【元トレーダーが解説】ビットフライヤーのレバレッジ取引で覚えておくべきSFD手数料制度とは?
今回は、ビットフライヤーの手数料制度であるSFDについて、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
暗号資産取引所の中でも多くのユーザー数に支持されているのがビットフライヤーです。株式会社bitFlyerは2014年に設立され、日本国内では老舗の暗号資産取引所の一つとなっています。
ビットフライヤーのビットコイン取引量は国内第1位(Bitcoin日本語情報サイト調べ。国内暗号資産交換業者における2020年1月~4月の月間出来高)であり、高機能取引ツールである「bitFlyer Lightning」では現物取引に加えてレバレッジ取引も可能なため、FXや株式のトレーダーからも利用されています。
さて、bitFlyer Lightningには一定の条件下で発生する「SFD」という独自システムがあります。SFDの仕組みを理解せずにトレードをしていると、意外な所でコストが発生することに驚くことになるでしょう。
ここでは「ビットフライヤーのSFDの概要や、作成された意図や注意点について解説していきます。
①SFDとは?
SFD(Swap For Difference)はbitFlyer Lightningのレバレッジ取引に関係する取引手数料の一種です。ビットコインの現物価格とレバレッジ取引(LightningFX)の価格乖離を縮小させることを目的として2018年2月に導入されました。
SFDはビットコインの現物価格とLightningFXの価格が5%以上乖離した際に発動し、以下の条件で手数料が生じます。
SFD | 新規注文 | 決済注文 |
価格乖離を拡大する方向にエントリーする場合 | 徴収 | 徴収 |
価格乖離を縮小する方向にエントリー場合 | 付与 | なし |
SFD手数料率は価格乖離 (%) に応じて設定されています。価格乖離 (%) の計算式は、 (Lightning FX 取引価格 ÷ Lightning 現物 (BTC/JPY)最終取引価格 − 1)× 100となります。
価格乖離 | SFD徴収率 |
5%~10%未満 | 0.25% |
10%~15%未満 | 0.50% |
15%~20%未満 | 1.00% |
20%以上 | 2.00% |
②ビットフライヤーがSFDを導入した経緯
ビットフライヤーは、レバレッジ取引ができるbitFlyer Lightningにおいて、どのような理由でSFD制度を導入したのでしょうか?ここではビットフライヤーがSFDを制度を導入した経緯を解説していきます。
価格乖離の起こる原因とは?
SFDはビットフライヤー独自の制度です。ビットフライヤーの場合、レバレッジ取引はLightningFX取引所、現物はLightning現物取引所と、それぞれ独立した市場で取引が行われています。各市場で価格が独自で動いてしまうため、取引価格の乖離が生じてしまいます。
レバレッジ取引価格が現物価格よりも高くなりやすい?
ビットフライヤーではLightning現物取引所よりもLightningFX取引所の方が価格が高くなりやすい傾向にあります。
レバレッジ取引価格が現物価格よりも価格が高くなる理由には「現物よりもレバレッジ取引の需要が高い」ことにあります。
価格乖離が起こる理由として「現物とレバレッジ取引所が別の場所で行われていること」と、「現物とレバレッジ取引に対する需要の差」が挙げられます。
レバレッジ取引価格は、現物価格よりも取引が活発なため、現物よりも需要があり、比較的価格が上昇しやすいと言えます。
SFD制度が導入された経緯
SFD制度が導入された経緯には、価格乖離が原因で起こりうる2つのリスクを回避することにあります。
- 現物価格とレバレッジ価格の連動しなくなる
- ビットフライヤーが損失を被る恐れ
現物価格とレバレッジ価格が連動しない状況は、価格予測を困難にさせ、ユーザーの取引意欲を削ぎ、最終的に顧客離れにつながる恐れがあります。
またビットフライヤーは現引・現渡決済に対応しており、価格乖離が大きい場合にビットフライヤーにとって不利益になる可能性があります。
ユーザーにとっても取引所にとっても価格乖離の拡大はリスクとなるため、SFD制度を導入するに至りました。
③SFD徴収額の算出
SFDが発動すると、取引当事者の片方がSFD手数料を支払い、片方はSFD手数料を付与されます。価格乖離率に応じて、SFD手数料率が設定されていました。具体的なSFDによる徴収額の計算は以下のようになります。
- SFD=取引数量(〇BTC)×LightningFX価格×SFD比率
それでは、これをもとに取引例を紹介していきます。
前提となる市場環境例
・BTC現物価格:100万円
・LightningFX価格:105万円
・価格乖離5%
→LightningFX価格が現物価格よりも5%高く乖離している場合、買いで新規注文でエントリーすると0.25%のSFD手数料が徴収されます。
【新規注文の場合】
Aさん→1BTC=105万円で買い注文
Bさん→1BTC=105万円で売り注文
・SFD計算
1BTC×105万円×0.25%=2,625円
(乖離率5%~10%未満はSFD比率は0.25%)
Aさんは1BTCで買いの注文(価格乖離が拡大していく方向)を入れたため、エントリー時に2,625円のSFDが徴収されます。
Bさんは1BTCで売りの注文(価格乖離が縮小していく方向)を入れたため、エントリー時に2,625円がSFDとして付与されます。
【決済注文の場合】
Aさん→1BTC=105万円で売り決済
Bさん→1BTC=105万円で買い決済
・SFD計算
1BTC×105万円×0.25%=2,625円
(乖離率5%~10%未満はSDF比率は0.25%)
Aさんは1BTCの買い注文を決済(価格乖離が縮小していく方向に決済)のためSFDはゼロになります。
Bさんは1BTCの売り注文を決済(価格乖離が拡大していく方向に決済)のため2,625円のSFDが徴収されます。
④ビットフライヤーのSFDの注意点
SFD制度は他の暗号資産取引所や、FX(外国為替証拠金取引)や株取引にもない、ビットフライヤー独自の制度です。
そのため、bitFlyer Lightningを利用してレバレッジ取引を行う際には、必ずSFD制度を理解しておくことが大切になります。価格乖離率とSFDの発生状況は取引画面中の注文ツールで確認できます。
レバレッジ取引のビットコイン価格が、現物市場価格に対して5%以上乖離している状況でSFDは発動します。価格乖離はレバレッジ価格が現物価格を上回っている場合が多いものの、現物価格を下回る(‐5%以下)場合も発動します。現物価格を下回っている場合には、SFD徴収条件も先述のテーブルと反対の条件になります。
⑤まとめ
国内の暗号資産取引所の中でも「ビットフライヤー」は人気が高く、ビットコインでの取引量も国内第1位となっています。ビットフライヤーが提供する「bitFlyer Lightning」では、現物価格とレバレッジ価格が乖離した場合に発動するSFD制度を導入しています。これからビットフライヤーで取引をしようと検討中の方はぜひ、SFD制度の理解を深め、SFD導入時にどのような取引判断をすべきか想定しておきましょう。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
【元トレーダーが解説】ビットフライヤーのレバレッジ取引で覚えておくべきSFD手数料制度とは?