率や成約賃料から見る地域特性と投資戦略
アパート経営を検討するときには、各地の利回りや空室リスク、賃料水準などを踏まえて投資判断するのが大切です。東京と福岡は共に日本有数の大都市圏であり、アパート経営を考えるときに検討しやすい地域といえます。
今回の記事では、アパート経営の観点から東京と福岡の特徴に違いや魅力・注意点をまとめました。また後半では、アパート経営について相談しやすい不動産会社についても紹介します。
目次
- 東京と福岡の空室率の推移
- 東京と福岡の成約賃料の推移
- 東京と福岡の不動産価格・利回りの推移
- 東京・福岡におけるアパート経営のメリット・注意点
4-1.東京でアパート経営を行うメリット
4-2.東京でアパート経営を行うときの注意点
4-3.福岡でアパート経営を行うメリット
4-4.福岡でアパート経営を行うときの注意点 - 東京・福岡でのアパート経営に適した不動産会社
5-1.シノケンプロデュース
5-2.アイケンジャパン - まとめ
1 東京と福岡の空室率の推移
株式会社タスの調査レポートによると、東京と福岡の空室率は次の通りです。
空室率の推移
出所:株式会社タス「REPORT レポート」
福岡県の空室率は近年上昇傾向で、2024年5月時点で福岡県の空室率は11.69%となっています。なお、東京は10.42%です。2022年12月までは東京の空室率の方が高くなっていますが、以降は逆転しています。
上記は県内全体の指標になるため、立地選びにより空室リスクは引き下げられる可能性があります。特に相対的に空室リスクが高い福岡県では、空室リスクを抑えられる立地選びがより一層重要といえるでしょう。
2 東京と福岡の成約賃料の推移
全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」では毎月都道府県別の賃料水準を公表しています。2024年6月は総平均賃料が東京が79,347円で前年同月比+9.7%、福岡県で59,979円で前年同月比+9.2%です。
成約賃料の推移(円)
出所:全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」
どちらの地域も、過去1年は物価高騰などの影響もあり賃料上昇が進んでいます。賃料の上昇は基本的にオーナーにとって収益の拡大要因となりますが、行き過ぎると空室リスクが高まる要因となる点に留意が必要です。
3 東京と福岡の不動産価格・利回りの推移
不動産価格は一貫して首都圏の方が高く、利回りは福岡が含まれる九州・沖縄の方が高水準です。
アパート物件価格の推移(万円)
出所:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)「健美家レポート」
不動産価格は2023年末時点で、首都圏が8,475万円、九州・沖縄が6,421万円です。二つの地域には2,000万円以上の開きがあります。また、どちらの地域も2020年以降は一貫して不動産価格が上昇傾向です。
アパートの利回り
出所:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)「健美家レポート」
利回りは2023年末時点で、首都圏が7.58%に対して九州・沖縄が9.07%です。利回りだけで見れば、福岡の方が相対的に高い収益性が期待できるということになります。しかし、先ほど紹介した通り空室率は福岡の方が高いという点に留意が必要です。
4 東京・福岡におけるアパート経営のメリット・注意点
ここまでのデータやそれぞれの都市の特性を踏まえて、東京および福岡でアパート経営を行ううえでのメリットと注意点をまとめました。投資先を検討するときに、ぜひ参考にしてください。
4-1 東京でアパート経営を行うメリット
東京でのアパート経営を行う利点は大きく分けて次の3点です。
- 不動産価格の推移が相対的に堅調
- 若年層・単独世帯の流入が期待できる
- 交通網が発達していて立地選びがしやすい
国土交通省の不動産価格指数の推移によると、首都圏を含む南関東圏は、長期にわたり順調に価格上昇しています。全国平均よりも力強く価格が上昇しています。
不動産価格指数(住宅)の推移
出所:国土交通省「不動産価格指数」
なお、上記の価格指数は一軒家やマンションなどほかの住宅の不動産価格も含まれているため、アパートに限定しても同じような推移にならない点には留意が必要です。しかし、同地域の住宅価格指数が上がれば、アパートの価格にも好影響が期待されます。保有物件の売却時に、相対的に良い条件・価格で売却できる可能性が高まるでしょう。
また、東京は若年層の単身世帯の流入が見込めるのが特徴です。多くの教育機関や企業の本社が立ち並ぶ東京には、日本各地から学業・仕事のために人が集まります。
単身の若年層をターゲットとしたワンルームや1LDK程度のアパートは、投資目的でのアパート経営がしやすい物件タイプの一つです。東京は、ワンルームのターゲット層となる若年層の流入が進んでいることから、将来的なリスクを抑えた経営が見込みやすいという特徴があります。
最後に、交通網が発達している<点も、東京でのアパート経営がしやすい要因のひとつです。鉄道・地下鉄。バスを中心に公共交通機関が高度に発達してて、首都圏各地から市街地まで容易に移動しやすくなっています。アパート経営は都市部からやや離れた郊外で検討されるケースも少なくありませんが、東京であれば少々郊外でも、利便性のよい好立地をみつけやすいでしょう。
4-2 東京でアパート経営を行うときの注意点
東京でアパート経営をおこなうときの注意点は、次のとおりです。
- 不動産価格が高く初期費用が高額化しやすい
- 競合物件が多い
- 建物が密集していて好立地に空き地がない場合も
さきほど福岡と比較したとおり、東京は物件価格が高水準です。取得時の初期費用や自己資金が高額化したり、より多くのローンを借りなければならないケースが多くなります。個人の属性によっては、購入検討できる物件の制約が厳しくなる可能性もあるでしょう。
また、東京は賃貸需要が旺盛な分、すでに多くのアパートが立ち並んでいます。競合物件が多くなる分、入居者の目も厳しくなる可能性があります。周囲の物件に劣後しないよう、住環境のよい高品質な物件でアパート経営を進める必要があるでしょう。
すでに住宅が密集している東京都内では、利便性の良い土地を見つけるのが容易ではありません。不動産の需要も旺盛なので、アパート経営に適した空き地が出ても、大手不動産会社など資金力の豊富な買い手がすぐに現れてしまいます。個人がアパート経営に適した土地を仕入れて投資する、といった方法は容易ではありません。
中古物件でのアパート経営を検討するか、土地取得に強みを持つ不動産投資会社のサポートを得るのが有効な戦略となります。
4-3 福岡でアパート経営を行うメリット
福岡でのアパート経営の魅力は次の3点です。
- 首都圏と比べて不動産価格が安い
- 利回りが高水準で高収益が期待できる
- 若年層が転入超過となっている
福岡を含む九州圏は、首都圏よりも不動産価格が割安です。相対的に低い価格でアパートを取得できるため、自己資金やローン借り入れを抑えて投資ができます。
不動産価格についてはゆるやかに上昇しているため、魅力的な物件を選べば将来魅力的な価格で売却できる可能性もあります。また、利回りは東京と比べて高水準なのも特徴です。投資額に比して高い利回りを追求できる余地があります。
また、福岡県が令和2年に発表した「第2期福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略」によると、福岡市は15歳~24歳の若い学生・社会人の転入超過が続いています。首都圏や大都市圏以外で、若年層の人口流入が続く地域は多くありません。福岡県は、地方としてはアパート経営にチャレンジしやすい地域といえるでしょう。
4-4 福岡でアパート経営を行うときの注意点
福岡でアパート経営を行う場合、次の点には注意が必要です。
- 空室率が首都圏と比べて高い
- 人口減少の地域差には注意
福岡県は空室率が首都圏と比べると高めで、10%を超えています。また、福岡市の都心部と周辺部では格差が生じている可能性もあります。福岡県でアパート経営をおこなうときには、人口動態を詳しくチェックして、相対的に空室リスクの小さい地域を選ぶことが、有効な対策となるでしょう。
空室率と同様に、人口減少の地域差にも注意が必要です。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」によると、福岡市全体では2020年→2050年にかけてほぼ人口が横ばいと推計されています。大都市圏を除外した地方としては相対的に人口が減りにくい地域といえるでしょう。
一方で、同じ福岡県内でも北九州市は▲22%程度と予測されているなど、福岡市以外では人口減少が進む地域もあります。現在だけでなく将来の人口見通しも考慮したうえで、賃貸需要が見込める地域のアパート経営を進めていくことが大切です。
5 東京・福岡でのアパート経営に適した不動産会社
シノケンプロデュース、アイケンジャパンは、いずれも全国各地で豊富な投資用アパート販売実績がある不動産会社です。どちらの地域でアパート経営にチャレンジするとしても、堅実な経営をサポートしてくれます。
5-1 シノケンプロデュース
シノケンプロデュースは、土地の選定から企画、設計、施工、引き渡し後の賃貸管理まで一貫したサービスを提供するアパート建築会社です。一般投資家向け賃貸住宅経営のパイオニアとしても知られており、アパート供給棟数は自社施工で7,000棟を超えています。「賃貸住宅に強い建築会社ランキング」(全国賃貸住宅新聞)の「年間アパート開発棟数部門」では、9年連続No.1の実績があります。
グループ会社のシノケンファシリティーズの管理戸数は47,000戸以上(2023年12月末時点)、入居率98.56% (2023年年間平均入居率)となっています。このような入居率の高さは、5,000店舗以上(2024年5月時点)の仲介業者と提携し、良好な関係を築いていることも要因の一つです。
シノケンプロデュースは、元々は福岡の企業ですが、現在は東京都港区に本社を構えています。また、大阪市にもオフィスを展開しており、各都市ごとのアパート経営の特徴に精通している会社です。
東京と福岡で豊富な物件販売実績がある
シノケンプロデュースの販売物件は、多くが自社開発の物件となっています。東京・福岡の双方に拠点を構えており、物件販売実績も豊富です。創業時の本拠地である福岡市では、過去に着工件数ランキングで7年連続1位になった実績もあります。
同社は、土地の取得から自社で進めているのが特徴です。福岡では長らく事業を継続してきた強みから、地域の特性を理解して魅力的な立地の土地をいち早く取得できます。東京でも、地元の不動産会社とのリレーションを強化して、市場に出回る前に魅力的な用地確保を進めています。
そのうえで、機能性とデザイン性を両立した魅力的なアパート物件を設計・施工しています。高品質な物件でアパート経営ができるため、周辺物件との競合に劣後することなく、スムーズな入居者獲得が期待できます。
リレーションを持つ金融機関が多く融資もスムーズに
シノケンプロデュースは、すでに7,000棟以上のアパート販売実績があります。30年超にわたる不動産販売の実績から、金融機関の開拓も進んでいます。
東京・福岡で一棟アパートを購入すると物件価格が相応に高くなり、ローン借入金額の規模も大きくなりがちです。大きな金額の融資を引き受けてくれる金融機関を見つけなければなりません。
シノケンプロデュースは、上記の通り多くの金融機関とリレーションがあり、独自の提携ローンを利用できる場合もあります。初心者にとってネックとなりがちな融資の準備をスムーズに進められるでしょう。
5-2 アイケンジャパン
アイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をモットーに「グランティック」「レガリスト」などのアパートブランドを全国で展開する不動産会社です。2023年12月末時点で、アパート開発棟数1257棟の実績があります。
賃貸管理の実績として9,136戸(2023年12月時点)の管理を行っており、入居率99.3%(2023年年間実績)となっています。オーナーの負担が大きく、効果が一時的なフリーレントや家賃の値下げを行わずに高い入居率を維持しているのも特徴です。
2017年3月以降に完成したすべての物件で劣化対策等級が最高レベルの等級3の評価を第三者機関より獲得しています。2世代から3世代にわたって引き継ぐことが可能です。
アイケンジャパンは東京・大阪の双方に拠点を構えています。双方の地域でのアパート経営を気軽に相談することが可能です。
東京・福岡において豊富な開発・販売実績
福岡発祥のアイケンジャパンは、以前から福岡での物件開発や販売を積極的に行っています。
同社のウェブサイトには、過去の東京・福岡における開発・販売事例が多数掲載されています。福岡については、掲載物件だけでも福岡で250棟以上と実績が豊富です。(参考:アイケンジャパン「WORKS 施工実績」)
同社では、原則として徒歩15分以内の好立地に限定して土地探しを行っています。自社で土地を取得したうえで、土地の特性に応じて最適な物件デザインを行って、施工を進めるビジネスモデルです。自社で取得・デザイン・施工・販売を一貫しておこなうことにより、コストを抑えながら高品質なアパート開発・販売を実現しています。
福岡周辺の地元金融機関とのリレーションが強み
アイケンジャパンは、高品質な物件の販売と高稼働率を実現してきた実績があるため、多数の金融機関と強固なリレーションを築いています。
アイケンジャパンもまた、アパート経営初心者が利用しやすいアパート会社のひとつといえるでしょう。金融機関探しや融資交渉なども、提携している金融機関を活用すれば手間なく進められることが期待できます。特に福岡でアパート経営を手がけるときには、複数の金融機関と融資に関する相談が可能です。
6 まとめ
東京と福岡は、共にアパート経営を始めるうえで魅力的なエリアの一つです。二つの地域を比べると、東京の方が人口規模の大きさや堅調な不動産価格のトレンドなど、さらに堅実な不動産経営がしやすいと期待されます。
福岡は地域全体で見たときの空室リスクが高いものの、その分物件価格が安く利回りが高いのが特徴です。自分の投資に対する考え方や拠出できる自己資金、リスク許容度などを踏まえて、自分に合った地域を選んでアパート経営にチャレンジしましょう。
東京と福岡のどちらがよいか悩まれる方も多いと思いますが、アパート経営は投資家の属性や投資目的、資産状況などによって戦略が大きく変わってきます。今回紹介したシノケンプロデュースやアイケンジャパンのように、双方の地域で事業展開する不動産会社ではそれぞれの地域の特性を踏まえた提案を受けることが期待できます。まずはそれぞれの地域特性や物件価格などの情報収集から始められてみるのも良いでしょう。
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東京と福岡でのアパート経営の違いは?空室率や成約賃料から見る地域特性と投資戦略