自宅で生活を支える、リバースモーゲージとハウス・リースバックの活用法
退職後の生活のために自宅を有効活用する方法として、リバースモーゲージとハウス・リースバックの2つの手段があります。どちらも金融機関から資金を調達し、生活費の不足分や老後の年金代わりに使うことができる仕組みですが、リバースモーゲージとハウス・リースバックでは資金の使途や資金返済の方法が異なります。
リバースモーゲージとハウス・リースバックはどのような点が違うのでしょうか。この記事ではリバースモーゲージとハウス・リースバックがどういったものかを確認した上で、それぞれのメリット、デメリットについてご紹介します。
目次
- リバースモーゲージとハウス・リースバックの違い
1-1.リバースモーゲージは資金を借りる方法
1-2.ハウス・リースバックは自宅を売却する方法 - リバースモーゲージのメリット
2-1.受け取り方法が選択できる
2-2.金利だけを支払えば良い
2-3.名義を変更しなくて良い - リバースモーゲージのデメリット
3-1.金融機関の審査がある
3-2.実際の担保評価額より評価が低くなる
3-3.相続人の同意が必要になる
3-4.担保の再評価の際に評価額が下がることがある
3-5.配偶者しか同居できない
3-6.対象となる建物が戸建ての場合が多い - ハウス・リースバックのメリット
4-1.金融機関の審査がない
4-2.すぐに現金化できる
4-3.売却後も住み続けることができる
4-4.固定資産税や都市計画税がかからない - ハウス・リースバックのデメリット
5-1.ローンの完済をしなければならない
5-2.家賃の支払額が相場家賃より高い
5-3.買戻しができなければ資金的なデメリットが大きくなる - リバースモーゲージとハウス・リースバックに向いている人
6-1.長期間住み続けたい場合
6-2.リフォームをして住みたい場合
6-3.資金を自由に使いたい場合
6-4.年齢が若い場合 - まとめ
1.リバースモーゲージとハウス・リースバックの違い
リバースモーゲージとハウス・リースバックは、どちらも自宅の資産価値の評価をもとに資金を調達する方法ですが、資金を借りて返済する義務が発生する点と、自宅を売却して資金を得るという点で異なります。他にもどのような点で2つが異なるのかを詳細に確認してみましょう。
1-1.リバースモーゲージは資金を借りる方法
リバースモーゲージは自宅を担保に資金を借りる方法です。そのため、融資のための審査が行われるほか、最終的には借りたお金を返済しなければいけません。通常のローンと違うのは、契約者が死亡した際に金融機関によって物件が売却され、残債の返済に充てられるという点です。
リバースモーゲージの場合は、借り入れをするだけで自宅の売却はしませんので、契約者は自分の名義の自宅に住み続けることができるメリットがあります。
1-2.ハウス・リースバックは自宅を売却する方法
ハウス・リースバックは契約者が自宅を売却して売却資金を受け取り、その後は借主となって家に住み続ける方法です。借入はせず自宅を売却する形を取りますので、金融機関にローンの返済をする必要はありません。
なお、ハウス・リースバックを活用する際も、通常の売却時と同じように抵当権が設定されていたらローンの残債を完済しなければいけませんので、その場合は売買代金の中からローンを完済し、残金を受け取ることになります。
2.リバースモーゲージのメリット
リバースモーゲージは自宅を担保にお金を借りる方法です。融資を受けることでどのような点でメリットがあるのかを見てみましょう。
2-1.受け取り方が選択できる
リバースモーゲージではお金の受け取り方を以下の3つのパターンの中から選択して受け取ることができます。
- 一括で受け取る:融資額全額を一括で受け取ることができます
- 定期的に受け取る:年金のように借入限度額内で定期的に受け取る方法です
- 適時受け取る:必要な時に限度額内で受け取る方法です
このようにリバースモーゲージで調達した資金は3種類の方法の中から選んで受け取ることができます。どの方法でも最終的に受け取ることができる上限金額は同じですので、受け取り方で有利だったり不利だったりすることはありません。
2-2.金利だけ支払えば良い
金融機関への返済は、契約者が亡くなった後に物件を売却した資金で行います。なお売却については、金融機関が担保物件を競売にかける形で行われます。契約者の死亡までは毎月金利だけを支払えば良いため、月々の支払いを抑えて余裕資金を作ることができます。
そのため、自宅を処分することなく、長期間住むことが容易になります。しかし、金融機関の中には契約期間を設定するところもあります。その場合、契約者が生存していても契約期間の終了時には自宅を売却しなければいけませんので注意が必要です。
2-3.名義を変更しなくて良い
自宅を担保に融資を受けている状態ですので、売却した場合と違い、自宅の名義は変更する必要がありません。他人名義の住居には住みたくないという方や、自宅の相続を考えている方にはメリットがある方法と言えます。
3.リバースモーゲージのデメリット
リバースモーゲージでは融資を受けても当分の間は金利だけを返済すれば良いため、資金的なメリットがありますが、一方でデメリットもあります。リバースモーゲージのデメリットにはどのようなものがあるのかを見てみましょう。
3-1.金融機関の審査がある
リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受けますので、一般の借り入れの時と同じように審査があります。審査結果によっては融資を受けられないということもありますので、その点を理解した上で取り組みましょう。
3-2.実際の担保評価額より評価が低くなる
リバースモーゲージの場合、担保価値の今後の下落分や金利上昇分が考慮されるために、現在の担保評価額よりも評価額が低くなります。そのため、現在の物件の相場価格より低い上限金額でしか融資を受けることができませんので、資金計画は慎重に立てて取り組みましょう。
3-3.相続人の同意が必要になる
金融機関への資金の返済は、契約者が亡くなった後、物件を売却して得られるお金で行います。その際に相続人との間でトラブルにならないように、融資の際に相続人の同意が必要になります。相続人の同意がなければリバースモーゲージは利用できませんので、相続人の了承を得て申し込みをする必要があります。
3-4.担保の再評価の際に評価額が下がることがある
金融機関は融資をして終わりではなく、定期的に物件の担保評価を行います。評価額が下がっている場合は、その後の融資限度額が減額されたり、一括で融資を受けている場合は減額分を返済しなければならなかったりする可能性がありますので、注意が必要です。
3-5.配偶者しか同居できない
リバースモーゲージを利用して融資を受けている場合、その物件には配偶者しか同居できません。子供や孫がいる場合はその旨を理解して取り組むことが大切です。
3-6.対象となる建物が戸建ての場合が多い
リバースモーゲージで融資できる対象物件は戸建てがほとんどで、マンションの場合は対象にならないことがありますので注意が必要です。全く無いというわけではなく、一部の金融機関では取り扱いをしていますので、マンション住まいの場合はマンションを対象にリバースモーゲージを行っている金融機関を探して申し込むようにしましょう。
4.ハウス・リースバックのメリット
では次に、ハウス・リースバックのメリットにはどのようなものがあるのか見てみましょう。
4-1.金融機関の審査がない
ハウス・リースバックは自宅を売却して資金調達する方法ですので、金融機関の審査がありません。借り入れが多かったり、収入が少なかったりする人でも申し込みができます。しかし、売却後は新所有者とのリースという形で住み続ける形となり家賃の支払いが発生しますので、支払いができるだけの収入があることが条件になります。
4-2.すぐに現金化できる
ハウス・リースバックの場合は売買が成立すれば、すぐに売却したお金が入ってきます。すぐに資金が必要な場合は、現金化が早い点でメリットがあります。しかし、ハウス・リースバックで売却する場合、一般の売却価格より低くなりますので、金額には注意が必要です。
4-3.売却後も住み続けることができる
売却をしても自宅に住み続けることができる点が、一般の売却と違う点です。そのため、自宅から出て新居に移る必要がありません。近隣住民に売却したことがわからない点もメリットと言えるでしょう。
4-4.固定資産税や都市計画税がかからない
ハウス・リースバックの場合は売却して所有者の名義も変更してしまいますので、売却後には固定資産税や都市計画税の支払いがありません。所有者が変更されずに、固定資産税や都市計画税を今まで通り支払わなければならないリバースモーゲージとは違う点です。
5.ハウス・リースバックのデメリット
ハウス・リースバックの場合、自宅を売却することで、どのようなデメリットがあるのかを見てみましょう。
5-1.ローンの完済をしなければならない
通常の売却の時と同じように、ハウス・リースバックの場合もローンの残債がある場合はローンを完済しなければいけません。そのため残債が多い場合は手元に入る資金が少なくなりますので注意が必要です。
5-2.家賃の支払額が相場家賃より高い
ハウス・リースバックを利用する場合、自宅の売却後には月々のリース料金を家賃として支払わなければいけません。家賃は近隣の家賃相場より高く設定してあることがほとんどで、一般的に約10年間で売却価格分の金額くらいは支払う計算になります。そのため、それ以上住み続ける場合は、売却価格以上の金額を支払うことになりますので注意が必要です。
5-3. 買戻しができなければ資金的なデメリットが大きくなる
上記のように賃借後は10年くらいで売却価格分に相当する家賃を支払うことなるため、自宅の買戻しができない場合は家賃負担が大きくなります。そのためハウス・リースバックに取り組む際には、将来の住まい方について長期的な計画を立てて取り組むようにしましょう。
6.リバースモーゲージとハウス・リースバックに向いている人
リバースモーゲージとハウス・リースバックは、借り入れか売却かという相違点によりそれぞれ利用する人に向き不向きがあることが考えられます。それぞれの利用に向いている人がどのような人になるのかを見てみましょう。
6-1.長期間住み続けたい場合
リバースモーゲージでは月々の返済が金利だけで良いため、資金的に余裕を持って取り組むことが可能です。そのため長期間住み続けたいという人に向いています。
その点、ハウス・リースバックは一定期間を過ぎると売却価格以上の支払いをすることになるほど家賃負担が大きくなりますので、長期間住み続けるのは不利になります。
しかし、リバースモーゲージも契約期間が設定される場合がありますので、契約条件をよく確認して取り組むようにしましょう。
6-2.リフォームをして住みたい場合
リバースモーゲージの場合、所有権は変更しませんので、利用後も自由にリフォームが可能です。その点ハウス・リースバックでは所有権が移転しますので、自由にリフォームすることができなくなります。リフォームをしたい場合はリバースモーゲージが有利と言えます。
6-3.資金を自由に使いたい場合
ハウス・リースバックは資金の使い道に制限がありませんので、自由に使うことができますが、リバースモーゲージの場合は使用目的が限定される場合があります。資金を自由に使いたい場合はハウス・リースバックが有利になります。
6-4.年齢が若い場合
リバースモーゲージの場合、契約者が死亡した場合に借入金を返済する仕組みになっていますので、返済時期があまり長期化しないことを前提として契約年齢を設定してあります。そのため、55歳以上や60歳以上が契約対象になることがほとんどです。
契約者が若い場合はリバースモーゲージの申し込みができないため、必然的にハウス・リースバックが検討対象になると言えます。
まとめ
人生100年時代と言われるようになり、退職後の生活費の負担が大きくなるために、その資金をどのように調達するかが大きな問題になっています。
自宅を所有している場合は、上記のようにリバースモーゲージやハウス・リースバックを利用することで、資金調達ができるメリットがあります。退職金や貯金では生活費が不足している場合はとても大きなメリットになるでしょう。
しかし、どちらの手段を選んでも、調達できる額が担保評価額より少なかったり、割高な家賃を支払う必要があったりするなどのデメリットも発生したりしますので、利用する際は長期的な計画をきちんと立てて取り組むようにしましょう。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
自宅で生活を支える、リバースモーゲージとハウス・リースバックの活用法