カナダ、石油・ガス業界向けのGHG排出の上限設定。19年比35%減。26年分から排出量の報告義務

カナダ政府は11月4日、石油・ガス業界向けの温室効果ガス(GHG)排出の上限を設定する規制案を公表した(*1)。GHG排出量を2019年比35%削減すべく、新たなキャップ・アンド・トレード制度の下で26年分から排出量の報告を義務付ける。

新規制案は石油・ガス生産の成長を継続させることを目的とする。同セクターが技術的に実現可能な脱炭素化対策を講じる場合、19年を基準年とする新制度の下では30年から32年にかけて生産量が16%増加する見込みである。

新規制案の下では、石油・ガス業界を対象に、新たなキャップ・アンド・トレード制度による排出枠取引を導入する。同制度は、生産者に対して毎年、炭素排出量1トンに相当する排出枠が割り当てられるが、排出枠は排出量上限の減少に合わせて徐々に削減される。

排出量をカバーするのに十分な排出枠を持たない企業は、余剰排出枠を持つ企業から排出枠を購入することができる。排出量の最大10%まで脱炭素化プログラムを活用し、20%まではGHGオフセット・クレジットを利用可能だ(*2)。これらのオプションを組み合わせても、排出量の20%を超えてはならない。

新キャップ・アンド・トレード制度は、26年から29年の間に段階的に導入される予定である。企業は同期間中に排出量と生産量を報告することが義務付けられる。27年(2026年の排出量)には多量排出事業者、29年には小規模事業者も排出量の報告しなければならない。30年を最初の排出量を遵守する最初の年として、29年に初めて割り当てが行われる。

新排出枠制度は、上流部門の石油・ガス施設(海上施設を含む)と液化天然ガス生産施設に適用される。上流部門は、石油・ガスセクターの排出量の約85%を占めている。排出上限の対象となる活動には、オイルサンドの採掘と改良、在来型石油生産、天然ガス生産と加工、液化天然ガス生産が含まれる。

政府は、新規制案に対するフィードバックを求めるコンサルテーションを開始し、25年1月8日まで意見を受け付けると発表した。最終的な規制は25年に発表される予定である。

カナダのスティーブン・ギルボー環境・気候変動大臣は「近年、記録的な利益を上げている石油・ガス会社に対して、利益の一部を石油・ガス部門の汚染削減技術に再投資し、カナダの労働者や企業に雇用を創出することを求める。科学は明白である。気候変動による最も深刻な影響を回避するために、GHGによる汚染は大幅かつ緊急に削減されなければならない」と述べた(*1)。

カナダでは石油・ガス業界が最大のGHG排出源であり、国内排出量の30%以上を占めている。石油・ガスセクターは同国における主要な雇用部門でもあり、約40万人の雇用を支えている。カナダは30年までにGHG排出量を40~45%削減し、50年までにネットゼロを達成することを目指す気候目標を掲げている。

【参照記事】*1 Government of Canada「Canada releases draft regulations to cap pollution, drive innovation, and create jobs in the oil and gas industry
【参照記事】*2 Government of Canada「Oil and gas greenhouse gas pollution cap – Backgrounder to CGI Regulations

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