AI工場やデータセンターのグリーン化を推進する液浸冷却スタートアップSubmer、82億円調達
液浸冷却スタートアップSubmerは10月3日、新たな資金調達ラウンドで5,550万ドル(約81億5,000万円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、人工知能(AI)工場やデータセンターのグリーン化を推進する。
今回の投資ラウンドは、英運用会社M&Gインベストメンツが主導し、Planet First PartnersとNorrsken VCといった既存投資家も参加した。3社はいずれもサステナビリティと環境責任に対するSubmerの取り組みを支持している。
M&Gのグローバル投資チームであるCatalystのグローバルヘッドを務めるニランジャン・シルデシュパンデ氏は「AIとデータ容量に対する世界的な需要が加速する中、弊社はSubmerの技術を、デジタルインフラに必要とされる大量のエネルギーと水を軽減する重要なソリューションと捉えている」と述べた(*1)。
3社はインパクト投資家として知られており、特に金融包摂と環境サステナビリティの分野において、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を推進するテクノロジーを支援することに注力している。3社の支援は、Submerの成長を加速させるだけでなく、テクノロジー業界におけるより環境に配慮したソリューションへの需要の高まりにも合致する。
3社は、欧州連合(EU)のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)の9条およびグリーンタクソノミーに準拠する。9条では、どのような企業がポジティブインパクトをもたらすかを定義しており、市場や投資家が持続可能な選択肢に投資を集中させるのに役立つ。
AIなどの革新的なアプリケーションの需要により、チップの熱設計電力(TDP※1)が増加する時代において、データセンターは膨大な量のエネルギーと水を使用している。
国際エネルギー機関(IEA)によると、データセンターの電力消費量は2022年に460テラワット時(TWh)に達し、世界の電力消費量の約2%に相当する。この数値は26年までに2倍に増加する可能性があると予測されており、欧州連合(EU)加盟国の総電力消費量を上回る見込みだ(*2)。
さらに、AIの世界的な需要により、27年には42億~66億立方メートルの水が必要になる可能性があるという推計も出ている。これはデンマークの年間総取水量の4~6倍、英国の半分に相当する(*3)。
従来の空冷やその他の液冷方式では益々不十分になってきているため、これらの主要な課題の解決に役立つ持続可能で拡張可能なソリューションとして液浸冷却の利用が浮上している。
Submerは15年にスペイン・バルセロナで設立され、データセンターが液浸冷却を利用できるようにする技術を提供し、容量の増加、電力と水の使用量の削減、コストの削減を支援している。液浸冷却プロセスでは、熱伝導性と誘電性の液体でIT機器を冷却し、すべてのコンポーネントの熱を回収し、回収した熱を再利用しやすくする。
同社は水を使わない持続可能なデータセンターを構築し、より環境に優しい未来への道を切り開くというミッションを掲げている。より公平で効率的な、地球に優しいデータセンター業界の実現に貢献し、変化をもたらそうとしている。
今回の資金により、Submerは新たなビジネスチャンスを活かし、顧客獲得を促進し、環境規制を順守しながら、インフラのニーズが高まる顧客をサポートできる。当面は、米国やアジア太平洋地域など主要市場でのプレゼンスを高めることに重点的に取り組む。
※1TDP…理論上の最大負荷に基づく電力消費。
【参照記事】*1 Submer「$55.5 Million USD Growth Round Fuels Submer’s Push for Greener AI Factories and Datacenters」
【参照記事】*2 IEA「Electricity 2024 – Analysis and forecast to 2026」
【参照記事】*3 arXiv「Making AI Less “Thirsty”: Uncovering and Addressing the Secret Water Footprint of AI Models」
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