S&D、EUサステナビリティ法制改善へ専門家意見公募 CSRD・CSDDDが対象
欧州議会の主要会派である社会民主進歩同盟(S&D)は6月2日、企業サステナビリティ報告指令(CSRD:Corporate Sustainability Reporting Directive)および企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD:Corporate Sustainability Due Diligence Directive)の改善に向け、専門家からの意見を求める質問状を公開した。この動きは、EUのサステナビリティ関連法制が、一部の多国籍企業だけでなく、中小企業やNGOなど、法の実施に貢献する全ての人々に配慮したものとなることを目指すものだ。
CSRDは2024年から段階的に施行が始まり、CSDDDは2027年から適用予定となっている。これらの指令は、EU域内で事業を展開する日本企業にも適用されるため、今回の見直し議論は日本の産業界にも大きな影響を与える可能性がある。
S&Dは、過剰なコンプライアンスを避け、報告義務をどのように修正できるか、中小企業をどのように支援できるか、そしてデジタル化とデジタルツールが規則の簡素化にどのように役立つかといった点について、現場の知見を求めている。
欧州委員会のアナ・カタリーナ・メンデス副委員長は、オムニバス簡素化パッケージ法案について、「物事を容易にする代わりに、簡素化の名の下に人権や環境保護を損ない、また、すでにEU法を遵守しようと努力している企業に影響を与える法的不確実性を生み出すことで、EUの価値を危険にさらしている」と深い遺憾の意を表明した。
メンデス氏はさらに、「CSRDとCSDDDは、倫理的なビジネス慣行が労働者の権利を尊重し、環境破壊を防止することを確認するためにある」と述べ、信頼できる大多数の親EU政党と協力し、制定されたルールがシンプルで効果的に執行可能であることを確認するとした昨年4月の約束に言及した。
S&Dのララ・ウォルターズ氏は、「私たちは、一握りの多国籍企業の利益に基づいた提案を、非公開の議論の末に受け入れることはできない」と強調した。ウォルターズ氏は、CSRDとCSDDDが前任期に懸命に闘った法案であるとし、「正しい方法で簡素化を行えば、企業はプロセスをより速く、より安く、より効率的にすることで、真の効果を上げることに集中できる。しかし、欧州委員会が数カ月前に、通常の公開協議をスキップして、この提案を提出したことはそのような意味ではない」と批判した。S&Dは、オムニバス・パッケージが、企業負担軽減を名目として、人権・環境保護の実効性を損なう「規制緩和」に転じることへの強い警戒感を示している。
この意見公募は6月2日から6月12日18時まで受け付けられ、寄せられた意見は6月22日に開催される法務委員会(JURI委員会)でS&Dが提出する修正案の策定に役立てられる予定だ。今回の対立は、EU のサステナビリティ政策における「企業負担の軽減」と「人権・環境保護の実効性確保」という2つの要請のバランスをどう取るかという根本的な問題を浮き彫りにしている。日本企業にとっても、EU市場での事業継続に直結する重要な議論となりそうだ。
【参照記事】Omnibus Package on sustainability: S&Ds reaching out to field experts to improve EU legislation
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