【重要ニュースまとめ(6/26~7/2)】各国の規制当局がBinanceへ警告、Coinbaseは規制に準拠して事業を拡大。DeFi大手Compoundからは新サービスも
今回は、6/26~7/2の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。
目次
- 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
1-1. 金融庁がBinanceへ2度目の警告
1-2. エルサルバドル政府が国民に30ドル分のビットコインを無償配布
1-3. Coinbaseがドイツでライセンスを取得 - 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
2-1. 国連が気候変動対策にブロックチェーンが有効だと主張
2-2. EUの暗号資産規制でNFTが対象外になることを提案 - 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
3-1. Compoundが既存金融へDeFiアクセスを提供
3-2. FATFが暗号資産ガイダンスの現状を報告 - まとめ、著者の考察
初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
金融庁がBinanceへ2度目の警告
金融庁が、暗号資産取引所最大手のBinanceに日本でのサービス提供を中止するよう警告を出しました。日本で取引所事業を行うにはライセンスが必要になりますが、Binanceは取得していないため未登録業者として注意を促しています。
Binanceは、過去に当時Zホールディングス傘下にあったTaoTaoとの提携を発表しており、正式にライセンスの取得に動いていました。しかしながら、日本市場の伸び悩みなどもあり提携が決裂すると、ライセンス取得をせずにサービス提供を行う事態に陥っています。
2018年に一度金融庁からの警告を受け日本語でのサービス提供を中止していましたが、徐々に日本語での提供を復活させており、今回2度目の警告を受けています。
Binanceには、日本だけでなくイギリスやカナダの規制当局からも同じタイミングで警告が出されており、サービス利用者は資金の引き出しが突然できなくなるなどのリスクを考慮しておく必要があるでしょう。
【参照記事】令和3年6月 25 日 金 融 庁 無登録で暗号資産交換業を行う者について(Binance Holdings Limited)
エルサルバドル政府が国民に30ドル分のビットコインを無償配布
エルサルバドルが、ビットコインを法定通貨として採用する法案の施行に伴い、国民へ30ドル相当のビットコインを無償で配布する予定であることがわかりました。法案の施行日は9月7日となっています。
世界初のビットコイン法定通貨採用国であるエルサルバドルで、大統領自ら国民へのビットコイン無償配布を発表しました。ビットコインを取り扱うためのウォレットも指定されており、法定通貨として流通させるためのインフラ整備に着手しています。
使用されるウォレットは「Chivo」と呼ばれるものであり、QRコード送金や米ドルとの交換、ビットコインの購入などができるとのことです。
エルサルバドル国民へビットコインが無償配布されることで、市場全体としても2.5%のユーザー増が期待できるといいます。それに伴い、1億3,500万ドルの買い圧力が生まれるともされており、市場の動きに注目が集まっています。
【参照URL】Twitter – Casa Presidencial
Coinbaseがドイツでライセンスを取得
世界最大手の暗号資産取引所Coinbaseが、ドイツでの事業者ライセンスを取得したことを発表しました。ドイツで暗号資産取引所のライセンスが発行されるのは今回が初めてのことです。
米ナスダックへの上場を果たし世界的な信頼を獲得しているCoinbaseが、ドイツでの事業を開始しました。6月には日本でのライセンス取得も発表しており、ますますの事業拡大を実現しています。
ドイツの規制当局(BaFin)は、2020年3月より取引所のライセンス制を導入しており、1年以上かけてようやく第1号が誕生しました。今回の例は、ドイツだけでなくEU諸国でも初めてのことになるといいます。
【参照記事】Coinbase secures first crypto licence in Germany | by Coinbase | Jun, 2021
初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】
国連が気候変動対策にブロックチェーンが有効だと主張
国際連合が、気候変動対策にブロックチェーンが有効であるとの見解を示しました。暗号資産のボラティリティは依然として高い中で、その本質的な技術基盤であるブロックチェーンは、持続可能な世界の実現に向けて役に立つと言及しています。
国連によると、ブロックチェーンによって気候変動対策が加速されるのは、「透明性」「気候ファイナンス」「クリーンエネルギー」の3つの市場になるといいます。
透明性の観点では、ブロックチェーンによって各国から提供される温室効果ガス排出量のデータに信頼性を持たせることができ、気候ファイナンスの観点では、ESG投資のための資金が流入するとしています。
またクリーンエネルギーの観点では、再生可能エネルギー(風力や太陽光など)の供給源が分散されている傾向にあることから、ブロックチェーンとの相性が良いと説明しました。
【関連記事】国連が気候変動対策にブロックチェーンが有効だと主張
EUの暗号資産規制でNFTが対象外になることを提案
EUにおける暗号資産規制の中で、NFTが期待対象から外れる提案が出されました。理由としては、NFTが市場で容易に取引できるものではないためとされています。
EUでは、2020年9月に暗号資産に対する包括的な規制案が公表されていました。この法案に対して、NFTを暗号資産の定義から外す点や、EU圏内で暗号資産サービスを提供するには拠点をEU加盟国に置く必要がある点などの改訂が提案されています。
NFTについては、投機的にやり取りされたり何かの交換手段として使用されることがあるものの、容易に取引できるものではないとして、暗号資産とは異なる枠組みを適用させるべきとされました。
今回の件はあくまで提案段階であるため、正式に承認されたわけではないものの、将来的にEUではNFTが暗号資産ではないと定義される可能性が伺えます。
【参照記事】La UE dará poderes al BCE, a la CNMV y al Banco de España para controlar los criptoactivos
初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】
Compoundが既存金融へDeFiアクセスを提供
大手DeFiレンディングプロトコルCompoundを開発するCompound Labsが、新会社としてCompound Treasuryを設立しました。レガシー金融向けに新たなサービスを提供するとしています。
CompoundのようなDeFiプロトコルの場合、運営の意思決定はガバナンストークンの保有者が行うものの、具体としてはどこかの会社や創業メンバーが運営していることが多いのが実態です。Compoundの場合、Compound Labsがこれにあたります。(イーサリアムの場合はイーサリアム財団)
今回設立されたCompound Treasuryでは、Compoundの利用者をさらに拡大すべく、ステーブルコインUSDCの発行を担うCircleなどと提携することで新サービスを提供するとしていいます。
レガシー金融が暗号資産やウォレットを入手することなくDeFiにアクセスできるようにするため、米ドルを入金することで自動的にUSDCに換金し、Compound TreasuryがCompoundで運用するとのことです。年率4%の利子を付与することを目指しており、一般的な米ドルの普通預金とは桁違いの利子が獲得できるとアピールしています。
【関連記事】Compoundが既存金融へDeFiアクセスを提供、米ドルをUSDCに自動換金して運用
FATFが暗号資産ガイダンスの現状を報告
FATFが暗号資産ガイダンスが各国でどれだけ浸透しているかを調査したレポートを公表しました。対象となったのは2019年に施行されたガイダンスであり、2021年の改訂案は含まれていません。
レポートによると、128カ国のうち準拠できていると言えるのは58カ国にとどまるといいます。また、そのうちの52カ国で規制が整備されており、残りの6カ国は未整備のためひとまず禁止しているとのことです。
FATFが各国へ勧告している暗号資産規制としては、主にトラベルルールがあげられます。実施難度の高さから、各国で整備が進まず先延ばしになってきましたが、実施するためのソリューション開発に進捗が見られたとFATFは報告しています。
また、FATFは暗号資産がの不正利用に関するレポートも公開し、暗号資産のAML/CFTに関する一層の強化を示しました。
【参照記事】Documents – Financial Action Task Force
まとめ、著者の考察
今週は、各国の規制当局によるBinanceへの警告や、Compoundによる新サービスの発表が話題となりました。Binanceは日本居住者にも多くサービスを提供しているとみられ、今後の動向には注意が必要です。
一方で、各国の規制に準拠した上で事業を拡大しているCoinbaseは、時間がかかれど着実に各国でのライセンスを取得しています。日本やドイツなど経済大国における事業も正式に開始することができており、さらなる拡大が予想できそうです。
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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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