家の住み替え、住宅ローンが残っている時の手順は?売却のタイミングも

住宅ローンが残っている家を売却し住み替えたい時には、いつ査定の依頼や引っ越しを行うと良いのでしょうか?

住み替えの前には、まず住宅ローンの残債と売却予想価格の比較、売却と購入のタイミングをおさえておく必要があります。

ローンの残債と売却予想価格の比較の結果により、売却方法や住み替えの手順が決まります。それぞれの世帯における住み替えの予算もポイントとなりますので2人以上の世帯では家族と話し合っておきましょう。

本記事では住み替えの前におさえておきたいポイント2点とローンが残っている家の売却手順、自治体の支援制度やマイホーム買い替えの税金の控除について解説します。

※本記事は2021年5月時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、各自治体や国税庁のウェブサイトなどでご自身でもよくお調べの上、ご利用を判断ください。

目次

  1. 住み替えの前におさえておきたいポイント2点
    1-1.ローンの残債と売却予想価格を比較
    1-2.売却と購入のタイミング、「買い先行」と「売り先行」
  2. ローンが残っている家の売却の手順と方法
    2-1.アンダーローンの場合
    2-2.オーバーローンの場合
  3. 自治体の住み替え支援制度
  4. マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  5. まとめ

1.住み替えの前におさえておきたいポイント2点

住み替えの際には下記の2点に注意して行ってみましょう。

  • ローンの残債と売却予想価格の比較
  • 家を再び購入する場合の購入と売却のタイミング

1-1.ローンの残債と売却予想価格を比較

ローンが残っている住宅を売却する時には、ローンの残債と売却予想価格の比較を行います。残債が売却価格よりも低かった場合、自己資金を入れなければ抵当権の解除ができないためです。

ローンの残債は金融機関から送付される残高証明書に記載されていますが、残高証明書は年に1回発行されるため現在の残債額と異なる可能性があります。正確な金額を把握したい方は、金融機関の窓口で残債を尋ねてみましょう。

売却の予想価格を把握するためには、まず以下のサイトで周辺の売買価格を調べてみましょう。

周辺における似た物件の売却価格を調べることでおおよその売却価格が推測できます。

周辺の売却金額が分かった後は、不動産会社に査定を依頼することで、自身の物件における売却予想価格(査定額)調査することが可能です。なお、この時1社だけでなく複数社の査定を受け、査定価格や査定の根拠、担当者の対応などを比較するようにしましょう。

ローンの残債が売却予想価格を上回る場合は「オーバーローン」の状態となります。一方で売却予想価格がローンの残債より多い場合、ローンが物件価格を下回っているため「アンダーローン」と言います。

アンダーローン状態では物件を売却した代金でローンを完済できますが、オーバーローン状態では残債を一括返済するか、任意売却を検討することになります。任意売却では、物件を売却した後もローンの返済が続くことになります。

アンダーローンの売却は比較的容易ですが、オーバーローンの場合は売主の資金状況によって売却が困難であることも少なくありません。住み替えが現実的に可能であるかどうか、あらかじめ確認をしておきましょう。

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1-2.売却と購入のタイミング、「買い先行」と「売り先行」

現在の家を売却した後新居を購入する予定の方は、売却と購入のタイミングを考えておきましょう。

家の住み替えでは新居の購入を先に行う「買い先行」と、現在住んでいる家を先に売却する「売り先行」があります。「買い先行」は二重ローンになってしまう可能性があるため、ローンが残っている場合は「売り先行」で行った方が金銭的な負担が少なくなります。

アンダーローンかつ資金に余裕のある方は買い先行又は売り先行のどちらかを選び、オーバーローンの方や、アンダーローンだが費用をかけたくない・かけられないケースでは売り先行で住み替えを行いましょう。

新居を賃貸する場合でもタイミングは上記の通り、資金の状況により異なります。

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2.ローンが残っている家の売却の手順と方法

住宅ローンが残っている家には「抵当権」が設定されており、抵当権を抹消しないと売却することができません。抵当権を外して売却を行うためには、下記の3つの方法があります。

  • ローンを完済する
  • 住み替えローンを利用する
  • 任意売却で家を売却する

アンダーローンとオーバーローンで売却方法が異なりますので、ケース別にご紹介していきます。

2-1.アンダーローンの場合

売却予想価格とローン残債を比較した結果、アンダーローンの物件は売却代金でローンを完済できるため、現在の住居を売却した後に新居の購入、または賃貸を行うという流れとなります。資金に余裕があり、じっくり新居を探したい方は「買い(又は賃貸)先行」で住み替えましょう。

2-2.オーバーローンの場合

オーバーローンの家は、現金でローンを完済又は住み替えローンを契約します。場合によっては任意売却を行う事になります。手持ちの資金がある方は一括でローンを返済し、売却活動を行うことが可能です。

一方、手元に残債を返済する資金が無い方は「住み替えローン」で現在の家のローンの残りと新居のローンを一本化する事が検討できます。

ただし、住み替えローンは借入総額が大きくなり、審査に通らない可能性があります。また売買のタイミングを合わせる必要があるため新居探しを急ぐ可能性があります。

ローンを完済できず、住み替えローンの審査が通らない場合には「任意売却」という方法があります。

任意売却は金融機関に家の売却可否や売却価格に承諾を得た上で、不動産会社による仲介で売却活動を行い、抵当権(家を差し押さえる権利)を外してもらう売却方法です。

売却代金で支払いきれなかったローンの残りは金融機関と相談した上で返済方法や期間を決めますが、返済期間を延ばしてもらう、毎月の返済額を減らしてもらえるケースがあります。

3.自治体の住み替え支援制度

地方自治体の中には、移住・居住する子育て世代や親子の二世帯住宅に対し、一定の条件を満たした場合に、住み替えローンの金利優遇や補助金を支給する制度を行っています。

例えば神戸市では、子育て世代と親世代が近くに住む事になった際の移転費用を市内は最大10万円、市外や一部の地域から移転した場合は最大20万円の補助金を支給しています。子供の年齢や住宅、親子の家の距離などに条件があります。(※参照:神戸市「新婚・子育て世帯の住み替え支援」)

埼玉県では県内に自宅を建設・購入する子供を持つ世帯で一定の要件を満たす場合には基準金利よりも引き下げた優遇金利で融資を受ける事が出来ます。(※参照:埼玉県「住み替え支援・補助」)

4.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とは、売却した家がオーバーローンで住み替えを行った時、適用できる可能性のある控除制度です。

マイホームを2021年12月31日までに売却し、新たにマイホームを購入した場合に、旧居の譲渡による損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たした場合に、他の所得から控除(損益通算)することができます。

損益通算とは一定の所得に損失が生じた時に他の所得と相殺できる仕組みで、事業による所得や不動産の賃貸経営、株式や不動産などの資産の譲渡、山林の伐採や譲渡に関する所得が対象となります。

損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、売却した年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。

ただし、自分が住んでいるマイホームを譲渡する、譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年を超える住宅で日本国内にあるものの譲渡であるなどの要件を満たす必要があります。確定申告を行い、確定申告書に一定の書類を添付する事で手続きが可能となります。

まとめ

ローンが残っている家の住み替えは、オーバーローンとアンダーローン、住み替えの資金などにより手順や売却方法が異なります。

まずはローンの残債と売却予想価格を比較しておくことが重要です。オーバーローンの場合は自治体の支援制度や税金の控除などで、可能な限り金銭的な負担を減らしていくことも検討してみましょう。

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