CE戦略の3本柱「ビジネス・サービス・製品」を提言。世界経済フォーラムが記事公開
サステナビリティコンサルティング企業Ethica Partnersの共同創業者アン・ラウダスコスキ氏が、世界経済フォーラムの新興国会議に合わせて6月19日、循環経済への移行を成功させるための包括的なビジネス開発戦略について論考を発表した。約150社との協業経験から開発された「循環デザインフレームワーク」は、ビジネスモデル、サービス、製品設計の3つの領域を統合的に変革することの重要性を強調している。
欧州連合(EU)では、持続可能な製品のためのエコデザイン規則やデジタル製品パスポートの導入により、循環型製品設計の基盤が整備されつつある。「修理する権利指令」は製品寿命の延長を義務付け、「重要原材料法」はEUの輸入依存度削減を目指している。オーストラリアの「循環経済フレームワーク」、チリやメキシコの循環経済を推進するための法規制など、世界各国で同様の動きが加速している。さらに、世界の消費者の76%が環境に配慮した製品を選好し、中古衣料市場は2030年までに23%の市場シェアを占めると予測されるなど、規制と市場の両面から循環経済への移行圧力が高まっている。
ラウダスコスキ氏は、循環経済の原則として「廃棄物と汚染の設計段階での排除」「材料の高価値での循環維持」「生態系の再生」「持続可能な消費による意味ある生活の再定義」の4つを挙げる。しかし、これらの原則だけでは実際のビジネス開発には不十分だと指摘。そこで同氏が開発した「循環デザインフレームワーク」では、ビジネス(戦略的選択、循環型ビジネスモデル開発、内部能力構築、サプライチェーンの循環型バリューチェーンへの変革)、サービス(行動デザイン、顧客の役割の再定義、顧客体験の創造)、製品(製品ライフサイクル設計、材料・化学物質の選択、価値維持機能の開発)の3領域を並行して開発することが成功の鍵となる。
オランダの医療技術企業フィリップスは、2025年末までに循環型ソリューションからの収益を25%にする目標を設定。「サーキュラー・エディション」として提供される再生医療機器は25%低コストで提供され、モジュラー設計により回収部品の80%が再利用可能となっている。同社のサステナビリティディレクター、ハラルド・テッパー氏は「医療セクターは世界のCO2排出量の4.5%以上、世界の材料使用の10%を占めており、病院は製品の環境影響について詳細な質問をするようになっている」と述べる。
スウェーデンのスポーツウェア企業Houdiniは、2030年までに価値連鎖全体での循環型エコシステム構築を目標に掲げる。同社の再生部門責任者マルバ・カールソン氏は「取引ではなく、ユーザーとの関係構築を目指している」と説明。ストックホルムのHoudini Circleでは、中古品、修理サービス、レンタル、サブスクリプションが新品購入と同等に扱われる。製品設計では「この製品は存在に値するか」「十分に長持ちするか」「レンタルプログラムに耐えうる耐久性があるか」などのチェックリストに基づいて開発を進める。プラネタリー・バウンダリー評価を研究開発の指針として採用し、リサイクル繊維の使用や長寿命設計が全ての地球限界に対してポジティブな影響を与えることを確認している。
日本では2025年2月、「GX推進法」および「資源有効利用促進法」の改正案が閣議決定された。改正案ではGXへの円滑な移行をさらに推進するための制度の他、事業者に対して罰則を伴う義務を課す項目も追加され、循環経済への移行が本格化している。EUでは2021年から2023年にかけて包括的な規制強化が進み、米国でも州レベルでプラスチック包装の拡大生産者責任法が相次いで成立するなど、世界的に循環経済への規制圧力が高まっている。
ラウダスコスキ氏は「成功する循環戦略は付け足しではなく、循環デザインフレームワークの3つの柱に基づいて慎重かつ包括的に構築される」と結論付けている。規制と消費者需要の両面から循環経済への移行が不可避となる中、企業には原則の理解を超えて、ビジネスモデル、サービス、製品設計を統合的に変革する実践的アプローチが求められている。
【参照記事】How do you translate circular economy principles into a solid business development strategy?
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CE戦略の3本柱「ビジネス・サービス・製品」を提言。世界経済フォーラムが記事公開