投資と貯金の割合はどうすべき?判断方法や具体的な投資対象を紹介
投資初心者が投資を始める場合、投資に回すお金はどのくらいにすればいいのでしょうか。日常の家計をやりくりしながら資産形成を考えるには、投資と貯金のバランスも大切です。家計が赤字になったり、いざという時に使えるお金が足りなかったり、ということがないようにしなくてはなりません。
この記事では貯金と投資のお金の振り分け方や実際に投資をする場合の投資対象について解説します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 投資と預貯金の割合はどのくらいがベストか
1-1.投資と預貯金に決められた割合はない
1-2.目的別にお金を3つに分ける
1-3.3つのお金をいつまでに準備するかによって預貯金と投資の割合が決まる - 投資対象は取れるリスクによって決める
2-1.株式投資
2-2.債券投資
2-3.投資信託 - 貯蓄と投資のポイント
3-1.先取り貯蓄を実践する
3-2.分散投資を心掛ける
3-3.内容がわからない金融商品に投資しない - タイプ別に適した投資対象を紹介
4-1.あまりリスクを取りたくない場合
4-2.投資期間が長く、積極的に投資したい人の場合
4-3.教育資金や老後資金準備をする場合 - まとめ
1.投資と預貯金の割合はどのくらいがベストか
投資を始めるにあたり、投資と預貯金の割合はどのように考えたらいいのでしょうか。
1-1.投資と預貯金に決められた割合はない
投資と預貯金の割合には特に決まりはありません。ただし、超低金利続く2021年現在、預貯金ではお金を増やすことは期待できません。長い時間をかけて貯めていく教育資金や老後資金は、投資のほうが効率よく準備できます。そこで、いつまでにいくら準備するかによって、投資に回すべき金額が決まるのです。
1-2.目的別にお金を3つに分ける
投資に回す金額を決めるにあたり、まずはお金を目的別に3つに分けてみましょう。
すぐに使えるお金
生活費や、いざというときのための緊急予備資金(生活防衛費などとも呼ぶ)は普通預金や定期預金などですぐに使えるようにしておきます。緊急予備資金は突然の病気や、家の修繕などのための準備で、目安として生活費の6カ月分程度あるとよいでしょう。
近い将来使う予定のあるお金
住宅購入時の頭金や自動車の購入資金など、使う時期の決まっているお金は投資には回さず、預貯金や会社の財形貯蓄などで準備するとよいでしょう。
すぐには使わないお金
すぐには使わないお金とは、教育資金や老後資金など10年以上かけて準備するお金のことです。長い準備期間があるため、リスクを取った運用ができます。また、インフレリスクを考えると投資で増やすことは、資産の目減りを防止する意味もあります。
1-3.3つのお金をいつまでに準備するかによって預貯金と投資の割合が決まる
上述の3つのお金をいつまでにいくら準備するかによって、預貯金と投資の割合は決まります。「5年以内に住宅ローンの頭金を500万円準備する」「65歳までに老後資金を2,000万円準備する」などのような目標によって預貯金の割合が自然に決まるのです。
2.投資対象は取れるリスクによって決める
投資でどのくらいのリスクを取れるかは、主にリスク許容度によって決まります。ここで言う「リスク」とは「危険」という意味ではなく、金融商品の値動きの振れ幅のことです。ハイリスクとは値動きの振れ幅が大きいことで、ローリスクとは値動きの振れ幅が小さいという意味になります。
このことを踏まえると「リスク許容度」とは金融商品の値動きの振れ幅をどの程度受容できるか、ということを意味します。通常、値上がりする分を許容できないということはないので、「どの程度の値下がりまでなら耐えられるか」と言い換えても良いでしょう。一般的に、債券や投資信託よりも株式のほうがリスクが大きくなります。
以下では、株式・債券・投資信託について、それぞれどんな特徴があるのか解説します。
2-1.株式投資
株式は会社が資金調達のために発行するものです。株式を購入した人は出資者となり、配当を受け取ったり、売却益を得たりできます。
株式は発行する会社の業績の他にも価格変動の要因が多く、値動きが激しい傾向があります。そのため、大きな利益が期待できる反面、損失を被る可能性も高くなります。
2-2.債券投資
債券は国や会社の資金調達の一種で、資金提供した投資家への借用証にあたるものです。あらかじめ利息や返済日(償還日)が決められています。債券は株式と同じく売買をする市場があり、値動きがあります。しかし、債券の価格変動要因は金利変動以外にはあまりないため、値動きの幅は限定的です。また、金利があらかじめ決まっているため、発行体の破綻などがない限りはローリスクな金融商品です。
個人投資家が投資しやすい債券としては、「個人向け国債」などがあります。
2-3.投資信託
投資信託は投資家から集めた資金を、投資の専門家が株式や債券で運用してくれる金融商品です。たくさんの個別株や債券に投資するには、多くの資金が必要です。一方、少ない資金で分散投資が可能な投資信託は、リスクを取って大きなリターンを得たい人も、あまりリスクを取りたくない人も自分に合った運用が選べます。
3.貯蓄と投資のポイント
しっかりとお金を貯めていくために心掛けたいポイントについて解説します。
3-1.先取り貯蓄を実践する
必要なお金を目標の時期までに準備するには、「先取り貯蓄」を実践するようにしましょう。「先取り貯蓄」とは、収入から先に決めた金額を貯蓄に回してしまい、残ったお金で生活していく方法です。給与天引や自動積立などを利用すると簡単に実行できます。
人によっては収入から生活費を引いた残りを貯蓄しようと思っても、なかなかうまくいかないのではないでしょうか。その場合、「先取り貯蓄」のような仕組みを作ってしまえば、貯蓄が苦手な人でも預貯金や投資を続けやすくなります。
3-2.分散投資を心掛ける
投資のリスクを軽減する方法として「分散投資」は大切です。投資対象が1つに集中してしまうと、うまくいかなかった場合の影響が大きくなるからです。たとえば、株式を1つの銘柄に集中して買った場合、その会社が破綻すれば投資したお金が消えてしまうことにもなりかねません。投資対象を分散することでリスクはゼロにはできませんが、軽減することは可能です。
分散投資には、銘柄の分散、資産の分散、地域の分散などがあります。自分で選ぶ手間を省いて分散投資をしたい場合は、投資信託を利用すると良いでしょう。
3-3.内容がわからない金融商品に投資しない
初心者が投資を始める場合、内容がわからない金融商品には投資をしないようにしましょう。例えば投資信託であれば目論見書の内容を理解できるかどうかなど、元本保証でない金融商品を仕組みやリスクを理解せずに購入した場合、失敗したときの損失がどのくらい大きいかもわかりません。
興味のある金融商品については、何を投資対象にしているのか、どの程度の損失の可能性があるのかなどを把握するようにしてください。人に聞いたり調べたりしても理解できなかった場合、投資を見送る勇気も必要です。
4.タイプ別に適した投資対象を紹介
どんな状況でどんな投資をしたいのか、タイプ別に適した投資対象を紹介します。
4-1.あまりリスクを取りたくない場合
投資の初心者は、まずはリスクのコントロールを学ぶことが大切です。
投資を始めていきなり大きな損失を被ると投資を続けるマインドが傷つき、二度と投資をしたくないと思うかもしれません。そうならないためには、まずは少額から始められる投資信託や1株で購入できるサービスを利用するのがよいでしょう。
また、利益は少なくてもいいからリスクを抑えたいという場合、個人向け国債も選択肢の1つです。
お任せできるロボアドバイザーも選択肢に
初心者の場合、運用をお任せできるロボアドバイザーの活用を検討するのも一つです。ロボアドバイザーは簡単な質問に答えるだけで、オンラインで投資の提案や運用代行をしてくれる投資のサービスです。
投資をしてみたいが何をどうしていいかわからず、行動に移せない人や、相場のチェックをする時間が取れないにも適していると言えます。なぜなら、投資は期間が長いほどリターンが期待できるため、早く始めたほうがいいからです。あれこれ悩んで結局投資を始められないより、ロボアドバイザーで自分のリスク許容度に合った投資をスタートさせることで、プロに任せて運用を開始できるメリットがあります。
ただし、ロボアドバイザーの投資も元本保証ではないため、損失を被る可能性があることは理解しておきましょう。
4-2.投資期間が長く、積極的に投資したい人の場合
投資経験が豊富だったり、リスクを取ってより多くのリターンを得たいと考えたりする人の場合は、国内外の株式の割合の多い投資が適しています。
国内外の株式への直接投資で多くの銘柄を買うには多額の資金が必要です。そのため、分散投資がしやすい投資信託の利用もメリットがあると言えます。特に株式の投資信託を毎月1万円ずつのような積立で購入すると、購入単価が平均化され、高値掴みを避ける効果が期待できます。
また、個別に株式を購入したい企業がある場合には、1株から購入できる証券会社で株式投資を始めるのもよいでしょう。通常、日本株は100株単位で売買する必要があるため、数万円~数百万円の資金が最低でも必要ですが、1株単位なら1/100の金額から始められます。米国株は全ての銘柄が1株から取引可能です。
4-3.教育資金や老後資金準備をする場合
また、教育費や老後資金の準備にはターゲットデート型のバランスファンドもメリットがあります。ターゲットデート型ファンドとは、ファンドごとの目標期日(ターゲットデート)に合わせて資産配分を積極運用から安定運用に切り替えてくれるバランスファンドの一種です。ファンドの名前に「2040」「2050」のようなターゲットイヤーの数字が付いています。
ターゲットデート型ファンドを購入すると、最初は高い利益を得るために株式中心の積極運用をし、ターゲットデートが近づくにつれ債券の割合を増やした安定運用に自動的に変わっていきます。そのため、投資家はリバランスをする必要がありません。ただし、ターゲットデート型ファンドも投資信託なので、損失を被る可能性があることは覚えておきましょう。
まとめ
投資と預貯金の資金の割合にこれといった決まりはありません。個人個人のライフプランによりそれぞれに必要な金額を求め、適した投資対象で運用していくようにしましょう。
着実に資産を形成するには、先取り貯蓄の実践や分散投資でのリスク軽減も大切です。自分に合った投資対象を選び、リスク管理をしながら投資と預貯金を続けていきましょう。
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