三菱電機と東工大が独自ブロックチェーンを開発。P2P電力取引の最適化を実現

三菱電機と東京工業大学が、P2P電力取引を最適化する独自のブロックチェーンを開発したことを、1月18日に発表した。2021年4月より、本ブロックチェーンを用いたP2P電力取引システムの性能評価と探索処理の改良を行い、早期実用化を目指すとしている。

今回の取り組みは、余剰電力の融通量を最大化する取引など、需要家の取引ニーズに柔軟に対応可能な取引環境を提供し、余剰電力の有効活用に貢献することが目的だという。三菱電機がシステム設計を、東京工業大学が研究開発・アルゴリズム設計を担当する。

一般的なパブリックチェーンではなく、計算量の少ない独自のブロックチェーンを開発および活用することで、需要家の取引端末などの小型計算機でもP2P電力取引が可能になる試算だ。

ビットコインの場合、ブロック生成者を決定するためのマイニングに膨大な電力を消費するため、高性能な計算機が要求されていた。これに対し、今回の独自ブロックチェーンでは取引を最適化するためにマイニング処理を行うという。

後者は前者に比べて非常に少ない数の計算量で済むため、環境に優しいだけでなく小型の計算機で行うことが可能だ。

三菱電機は、今回開発したブロックチェーンの特徴を次のように説明している。

  1. 余剰電力を最大限に活用したい場合:需要家(電力の売り手)の余剰電力の融通量を最大化する
  2. 需要家の利益を優先させたい場合:需要家全体の利益を最大化するなどの売買注文の最適な組み合わせを探索することで、様々な取引ニーズに柔軟に対応できるP2P 電力取引を実現

今回の取り組みが実現した背景には、地球温暖化対策として施行された「固定価格買取制度(FIT制度)」の満了が2019年11月より始まっている点をあげている。本制度では、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電気事業者が固定価格で買い取る規則になっていた。

しかしながら、満了を迎えた需要家はより良い条件で余剰電力を買い取る小売電気事業者を探し、新たに売買契約を結ぶ必要に迫られている。

このような状況下で、需要家同士が余剰電力をその都度最適な価格で直接融通しあうP2P電力取引が、新たな余剰電力の取引手段として注目されているという。

【参照記事】需要家の取引ニーズに応じてP2P電力取引を最適化する ブロックチェーン技術を開発 開発の特長(PDF)

Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
三菱電機と東工大が独自ブロックチェーンを開発。P2P電力取引の最適化を実現