マンションの売却方法には仲介と買取の2種類があります。それぞれに特徴があり、メリットやデメリットが異なります。不動産売却の際にはより高い価格で売却することを重視したい人もいれば、あまり高い価格ではなくてもいいから、できるだけ早く売却したいという人もいます。事情は人によって異なり、それぞれで仲介・買取のどちらが向いているかも変わります。
この記事では仲介と買取の売却方法の特徴を確認した上で、状況別にどちらの売却の仕方が合っているかについてご紹介します。
目次
- 不動産仲介と不動産買取の流れの違い
1-1.不動産仲介の場合の流れ
1-2.不動産買取の場合の流れ - 不動産仲介のメリット
2-1.買取の場合より高い価格で売却できる
2-2.価格と買主を自分で決めることができる
2-3.大きな利益が得られることもある - 不動産仲介のデメリット
3-1.売却するまで長期になることがある
3-2.売りに出していることを知られる場合がある
3-3.値下げによって利益が少なくなる場合がある
3-4.瑕疵担保責任を持つ場合は売却後も不安が残る - 不動産買取のメリット
4-1.現金化が早い
4-2.他の人に知られる可能性が低い
4-3.仲介手数料がかからない
4-4.瑕疵担保責任がない - 不動産買取のデメリット
5-1.売却価格は相場の価格より低くなる
5-2.価格を自分で決めることができない
5-3.築浅の物件は不利になる - 状況別の不動産売却方法
6-1.時間に余裕がある場合
6-2.少しでも高い価格で売却したい場合
6-3.現金がすぐに必要な場合
6-4.物件が古い場合
6-5.物件が築浅の場合
6-6.運用でキャッシュフローが多くストックされている場合
6-7.管理状態が他の物件より良い場合 - まとめ
1.不動産仲介と不動産買取の流れの違い
仲介と買取では売却の際の流れが異なります。それぞれどのような流れになるかを見てみましょう。
1-1.不動産仲介の場合の流れ
仲介の場合、不動産会社が募集広告を出し、問い合わせてきた第三者が買主になります。買主が現れるまでは売却は完了しません。以下が仲介の場合の流れになります。
- 価格査定
- 買主の募集
- 希望者による応募、内覧
- 契約条件の調整
- 売買契約の締結
- 引き渡し
1-2.不動産買取の場合の流れ
買取は不動産会社が直接物件を買い取ってくれるため、募集をする必要がありません。以下のような流れになります。
- 価格査定
- 契約条件の調整
- 売買契約の締結
- 引き渡し
仲介では査定を行い売り出し価格を決めたら、募集広告を出し購入希望者からの応募を待ちます。応募がなければ広告を出し続けて応募を待つ状態になります。一方で買取には買主を募集する工程がありませんので、その分早く売却を完了することができます。買取業者の中には数日で買取をしてくれるところもあります。
2.不動産仲介のメリット
仲介の場合、不動産会社を経由して問い合わせてきた第三者が買主になります。そのような違いがある中で、仲介でマンションを売却する際にはどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。
2-1.買取の場合より高い価格で売却できる
仲介では、相場の価格で募集をしたり、高く売却したい場合は相場より価格を上げて募集をしたりすることができます。売却に時間をかけることができれば、その価格で売却できるまで待つことができます。買取では不動産会社が相場より低い価格で買い取ることが一般的ですので、それと比較して売却価格が高くなるのが特徴です。
2-2.価格と買主を自分で決めることができる
買取では不動産会社が価格を決めるのに対し、仲介は不動産会社が査定した価格をもとに、価格を自分で決めることができます。もちろん不動産会社が査定した価格をそのまま使うこともできますし、価格を自由に変えることができる点は買取にはない点です。
また、購入したいという買主も自分で選ぶことができます。
2-3.大きな利益が得られることもある
仲介の場合、購入希望者が複数出そうなニーズの高いであれば価格を上げて募集をすることもできますので、市場の状況によっては大きな利益が出ることもあります。特に東京オリンピックなどで価格が高騰している時期であれば、何も大きなイベントがない時期より利益が大きくなる可能性が高くなります。
3.不動産仲介のデメリット
価格や買主を自分で決めたり選べたりする点が仲介のメリットですが、逆にデメリットはどのような点なのかを見てみましょう。
3-1.売却するまで長期になることがある
買取は不動産会社が査定した価格で納得できれば、すぐに買取完了まで進むことができます。一方、仲介では売却までの期間が約束されていませんので、価格や物件の状態によっては買い手が現れず、売却活動が長期間に及ぶことがあります。売却に時間をあまりかけたくないという方にはデメリットになります。
3-2.売りに出していることを知られる場合がある
仲介の場合は不動産会社間のネットワークだけでなく、一般の不動産情報サイトに募集を出すことがあります。物件名を出さなくても条件で物件を特定することもできるため、売りに出していることを他の人に知られる可能性があります。売却しようとしていることを他の人に知られたくないという方にとってはデメリットと言えます。
3-3.値下げによって利益が少なくなる場合がある
最終的な売却価格は買主との調整で決まります。高い価格で募集をしていても、その価格で買いたいという買主が現れない場合は、より低い価格に設定し直して売却することになります。その場合は得られる利益の額が当初予定より少なくなります。
また、買主から値下げ交渉を受けることもあるため、そうした要因によって利益の額が変動しうる点はデメリットと言えます。
3-4.瑕疵担保責任を持つ場合は売却後も不安が残る
仲介で売却した場合、瑕疵担保責任は売主にあります。そのため、一定期間内に瑕疵が発見された場合は修理代の費用が発生する可能性がありますので、その期間は不安が残ることになります。
ただし、中古物件を売却する際には瑕疵担保責任を負わない契約を締結することも一般的ですので、あらかじめ不動産会社と相談しておけば、このリスクを回避しやすくなります。
4.不動産買取のメリット
買取は、不動産会社がマンションの価格を査定して、売主がその金額に納得がいけば不動産会社が直接買い取ってくれるという方式です。どのような点が売主のメリットになるのかを見てみましょう。
4-1.現金化が早い
買取では、査定後に売主と調整が完了すれば、不動産会社はすぐに買取をしてくれます。買取を専門に行っている不動産会社の中には、査定から売却まで1週間もかからないという会社もありますので、すぐにマンションを現金化したいという方には大きなメリットになります。
4-2.他の人に知られる可能性が低い
買取では募集広告を出しませんので、物件を売却しようとしていることが表に出ることがありません。そのため第三者に売却のことを知られる可能性が低く、他の人に売却のことを知られたくない方にはメリットと言えます。
4-3.仲介手数料がかからない
買取の場合は不動産会社が直接買取をしてくれるため、仲介手数料がかかりません。仲介手数料は一般的に数十万円程度かかることになりますので、売却に関するコストを抑えたい場合はメリットになります。
4-4.瑕疵担保責任がない
仲介で売却した場合は瑕疵担保責任があることに触れましたが、買取の場合は瑕疵担保責任がありません。不動産会社が買取をして売却しますので、最終的な買主に対する瑕疵担保責任は不動産会社が持つ形になります。瑕疵が見つかると、状態によっては修繕に大きな費用がかかることもありますので、瑕疵担保責任がないという点はメリットと言えます。
5.不動産買取のデメリット
買取のメリットについて見てみました。買取には現金化が早いというメリットがありますが、その分売却価格が低くなるデメリットがあります。他にどのようなデメリットがあるのかを見てみましょう。
5-1.売却価格は相場の価格より低くなる
上記の通り、買取の場合は仲介で売却するより価格が低くなります。買取をする不動産会社は、買取後にリフォームなどを行い、投資価値を付加して売却をします。買取をした際の価格+リフォーム等の諸費用と売却価格との差が不動産会社の利益になります。
一般的に買取価格は相場より20%~30%は低くなります。例えば、相場が2,000万円の物件の場合、買取と仲介ではどちらが手元に残るお金が多いかを比較してみましょう。
買取の場合の買取価格は以下のようになります。
2,000万円×80%=1,600万円
2,000万円×70%=1,400万円
買取価格は1,400万円~1,600万円くらい
仲介の場合は以下のようになります。
2,000万円×3%+6万円=66万円
物件価格から仲介手数料を引いた残りは以下のようになります。
2,000万円-66万円=1,934万円
このように仲介を依頼して相場価格で売却できた場合、仲介手数料を引いても手元に残るお金は買取の場合より多くなります。買取では相場よりも価格が低くなる点が大きなデメリットになることを知っておきましょう。
5-2.価格を自分で決めることができない
買取の場合、不動産会社が主導で価格を決めることになります。そのため、売却価格を自分で決めることができません。売主はリフォームをしなくて良かったり、仲介手数料がかからなかったりするメリットがありますが、自分の希望価格帯で売れる可能性が低い点には注意が必要です。
5-3.築浅の物件は不利になる
築浅の物件は資産価値の下落がまだ少ないぶん一般的に高く売却できますが、買取で売却をする際には築年数に関係なく相場より20%~30%は価格が低くなります。
築浅の物件は新しい分、賃貸ニーズが高く物件の劣化も少ないため、仲介でも売却しやすいというメリットがありますので、急ぎでない場合は買取を使わず仲介で売却を狙うほうがおすすめです。
以下に仲介と買取の比較表を記載しておきます。
項目 | 仲介 | 買取 |
---|---|---|
売却までの時間 | 長期になることがある | 短期間で可能 |
売却価格 | 相場価格が目安 | 相場より低い |
仲介手数料の有無 | 有り | 無し |
瑕疵担保責任の有無 | 有り(契約で免責も可能) | 無し |
リフォームの必要性 | 状況による | 無し |
6.状況別の不動産売却方法
マンション投資では建物ごとにそれぞれ物件の資産性や収支が異なるという特徴があります。そのため、売却の方法も物件や状況によって仲介が良いのか買取が良いのかが違ってきます。状況別にどちらの売却方法が良いのかをご紹介します。
6-1.時間に余裕がある場合
時間に余裕がある場合は、より高く売却できる可能性がある仲介が向いています。相場より高めの価格で売却をする場合は時間がかかる可能性が高くなりますので、時間があれば少し高い価格で広告を出して待つことが可能になります。
6-2.少しでも高い価格で売却したい場合
この場合も仲介が有利です。買取では先に触れているように、相場価格より20%~30%低くなりますので、高く売却をしたい方には買取は向いておらず、仲介を選ぶべきだと言えます。
6-3.現金がすぐに必要な場合
どれくらいの期間で売却が必要かによって、仲介と買取を使い分けると良いでしょう。買取を依頼すれば仲介で売却するより早く現金化ができますが、少し時間に余裕があれば、買取のための査定だけを行い、後々で買取を依頼する前提で、まずは仲介で売りに出してみることも考えてみましょう。
そうすれば、仲介ですぐに反応がなければ、買取で売却するということもできますので、時間の兼ね合いで調整すると良いでしょう。
6-4.物件が古い場合
物件が古い場合は仲介では売却しにくい可能性もありますが、基本的には価格設定次第で売却できるかどうかが決まると言えます。この場合もどれくらい時間が許せるかで、仲介と買取を使い分けるという方法を考えると良いでしょう。
6-5.物件が築浅の場合
物件が築浅の場合は、一定の購入ニーズが見込めるため、仲介でも相場価格かそれ以下で売り出せば、大きく時間がかかるリスクは比較的少ないと言えます。この点を考えると、買取では価格が低くなりすぎるため不利だと言えます。この場合は仲介の方がメリットが大きいと言えるでしょう。
6-6.運用でキャッシュフローが多くストックされている場合
これまでの運用でキャッシュフローが多くストックされている場合は、買取で売却価格が低くなっても残る利益が多いかどうかで判断しましょう。買取での売却を行っても残る利益が多ければ、買取で早めに現金化し、次の投資を考える方がメリットを大きくできる場合があります。
6-7.管理状態が他の物件より良い場合
物件の管理状態が良い場合、購入希望者が良い印象を受けやすいため、仲介で高く売却できる可能性があります。時間が許すようであれば、不動産会社と相談してできるだけ高い価格で売りに出してみても良いでしょう。
まとめ
マンションを売却する際の仲介と買取の違いと、状況の違いによる売却の仕方についてご紹介しました。
マンション投資は物件ごとに事情が違いますので、売却の仕方も案件によって異なります。売却の仕方によっては、当初予定していた額の利益が得られなかったり、売却に時間がかかったりする可能性があります。
自分の状況をしっかり把握して、売却の仕方を慎重に検討するようにしましょう。
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