2050年ネットゼロ達成見込みはG2000企業の16%、脱炭素化にAI活用中の企業もわずか14%。アクセンチュア最新調査

アクセンチュアの最新調査レポート「Destination net zero」によると、世界の上場・非上場企業の収益上位2,000社(G2000)の中で、2050年までに事業活動でネットゼロを達成する見込みのある企業は16%にとどまった(*1)。脱炭素化のためにAIを使用している企業はわずか14%であった。

アクセンチュアは2021年より、G2000を対象にした脱炭素化への取り組みと進捗状況を分析している。The Smart Cubeと協業してサステナビリティ・レポートなど企業の公開文書を手作業で調査、データを収集、脱炭素化目標と行動に関する独自のデータベースを構築した。

同データベースをS&Pグローバル傘下トゥルーコストの排出量データと組み合わせることで、トレンドを特定し、グローバル企業のネットゼロへの道のりにおけるパフォーマンスを評価することができる。

今年の調査ではAIデータセンターの成長予測と二酸化炭素(CO2)排出量データを用い、AIの使用による将来的なエネルギー消費量と排出量の影響をモデル化した。アクセンチュアが定期的に実施している企業幹部への調査から収集した情報も活用し、ネットゼロへの取り組み、炭素削減活動、排出量データを分析している。

同レポートでは、G2000のほとんどの企業が脱炭素化に向けて進展していることが明らかになった。パリ協定が締結された16年から22年まで毎年、排出強度(スコープ1とスコープ2、中央値)を6%削減している。ただし23年比では3%増となる。

企業がパリ協定の目標達成からますます遅れを取っていることが示されてもいる。50年までに事業活動でネットゼロを達成する見込みのある企業は現在16%にとどまり、昨年の18%から減少した。

企業による脱炭素化への意欲の高まりはバリューチェーン全体に広がっているわけではなく、スコープ1、2、3のすべてにおいてネットゼロ目標を掲げている企業の割合は37%と伸び悩んでいる。昨年から0.3%しか増加しておらず、スコープ3の排出削減を含めたバリューチェーン全体を網羅した取り組みを推進することが課題となっている状況だ。

脱炭素化のための幅広いツールを導入する企業が増加していることも明らかになった。脱炭素化の主な手段としては、エネルギー効率(89%)、廃棄物削減(87%)、再生可能エネルギーの導入(85%)、サーキュラーエコノミー(循環経済)原則(85%)などを採用している。

AIの使用拡大が排出源となるとともに、気候目標を達成するためのツールにもなる指摘した。エネルギーやテクノロジーの大きな革新がない場合、アクセンチュアのモデリングでは、AIデータセンターの排出量は24年の6,800万トンから30年には7億1,800万トンへと10倍以上増加すると試算されている。

AIによる排出量の増加は急速に拡大しているにもかかわらず、アクセンチュアが調査した経営幹部の65%は、長期的(10年以上)にはAIによる排出量の純減を期待している。しかし、脱炭素化のためにAIを使用している企業はわずか14%であり、そのうちの22%は他の目的で使用していることが分かった。脱炭素化のためにAIの導入拡大は不可欠であると指摘している。

【参照記事】*1 アクセンチュア「Destination net zero: Fast-tracking progress

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