不動産投資の空室期間を短くするには?平均15日で空室を埋める不動産会社にインタビュー

空室期間の長期化は、不動産投資における収益性を大きく損なう要因の一つです。特に、東京都内のような需要と供給がともに豊富で、流動性の高い地域では、物件の設備仕様や家賃設定、募集戦略のわずかな差よって空室期間にも大きな違いが出てしまうことがあります。

本記事では、平均15日という短期間で空室を埋める実績を持つ不動産会社「エイマックス」へのインタビューを通じて、空室発生の要因分析から、募集条件の最適化、原状回復の運用体制、仲介会社との連携施策に至るまで、具体的な取り組み内容を伺いました。空室に悩む不動産オーナーの方、これから不動産投資を始められる方はご参考ください。

話し手プロフィール:株式会社エイマックス 宮地 英(みやち すぐる)氏

    國學院大学法学部を卒業後、新卒で大手銀行系不動産会社の営業職に従事(住宅、土地、オフィスビル、店舗・収益不動産の仲介)。その後メガベンチャー不動産投資会社に入社、社内トップの実績を残す。名古屋支社の立ち上げにも参画し、月間100名以上のコンサルティングに携わる。投資用マンション販売実績日本一である天田浩平の想いに共感し、創業メンバーとして入社。現在はコンサルティング部部長として活動中。

目次

  1. 不動産投資で早期に空室を埋めて入居率を高める方法
  2. 空室が発生しやすい物件の特徴
  3. 家賃アップを狙える家賃設定のコツと戦略について
  4. エイマックスの「管理の強さ」につながる評価制度の仕組み
  5. まとめ

1.不動産投資で早期に空室を埋めて入居率を高める方法

Q:エイマックスの「空室期間が平均15日」という実績は、どのような取り組みによって実現しているのでしょうか?

エイマックスの2025年1月~2月の空室日数は「平均15日」

「一番の要因は、原状回復工事のスピードとその体制にあります。通常、他社では原状回復に2週間前後かかることが一般的ですが、当社では繁忙期でも平均8.8日、閑散期であれば7日前後で完了しています。これにより、次の募集開始を他社よりも早く進めることができ、結果として空室期間の短縮につながっています。

なぜここまで早く対応できるかというと、社外の内装業者と専属契約を結び、ほぼ内製化に近い体制を取っているからです。この業者とは長年の関係があり、当社の管理戸数が増加する中で、それに合わせて人員体制も柔軟に拡充してもらっています。指示はSlackなどで即時連携が可能で、依頼内容に対してその日のうちに動いてもらえる機動力も非常に高いです。

また、価格面においても、取引の継続性と信頼関係から、他社よりも抑えたコストで対応いただいています。そのため、オーナーにとっても無駄な出費がなく、品質とコストの両立ができているのが強みです。

さらに、もう一つ重要なのは「原状回復の完了チェックを必ず自社で行っている」という点です。他社では業者任せになってしまっているケースが多く、結果的にクオリティにばらつきが出たり、見落としがあったりすることがあります。当社ではすべての物件に対して社内スタッフがチェックを行い、水回り・フローリング・壁紙・照明跡・ベランダなど、細部まで確認しています。オーナー様が見に来た際に「この状態ならすぐに決まりそうだ」と思ってもらえる仕上がりを意識しています。

このように、原状回復のスピードと品質、そしてその両方を可能にする運用体制が、当社が空室期間を最小限に抑えている理由です。」

Q:原状回復のスピードが早いことで、クオリティが下がることはありますか?

「原状回復のスピードと同様に、品質管理も非常に重視しています。最大のポイントは『すべて自社でチェックを行っている』という点です。多くの管理会社では内装業者に作業を一任し、完了後の確認も業者任せになっていることが少なくありません。その場合、業者ごとの基準や担当者の力量によって仕上がりに差が出るだけでなく、細かいミスや見落としがそのまま残ってしまい、結果的に内覧時の印象を悪くしてしまうリスクがあります。

当社では、原状回復が完了した後に必ず自社スタッフが現地に出向き、目視でチェックを行っています。チェック項目としては、水回りの清掃状況、フローリングや壁紙の補修状況、照明器具の取り付け跡、コンセントカバーの状態、さらにはベランダやバルコニーの清掃状況まで確認しています。特にバルコニーは見落とされがちですが、雑草やゴミが放置されているだけでも印象を大きく損なうため、当社では重点的に管理しています。

また、床の下部や巾木(はばき)の部分、小さな傷やはがれなども丁寧に補修するようにしています。これらはライトをつけてしまえば目立たないものですが、実際に現地を見た入居希望者やオーナー様には敏感に受け取られるポイントです。こうした細部への配慮を徹底することで、『内見時にがっかりされる』状態を未然に防ぐことができています。

現場での修繕や補正が必要な場合でも、専属の内装業者と密に連携しているため、即日で対応が可能です。この運用体制により、品質とスピードの両立が可能となっており、結果として空室期間の短縮と、オーナー満足度の向上につながっています。」

Q:入居を早期に決めるために、どのような広告や集客の工夫をされているのでしょうか?

「当社では、広告そのものよりも『仲介会社との連携体制』に重点を置いた仕組みを構築しています。具体的には、自社管理物件の成約を優先的に促す仕組みとして、独自のインセンティブ設計を運用しています。これは、エイマックスが管理している物件を決めてくださった仲介会社に対して、一定の報酬を提供するもので、現在ではおよそ500社以上の仲介会社がこの制度に参加しています。

この制度を活用することで、他社の物件よりも当社の管理物件を優先的に紹介してもらいやすくなり、結果として成約までのスピードも短縮されます。仲介会社にとってもメリットがあるため、自然と提案回数が増え、特に競合が多いエリアや条件が拮抗している物件でも決まりやすい状態を作り出すことができています。

また、最近ではノールック申込、つまり内覧せずに物件情報だけで申込が入るケースも増えており、その場合は写真や間取り図、周辺環境の情報をいかに的確に伝えるかが重要になります。その点、当社では原状回復後のタイミングを逃さず、即座に最新状態の写真を撮影・掲載し、仲介会社へ即共有する体制を取っています。」

2.空室が発生しやすい物件の特徴

Q:空室が起きやすい物件にはどんな特徴がありますか?

「いくつかありますが、まず一番多いのは『設備面での競争力が不足している物件』です。例えば、3点ユニットバス(浴槽・トイレ・洗面台が一体型)のお部屋は、やはり現代の入居者ニーズと比べると劣る部分があり、選ばれにくい傾向があります。特に、バストイレ別や独立洗面台のニーズは非常に高まっており、これらが備わっていないと、同じ家賃帯でも他の物件と比較されたときに劣後しやすいです。結果として、礼金や敷金をゼロにするなどの条件変更をしないと、なかなか申込が入らないという状況に陥りやすくなります。

また、立地が良くても空室になるケースがあります。もちろん駅近や都心部という強みはあるのですが、それでもやはり設備仕様が古かったり、間取りに特徴がなかったりすると、反響は思ったほど伸びないことが多いです。最近の入居者、とりわけ20代・30代の若年層は「家の中で過ごす時間」を非常に重視する傾向があります。コロナ禍以降、リモートワークやおうち時間の定着により、NetflixやYouTubeを楽しむ環境として、室内の快適さや設備グレードへの期待値がかなり高まってきています。

さらに、間取りの面でも単身者向けのワンルームで、収納が極端に少なかったり、梁の出っ張りが多かったりすると、写真や図面の段階で候補から外されてしまうこともあります。今は物件を「見に行く前に決める」方も増えていますから、第一印象=掲載されている情報のクオリティも大切です。

空室の原因は一概には言えませんが、設備グレード・間取り・家賃設定・タイミングの4軸を見ておくと、判断しやすくなります。当社としては、そういった物件のポテンシャルを正しく把握し、適正な募集条件に調整することが、早期成約に繋がると考えています。」

3.家賃アップを狙える家賃設定のコツと戦略について

Q:家賃を上げる際の戦略や目安はありますか?

「大前提として、家賃設定は市場の動向や入居者の反応をもとに柔軟に判断すべき項目です。エイマックスでは『チャレンジ価格』と『引き際』のバランスを重視しており、特に募集開始からの初動2週間をひとつの判断基準としています。土日を2回含めた2週間の間に反響(問い合わせや内覧希望)が少なければ、その価格帯は市場と乖離している可能性が高いとみなします。

この2週間のあいだに反響が取れないままズルズルと1ヶ月以上空いてしまうと、掲載中の物件が「余り物」として認識されるリスクが高まり、結果的に家賃を下げても成約しにくくなる悪循環に入ってしまいます。

また、家賃設定のベンチマークとして、弊社独自の「査定家賃」を用いています。これは「敷金1ヶ月+礼金1ヶ月」の条件で、1ヶ月以内に決まるであろうという想定家賃です。販売時に査定された金額がベースとなっていますが、市況の変化に応じて再査定を行い、リアルタイムな相場と照らし合わせて調整しています。特に**繁忙期(2〜4月)はこの査定家賃に対して+5,000円〜10,000円程度の上乗せを行ってもスムーズに決まるケースが多く、逆に閑散期(6〜8月、11〜12月)は査定家賃のままか、やや抑え気味での募集が有効です。

さらに、設備仕様や間取りによってもチャレンジの余地は変わります。 たとえば、独立洗面台がありバストイレ別、室内洗濯機置き場ありという人気設備が整っている場合には、ある程度強気な価格設定でも反響が取れやすいです。逆に3点ユニットなど、設備に妥協が必要な物件では、無理な家賃アップは避ける方が良いでしょう。

なお、賃料査定後のオペレーションも重要です。弊社では、現場の営業担当が類似物件の成約事例や競合物件の価格、反響数の推移などをもとに、『あと3,000円はいけそう』『今回は抑えて確実に成約させたほうが良い』といった判断を行っています。これはある種、実際に賃貸不動産市場に関わる営業担当ごとの『現場感』に近いものです。

最終的にはオーナー様にご判断いただきますが、弊社としては市場の潮流と個別物件の特性をふまえたうえで、過度な空室リスクを避けつつ、可能な限り高い賃料で成約できるラインを見極めてご提案するようにしています。」

Q:家賃アップをする際の金額はどのように設定していますか?

「家賃アップに関しては、明確なルールというよりも、市場状況や現場の反響データをもとにどこまでが適正なチャレンジラインかを常に見極めながら対応しています。まず基準として活用しているのが、当社独自の査定家賃です。これは、敷金・礼金をそれぞれ1ヶ月ずつ設定し、1ヶ月以内には十分に決まるであろうと見込まれる賃料水準で設定しています。

この査定家賃をベースに、繁忙期(2〜3月)であればプラス5,000円〜1万円程度の上乗せが可能だと判断するケースが多く、実際にその価格でも成約に至る例が増えています。逆に、閑散期や3点ユニット物件のようにスペックに妥協が必要な場合には、査定家賃を基準に据え、無理な値上げは行いません。あえて敷金・礼金をゼロに設定するなど、募集条件を柔軟に調整することもあります。」

家賃を上げすぎて空室が長引くリスクはどのように回避されていますか?

「募集開始から2週間(土日2回を含む)で内覧や問い合わせがほとんどない場合は、設定が市場と乖離していると判断し、すぐにオーナー様に家賃設定の見直しをご提案します。

ただ、過去1〜2年の東京都内の市況感を振り返ると、家賃設定の見直しを実施せざるを得なかったケースは極めて少なく、むしろ『もっと強気に出てもよかったかもしれない』といった振り返りの方が多いのが実情です。

家賃の設定は、不動産価値にも直結するため、オーナー様の資産価値維持・向上という観点でも非常に重要です。家賃1,000円の違いが、積算評価で数十万円の差につながるため、可能な限り高い賃料で安定した入居が続くようなラインを狙っていくことが、当社の基本方針です。

なお、家賃を引き上げる際に参考とする相場データは、同一マンション内の他住戸の成約事例、近隣エリアで同程度の仕様を持つ物件の募集状況、さらには入居者層の動向など、複合的なデータに基づいて判断します。そのうえで、営業担当が『この条件なら決まる』と確信を持てる水準を見極めて提案し、オーナーに最終判断を仰ぐ、という流れを徹底しています。」

4.エイマックスの「管理の強さ」につながる評価制度の仕組み

Q:社内の評価制度はどのように設計されているのでしょうか? 他社との違いがあれば教えてください。

「当社では、賃貸管理部の評価制度として『いかに早く空室を埋めたか』という実績を置いています。つまり、スピード感をもって入居者を決めることが、管理部門の成果として正当に評価される仕組みになっています。これは一般的な不動産会社とは明確に異なる点です。

他社では、原状回復工事でいかに収益を上げたか、いかにリフォームで粗利を取ったかが評価対象になっているケースも多く、利益追求型の工事提案や不要なアップセルが起きやすい構造になっています。しかし、当社ではそのような一時的な利益よりも、空室を最短で埋め、オーナー様の賃料収入を最大化することに重きを置いています。

この方針により、スタッフは原状回復で利益を取ろうとは考えず、『どうすれば早く・適正に入居が決まるか』を第一に行動するようになります。原状回復の工事期間を短縮する工夫、前倒しでの施工調整、退去から内見までのタイムロスを減らす段取りなど、各所に細かな改善意識が浸透しています。実際に、引越し日よりも前に施工を開始できるケースでは、オーナーと入居者の間に調整を入れて、前倒しで工事を進めてしまうなど、柔軟な対応も積極的に行っています。

このような評価設計により、単なる数字の成果だけではなく、長期的な関係構築による成果が生まれます。こうした制度設計が、結果的にクレームや離反を減らし、紹介やリピートにもつながっています。

他社では不信感を持たれてしまうような原状回復費のトラブルが原因で顧客離れが起きることもありますが、当社では最初からオーナーとの信頼関係を優先し、納得感のある対応を徹底することで、自然と物件を任せていただける流れができています。」

まとめ

空室期間が長期化すると、不動産投資の収益性に大きな影響を与えます。本記事では、平均15日で空室を埋める実績を持つ「エイマックス」へのインタビューを通じ、具体的な空室対策を紹介しました。

特に印象的なのは、オーナーの満足度につながる社内評価制度です。原状回復の工事費を高く見積もるような短期的な営業方針ではなく、できるだけ早く空室を埋めることを評価に置き、オーナーの満足度を高めることで、新規投資家の紹介をもらえるように長期的目線での経営方針を貫いています。

東京都内の家賃相場は年々高騰しており、埋まる物件と苦戦する物件の特徴も顕著になってきています。不動産投資を検討される際は、本記事でもご紹介した物件選びや、管理に強い不動産投資会社に相談することを検討されてみると良いでしょう。

エイマックス

A-MAX(エイマックス)エイマックスは、資産(Asset)の最大化(MAX)を社名・理念として掲げる不動産投資会社で、東京23区の投資用マンションの仕入れ・販売を手掛けています。日本でトップの不動産販売実績(※)を有する代表の天田 浩平氏を中心に少数精鋭の営業体制できめ細やかなサービスを提供しています。(※投資用マンション部門 天田氏の個人取引実績 年間最高売上高83.9億円 年間387部屋)

エイマックスでは適正な家賃設定・賃貸管理により管理戸数711戸・入居率99.1%(2023年7月時点)という実績があり、賃料を上げても入居がつきそうな物件については賃料アップを行っています。そうした営業活動の結果、不動産投資オーナーのリピート率82%、紹介率37%(いずれも2022年1月集計)という非常に高い満足度・実績を有しています。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
不動産投資の空室期間を短くするには?平均15日で空室を埋める不動産会社にインタビュー