SIIFが2020年度のアニュアルレポートを発刊。インパクト投資や休眠預金活用で成果
一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は7月14日、2020年のアニュアルレポートを発刊、財団ウェブサイトで公開した。20年度のケーススタディとしいて「社会起業家支援プログラム」「はたらくFUND」「休眠預金活用事業」新しい資源循環の仕組みづくりを研究開発するシードアクセラレータープログラム 「ハルキゲニアラボ」、社会的インパクト評価・マネジメント、グローバルパートナーシップについて紹介している。
20年度はインパクト投資や休眠預金を活用した社会起業家支援などの分野で多くの成果を挙げた。インパクト投資の分野では、はたらくFUNDで2件の新規投資の実行、インパクトレポートの発行、GSG国内諮問委員会の事務局として金融庁と共催でインパクト投資の勉強会を開催したほか、インパクト投資実施のガイドラインを作成した。社会起業家への支援としては、2年連続で休眠預金活用事業の資金分配団体として採択され、ソーシャルビジネスを行う起業家への助成と経営伴走支援を行った。
また、「日本財団ソーシャルチェンジメーカーズ」プログラムを卒業した起業家への資本出資・助成、経営伴走支援、そして各地域の社会課題解決に向けて、新しい取り組みを企画している社会起業家の発掘と資金、支援を提供した。
レポートの巻頭で、大野修一理事長が「今こそ求められる『新しい経済』の実践知」のタイトルでメッセージを掲載。この中で大橋理事長は「20年度は新型コロナウイルスであらゆる社会活動が縮小や中止を迫られる未曾有の一年だった。日本、世界中で、政治、経済、教育、文化など社会のあらゆる面でさまざまな問題点が見えて来たと同時に、それらの課題を乗り越えるためのさまざまな試みが始まった年でもあった。(略)大きな危機は、必ず革新的な変化を生み出し、そのおかげで人類は難局を乗り越えて来た。コロナ禍という前代未聞の事態に直面している今、我々はまさに歴史的な転換点にいると言えるだろう」と提起。
そのうえで「SIIFは『社会課題解決と多様な価値創造が自律的・持続的に起こる社会を目指し、自助・公助・共助の枠組みを超えて、社会的・経済的な資源の循環の仕組みをつくる』をミッションとして推進してきた。世界最速で超高齢化社会に突入する日本は、医療・介護システムの疲弊、子供の貧困、地方の経済衰退とコミュニティの消滅等の大きな構造的問題に直面している。高度経済成長期に構築された、経済成長を前提とした政府による再分配モデルでは、こうした課題に対処できないことが明らかになっている今、官民の境界線を再定義し、新しい社会システムを構築していく必要がある。社会システムの一つとして、経済資本に留まらず、自然・社会・文化・感性等の資本を可視化・価値化し、循環させる仕組みの創出や再構築が大きな鍵を握るだろう」との見解を示した。
引き続き、公的コスト削減に貢献できる革新的なサービスやプラットフォームを提供している企業の積極的な支援や新たなモデル事業の創出および投資を自ら実施するとともに、調査研究や政策提言により環境整備を行うことで「社会課題の解決と価値創造が自律的かつ持続的に起こる資源循環のエコシステム」の構築を目指していく。
【関連サイト】一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)
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