初心者必見!NFT主要マーケットプレイスの特徴と今後期待できるマーケットプレイスとは?

今回は、Web3.0とDAOをテーマに事業を行うFracton Ventures株式会社の赤澤 直樹 氏から寄稿いただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. NFTのマーケットプレイスとは
  2. 大手マーケットプレイス
    2-1. OpenSea
    2-2. Rarible
  3. 今後期待できるマーケットプレイス
    3-1. Foundation
    3-2. SuperRare
    3-3. MakersPlace
    3-4. Nanakusa
    3-5. Coincheck NFT
    3-6. Enjin MarketPlace
  4. まとめ

NFTについて連載を続けていますが、NFTにおいてプラットフォームとは何を指していて、それらはどのように違いがあるのでしょうか。今回は、特に有名なNFTマーケットプレイスを全8つご紹介します。

NFTのマーケットプレイスとは

そもそもNFTのマーケットプレイス(プラットフォームとも言われます)とは何を意味しているのでしょうか。実はNFTにおけるマーケットプレイスという概念は従来型のプラットフォームとは少し異なっています。

そもそもNFTの正体はブロックチェーン上のトークンです。ブロックチェーンにおいてトークンとは資産の一単位を示しており、例えばそれがBTCだとビットコインのブロックチェーンにおける暗号資産の単位を意味しています。NFTも大きく言えばそれらと同じトークンです。ただし異なる点として、NFTが意味しているものはあるデジタル作品の「所有」を意味しています。そしてNFTは原則的にそれぞれ各自のオーナー、クリエイターがウォレットに残高を保有していることになります。そして最大の特徴として、それらのNFTに関する情報は多くの場合オープンでパブリックなデータであることです。

話をマーケットプレイスに戻しましょう。この前段を元にNFTのマーケットプレイスを考えてみると、マーケットプレイスで表示されているNFTの情報は決して全てが企業が管理しているデータなのではなく、オープンでパブリックなデータベースのような場所を利用しているということが言えます。この「オープンでパブリックなデータベースのような場所」というのがイーサリアムをはじめとするパブリックブロックチェーンということになります。

現在では国内外に多くのマーケットプレイスが誕生しており、それぞれが個性を磨いていますが、元来オープンでパブリックという特性を持つブロックチェーンやそれを利用しているNFTを扱っているため、従来型のプラットフォームと比べて扱うアセットの種類や分かりやすいインターフェースに力を入れているところが多いです。また、パブリックかつオープンに扱えるNFTを簡単に発行できるようなユーザー体験を提供しているなど、ある種のゲートウェイのような役割を果たしています。

大手マーケットプレイス

1. OpenSea


最大手のNFTマーケットとして認知されているサービスがOpenSeaです。NFTの総合商社と呼べるようなプラットフォームで、サイドバーには直近有名なHashmasksなどのNFTシリーズなどのタグが表示され、特定のNFTシリーズを絞り込んで検索を行うことなどが可能です。

出品が簡単であることから出品数、アーティスト数も多く、日本国内では惜しくもNFT販売を一次中止された日本人アーティストの村上隆氏や、1,300万円でNFTアートが売却されたことでも話題のせきぐちあいみ氏のアートなどが出品されたマーケットプレイスです。これまでにAndreessen Horowitzを含めて約30億円の資金を調達しています。日本のゲーム会社gumi社の関係会社であるgumi Cryptosが出資を行っていることでも有名です。

2021年2月時点ではおよそ100万を超えるウォレットが接続されており、2021年4月時点で過去30日間の取引総額が約125億円を記録しています。これは数多あるマーケットプレイスの中で最大規模です。

NFTの一次発行の際にはブロックチェーン上にデータを記録せず手数料が発生しないことが特徴です。これは最初のNFT発行時に全てブロックチェーン上に書き込んでいく方式とは異なるオフチェーンと呼ばれる形式で、初期のNFT作成者の負担を減らすことができます。

対応するブロックチェーンはイーサリアム, Matic, Klaytn, テゾスと数多いのも特徴の一つです。

2. Rarible


Raribleはロシア系の創業者が手掛ける大手NFTマーケットプレイスです。Raribleの魅力はなんと言っても簡単にNFTを発行できるユーザーインターフェースにあります。誰でもウォレットを接続するだけで、あとはフォームを埋めていくだけで、シングル(1/1NFT)またはマルチ(1/n NFT)と呼ばれるNFTを発行可能です。

2020年には10万以上のアイテムが生成され、およそ26億円の取引量をマークしています。2021年にはさらに成長し、たった3ヶ月ですでに約36億の取引高を記録しました。先日大きな話題を呼んだバーチャルスニーカーを販売し、即完売を果たした1SEC社のバーチャルスニーカーが販売されたサイトの一つがこのRaribleでした。

NFTの発行を行えるプラットフォームとして申し上げるなら、先述のOpenSeaよりも、適していたり、簡単と言えるかもしれません。ただ少し欠点もあります。これはRaribleならではなのですが、NFTを作成している裏側のコード、スマートコントラクトが若干複雑なこともありネットワーク手数料(ガス代)が比較的高額である点です。

またRaribleでは日本語表示も可能なのですが、若干まだ翻訳がうまくされていない箇所もあり、細かな設定などの表現は英語版でご覧いただくほうが適している場合もありますのでその点はご注意ください。

今後期待できるマーケットプレイス

OpenSeaとRaribleは多くのユーザーと作品を抱えるいわば横綱や大関のようなプラットフォームでした。しかし、国内外にはこれらのプラットフォームに追いつこうとする新進気鋭のサービスも多く登場しています。代表的な新興サービスを6つご紹介します。

1. Foundation


Foundationは事前審査制のNFTマーケットプレイスです。登録前の事前審査があることで、アーティストのレベルを担保しています。主に3D、CG系のアーティストが多いプラットフォームです。

著名な作品としては社会風刺のメッセージを込めたエドワード・スノーデン氏の初めてのチャリティーNFTや、新興系NFTアーティストとしてにわかに注目を集め始めているpplpleasr氏などが作品を出品しています。

またあまり有名ではないものの、ぜひお読みいただきたいのがFoundationのブログです。彼らのブログ記事では、Foundationを選んだアーティストの人となりや、NFTへの期待などをかなり丁寧に1組ずつインタビューしており、そうした濃厚な記事を読むことも可能です。

2. SuperRare


続いてご紹介するのはSuperRareです。SuperRareはFoundationなどと並び、NFT作品の出品には事前審査が必須のNFTマーケットプレイスです。SuperRareは比較的古いNFTマーケットプレイスであり、2018年よりサービスを提供していることもあり、NFTという言葉が一般名詞化する前から多くのデジタル作家などに愛されているプラットフォームです。

直近の事例だと、マーズハウスと呼ばれる火星の住居をイメージした、実際に建造物が建てられる家の設計図データがNFTとして販売され話題になりました。2021年3月には数週間で数十億円の売り上げを達成するなど急激に成長しており、Velvet Sea Venturesと1confirmationがリードするシリーズAラウンドでは約10億円を調達しています。今後有望の成長株の一つです。

3. MakersPlace


サンフランシスコに拠点を置くスタートアップが運営する新興系のNFTのマーケットプレイスでメールアドレスでログインすることができるなど、従来型のWebサービスに近い操作性で利用することが可能です。また、クレジットカード決済を可能にしている点も大きな特徴です。従来型のWebサービスと同じように利用できるようにユーザー体験を整えている点はMakersPlaceの最大の特徴です。

他のマーケットプレイスと同じく、NFTの発行から、定額での売買やオークション形式での売買まで可能になっています。

比較的スタイリッシュなアート作品が多く、そのような作品を得意とするアーティストが多く集まっているため、スタイリッシュな作品を集めたいという方にはおすすめのマーケットプレイスです。

4. Nanakusa


Nanakusaは日本初の登録制のNFTマーケットプレイスで、記事公開時点でβ版サービスとして提供されています。 日本の企業である株式会社スマートアプリが提供しており、日本語で使いやすいサービスになっています。

2021年4月には、公認クリプトアーティストの選考が完了し、第1期公認アーティストとして国内・海外合わせ100人・組のアーティストを認定したことを発表しています。この公認クリプトアーティストは、デジタルアート、3Dアート、ピクセルアート、フォトグラファー、ミュージシャン、映像クリエイター、Vtuberなどなど様々なジャンルから選考されおり、多種多様なアーティストによる作品が楽しめるプラットフォームになると期待されています。

イーサリアムだけでなく手数料や処理速度の速いPolygonというブロックチェーンにも対応している点も特徴の一つだと言えるでしょう。なお、ベータ版の対応タイトルは、イーサリアム決済とPolygon決済で分かれているため注意が必要です。

5. Coincheck NFT


日本国内で暗号資産交換業(仮想通貨取引所)を手掛けるCoinCheck社が行う、NFTマーケットプレイスです。今までのNFTマーケットプレイスとは異なり、暗号資産取引所にアカウント(口座開設)を行い、その上で指定した暗号資産などで購入を行うことが可能です。ETH以外の暗号資産でも取引することが可能です。

NFTの取引をするためには購入するための暗号資産を購入し、自分のウォレットに入れる必要があります。そのため暗号資産の購入を取引所で行うなどしなければいけなかったのですが、その取引所が直接NFTマーケットを提供しているため、まだ取引に慣れていない方にも比較的優しいサービスだと言えるでしょう。

ベータ版のローンチ時点では、取扱い商品として『CryptoSpells』『The Sandbox』の2タイトルのゲーム内アイテムが出品されており、今後随時追加していく予定のようです。

6. Enjin MarketPlace


Enjin MarketPlaceはEnjin(ENJ)コインを発行しているEnjinが行うマーケットプレイスです。ENJコインで購入することが可能で、自分でNFTを発行することも可能です。

Enjinの構築するブロックチェーンJumpNetに対応しており、特にゲームに特化している点が最大の特徴です。JumpNetを利用することで取引手数料(ガス代)無料でNFTを発行し、大量に配布することが可能です。このブロックチェーンには、マイクロソフトやバイナンス、韓国のゲームソーシャルメディアであるLudena Protocol、OKExなどを含む50以上のパートナー企業とNFTプロジェクトが参加していると公表されており、今後のエコシステムの拡大に注目が集まっています。より多様なコンテンツが登録されることで、より多くのユーザーを惹きつけることができるようになるでしょう。

なお、ENJコインは国内の暗号資産取引所でも取り扱いがあるため、比較的取引に参加しやすくなっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。NFTのマーケットプレイスは従来型のマーケットプレイスと呼ぶものとは少し違っております。大きく分けると、①NFTを発行できるサービス、②NFTを購入できるサービス、③特定のアーティストのNFTが発行・販売されるサービス、④日本国内の事業者が提供するサービス、などのタイプに分かれます。

このように、お読みいただいた方がNFTの発行・販売を行う際には、ぜひこの記事を参考にニーズに合ったマーケットプレイスをお選びいただければと思います。またNFTマーケットプレイスは今後も増えてくることが予想され、特に日本語対応のものが増えてくることでより便利になっていくことが想定されます。

ディスクレーマー:なお、NFTと呼ばれる属性の内、発行種類や発行形式によって法令上の扱いが異なる場合がございます。詳しくはブロックチェーン・暗号資産分野にお詳しい弁護士などにご確認ください。

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