不動産投資型クラウドファンディング、物件情報の見るべきポイントは?
不動産投資型クラウドファンディングのメリットの一つに、案件において運用される不動産の情報が詳細に公開されているという点が挙げられます。
投資家は各不動産投資型クラウドファンディングが提供してくれる情報を見ながら、それぞれその案件のメリット、リスクを判断して投資先を選ぶことが可能です。
しかし、その公開情報は不動産投資型クラウドファンディングのサービスごとに異なっていることがあります。また、公開情報のどのポイントを見て投資判断をすれば良いのか、迷う方も少なくないのではないでしょうか。
そこでここでは、それぞれの不動産投資型クラウドファンディングが、どのような情報を提供しているのか、また投資家がどのような情報を見ながら判断していけばいいのか解説します。不動産投資型クラウドファンディングへの投資を検討されている方はご参考下さい。
目次
- 不動産投資型クラウドファンディング、物件情報のポイント
1-1.地価を判断できる
1-2.物件の築年数などの情報を確認できる
1-3.運用される事業の情報を確認できる - 情報開示をしている不動産投資型クラウドファンディング3選
2-1.CREAL
2-2.Rimple
2-3.i-Bond - 物件情報以外のリスク対策のために見ておきたいポイント
3-1.物件の運営会社
3-2.事業内容
3-3.保証が設定されているか> - まとめ
1.不動産投資型クラウドファンディング、物件情報のポイント
不動産投資型クラウドファンディングを選ぶときには、不動産投資型クラウドファンディングが投資家にどのような情報を公開しているのかが、リスク判断の上で大きく役立つ情報となっています。
ではその公開情報が重要な理由を確認していきましょう。
1-1.地価を判断できる
不動産投資型クラウドファンディングでは、運用される物件が所在する住所を公開してることがあります。また物件の住所だけではなく、運用される不動産の土地の面積、建物の面積も公開されています。土地の面積が分かれば、公示地価などと照らし合わせて、大まかな土地価格を把握することが可能です。
例として、不動産投資型クラウドファンディング「CREAL」の上野オフィスプロジェクトを見てみると、住所は東京都台東区東上野二丁目13-2で、「国土交通省地価公示」での公示地価を見ると1平方メートルあたり342万円となっています。
この案件で運用される不動産の面積は108平方メートルであることから、大まかな目安として下記の地価であることが予測されます。
342万×108=3億6,936万円
なお、上記案件の募集金額は4億6,500万円となっています。このように、公開情報から募集金額と地価とを比較して妥当性のある投資対象なのか検証することが可能となります。
不動産投資型クラウドファンディングは不動産の運用後に運用物件を売却し、投資家に投資金を返還します。土地の価値が投資家から集める金額に近ければ、物件運用後に投資家に資金を回収できる可能性が高いとみることが出来ます。
1-2.物件の築年数などの情報を確認できる
また物件が建つ土地の住所だけではなく、物件の詳細な情報も公開されていることがあります。
先ほど例に挙げた、CREALの「上野オフィスプロジェクト」では物件情報として下記の建物に関する情報が会員向けに公開されています。
- 構造
- 竣工時期
- 延床面積
- 投資対象に関する権利
※建物の詳細に関しては会員登録後にしか閲覧することができないため、詳細を知りたい方はCREALへの無料会員登録を検討してみましょう。
建物の金銭的な価値を評価する際、建物の再調達価格を参考に計算する「原価法」という評価方法があります。
例の物件に関して、構造は RC造となっています。RC造物件の平方メートルあたりの単価はどの程度なのか、築年数により価値がどの程度減少しているのかを判断していきましょう。
国税庁「建物の標準的な建築価額表」によれば、RC造の1平方メートルあたりの取得単価は平成27年で約24万円となります。また、RC造物件の法定耐用年数は47年です。これらの情報をもとに下記の計算式に当てはめ、おおよその評価額を算出します。
単価×総面積×残存年数(耐用年数-築年数)÷耐用年数
最終的には地価としての金銭的価値、そして建物の金銭的な価値を合わせて投資家から集めた金額に妥当性があれば、運用終了後の資金返済リスクは小さくなります。
1-3. 運用される事業の情報を確認できる
不動産投資型クラウドファンディングではどのような事業で収益を出すのかもしっかりと見ておく必要があります。
不動産投資型のクラウドファンディングに限定しても、投資先の物件タイプには賃貸マンション、ホテル、テナント、物流不動産など多岐に渡り、運用される不動産の形態は様々であることが分かります。
投資対象の物件の事業で、収益が出る可能性が高いのか、どのようなリスクが考えられるのか、事業情報や経済動向を見ながら投資先を判断することが重要です。
例えば2020年12月時点、コロナウイルスの影響によりビジネスなどの特別な理由を除いた海外からの観光客の受け入れは行っていません。そのため、ホテルなど宿泊施設を運用する案件の売り上げも減少傾向にあります。
対象的にマンションなど居住用不動産を運用する案件であれば、比較的に売上の減少は起きていません。このように、同じ不動産投資型クラウドファンディングでも、物件タイプによって経済的な影響に違いがある点に注意しましょう。
2.情報開示をしている不動産投資型クラウドファンディング3選
ではここでは具体的な事例を見ながら、各不動産投資型クラウドファンディングがどの範囲の情報開示までしているかを見ていきましょう。
2-1.CREAL
CREALは2021年1月時点で70億円以上の募集実績を誇る不動産投資型クラウドファンディングです。CREALでは、投資家会員に対し、どの範囲まで情報公開を行なっているでしょうか。
「グローバルキッズ西大井園」という案件では、以下のような情報が開示されています。
- 案件概要
- 運用物件名称
- 運用物件住所
- アクセス
- 土地に関する情報
- 建物に関する情報
- 運営会社情報
- 事業に関するマーケット情報
- リスク情報
- ファンド運営会社情報
- ファンド組成会社情報
リターン及び物件情報に付随するドキュメントは、会員限定情報となります。物件情報はもちろんのこと、投資先としてのリターンとリスク、物件周辺のマーケット情報まで公開されています。
2-2.Rimple
Rimpleは東証一部上場企業のプロパティエージェント株式会社が運営する不動産投資型クラウドファンディングです。
Rimpleで取り扱われる物件は主に賃貸マンションとなっています。同社の「Rimple’s selection #9」の事例からその情報公開の範囲を見ていきましょう。
- 案件概要
- 運用物件情報
- 運用物件住所
- リスク
- リターン
- エリア情報
- 業務管理者情報
マンション利用規約と住宅瑕疵担保責任保険は投資家限定の公開情報です。詳細は会員登録後に確認してみましょう。
2-3.i-Bond
不動産投資型クラウドファンディングでも、特にユニークな特徴を持っているのが「i-Bond」です。
i-Bondの案件は継続運用となっており案件の運用終了期間が定められておらず、投資期間中において配当が継続的に支払われます。
投資家は銀行代わりのお金の預け先としてi-Bondを利用しながら、年利にして1.5%ほどの利回りを期待することが出来ます。なお、運用される案件は一つの不動産だけではなく、様々な種類の不動産案件を組み合わせリスク分散しながら運用されている点も特徴的です。
i-Bondの案件では、以下のような情報が公開されています。
- 対象不動産の住所
- 対象不動産物件の情報
- 不動産としての鑑定を行った不動産鑑定士の名称
- 対象不動産の追加方針
i-Bondでも、会員登録を行うと過去の実績を確認できます。気になる方は会員登録後に詳細を確認してみましょう。
_
今回ご紹介したクラウドファンディングサービスの公開情報として物件住所、物件情報、担当者、収益予想などが記載されています。マーケットやエリア情報が記載されている案件もあるので、投資前にはじっくり読み込みましょう。
3.物件情報以外のリスク対策のために見ておきたいポイント
では、各不動産投資型クラウドファンディングが提供している物件情報以外の情報で投資家がリスク判断をするには、どういった点をチェックしておくべきでしょうか。それぞれ見て行きましょう。
3-1.物件の運営会社
物件情報以外の情報では、その物件を運営している会社の情報もチェックしておきたいところです。
Rimpleとi-Bondは、物件を直接自社が運営していますが、CREALでは、自社で直接運営していない案件もあります。
例えば、CREALの保育所運用案件では施設を運営する運営会社は株式会社グローバルキッズとなっています。保育所の運営には有資格者やノウハウが必要であり、運営で利益を出せるかどうかは、運営会社の手腕によっても変わってきます。
このような案件ではクラウドファンディングのサービス提供会社だけでなく、運営する会社の実績やIR情報を見て事業の詳細についてもチェックしておきましょう。
3-2.事業内容
物件価値だけではなく、収益計画などの事業内容もチェックしておく必要があります。不動産物件の運営でどの程度の収入を見込めるのか、また運用終了後には、どれくらいの価格で売ることができる計画なのかなど、収益に関する情報が主に会員限定情報として記載されています。
マンションであれば、家賃収入に周辺の家賃相場とかけ離れた数字が設定されていないかなど、数字の妥当性を見極めていきましょう。
3-3.保証が設定されているか
不動産物件の運営においては、家賃保証が設定されているかどうかもリスクを判断する上で重要な情報です。
例えばCREALの「上野オフィスプロジェクト」では、運営物件に対し一括借上げでマスターリースを設定しています。この案件では物件をブリッジ・シー・キャピタルの子会社であるブリッジ・シー・エステートが一括借り上げを行います。
マスターリースが設定されていれば、契約内容に応じて期間内の家賃収入は保証されています。一方、マスターリースを設定している会社が倒産してしまうと家賃保証が続かなくなる可能性もあり、投資家の元本が保証されるわけではない点に注意が必要です。
家賃保証付きの案件では保証内容と、保証を設定している会社の情報、また可能であれば保証をつける会社の財務状況をチェックしておきましょう。
まとめ
不動産投資型クラウドファンディングの公開情報と、その公開情報で何を見ていくべきかをご紹介しました。
2020年12月時点で、続々と不動産投資型クラウドファンディング新規サービスが登場しています。しかし、同じ不動産投資型クラウドファンディングでも、提供会社によって公開される情報の種類や範囲は異なっています。
投資のリスク判断に役立つ情報はどこなのかを見極め、情報を見ながら最適な投資先を選ぶことが重要です。投資家(会員)登録を行うことで案件の詳細を確認することも可能なので、気になるサービスがある場合は事前登録も検討してみましょう。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
不動産投資型クラウドファンディング、物件情報の見るべきポイントは?