アパート経営、都心と地方のどちらで始めるべき?メリット・デメリットの比較
アパート経営を始めるに当たって、悩みのひとつとなるのが「都心と地方のどちらで始めるべきか」ではないでしょうか。都心か地方かの違いによって、同じアパート経営といっても期待できる利回りやリスクが大きく異なってきます。
そこで今回の記事では、都心と地方のアパート経営にはどのようなメリットとデメリットがあるのか、紹介していきます。これからアパート経営を検討している方はご参考下さい。
目次
- 都心でアパート経営を行う場合のメリット
1-1.人口が増加傾向にあり、賃貸物件への需要が見込める
1-2.家賃や資産価値の下落を抑えられる
1-3.流動性が高く、売却しやすい - 都心でアパート経営を行う場合のデメリット
2-1.購入費用が高く、利回りが低い
2-2.固定資産税をはじめ税金が高い
2-3.競合物件が多い - 地方でアパート経営を行う場合のメリット
3-1.物件価格が安く、利回りが高い
3-2.競合物件が少ない - 不動産投資ローン、変動金利のデメリット
4-1.空室リスクが高い
4-2.売却のタイミングが難しい - まとめ
1 都心でアパート経営を行う場合のメリット
都心でのアパート経営の場合、人口増加を背景とした賃貸需要の多さが主なメリットとなります。詳しく見ていきましょう。
1-1 人口が増加傾向にあり、賃貸物件への需要が見込める
東京は日本で最も大きな都市ですが、転入超過の傾向にありさらに人口が集まってきています。2021年1月1日時点での東京都の人口は「東京都の人口(推計)の概要(令和3年1月1日現在)」によると13,960,236人で、日本全体の人口が減少傾向にある中、前年同月比で8,600人増加しています。
この増加傾向は25年間も続いており、今後もさらに続くと推測されています。こうした状況から賃貸物件に対する需要は高水準が維持できると予想されるため、アパート経営に重要な入居者確保がしやすいのです。
1-2 家賃や資産価値の下落を抑えられる
アパート経営では入居者を確保するために家賃を下げなければいけない局面もあります。しかし、前述したように賃貸物件に対する需要が高い状態であれば、家賃を下げなくても入居者が決まることが考えられます。そのため家賃が下落するリスクは、地方に比べると都心の方が低いと考えられます。
また家賃を下げる必要がなければ、物件の収益力が高いため、販売する際も有利に働くことになります。
一方、人口密度の高い地域は、土地を求める人が一定数いるため地価が下落しにくい傾向があります。下記は国勢調査による都道府県別の人口密度ですが、東京は1位となっています。
順位 | 都道府県(%) | 人口密度(人/km2) |
---|---|---|
1位 | 東京都 | 6168 |
2位 | 大阪府 | 4640 |
3位 | 神奈川県 | 3778 |
4位 | 埼玉県 | 1912 |
5位 | 愛知県 | 1447 |
6位 | 千葉県 | 1207 |
7位 | 福岡県 | 1023 |
8位 | 兵庫県 | 659 |
9位 | 沖縄県 | 629 |
10位 | 京都府 | 566 |
※参照:「都道府県別人口密度(2015年の国勢調査より)抜粋」
人口が増加すれば同様に土地価格も上昇する傾向があります。そのため都心のアパートの場合は資産価値も下がりにくく、下がったとしても下落幅は少ないと考えられるのです。
1-3 流動性が高く、売却しやすい
不動産を売却しようと思っても、売出開始から引き渡しまで3~6カ月の売却期間を必要とします。そのため、他の投資に比べて、不動産投資は流動性が低いというデメリットがあります。また、購入希望者が現れなければ売却期間が長引くだけではなく、売却価格を下げる必要も出てきます。
それに対して都心の物件は賃貸需要が見込みやすく、地価下落が要因となる資産価値の低下が起きにくいことに加え、不動産投資家も多いため購入希望者が現れやすい傾向があります。相場に適した価格で販売されるのであれば、地方の物件よりも売却の難易度は低いと言えるでしょう。
2 都心でアパート経営を行う場合のデメリット
一方、メリットの要因のひとつとして紹介した土地価格の高さは、デメリットの要因にもなります。
2-1 購入費用が高く、利回りが低い
都心では土地価格が高いこともあり、新築物件でも中古物件でも購入費用が高くなります。アパート経営を始めるには物件の20%程度の自己資金が必要なため、多額の手持ち資金を用意しなければならないということになります。
また、不動産投資では購入費用が高くなると、その分利回りが低くなります。これもデメリットのひとつです。収益物件の取引サイト「健美家」が毎年公表している「収益物件市場動向 年間レポート2020年」を見ると、都市による利回りの違いが分かります。
都市 | 利回り(%) |
---|---|
札幌市 | 10.51 |
仙台市 | 9.15 |
埼玉県主要都市 | 8.40 |
千葉県主要都市 | 8.92 |
東京23区 | 6.74 |
東京市部 | 8.17 |
横浜市 | 8.16 |
名古屋市 | 7.22 |
大阪市 | 9.43 |
福岡市 | 7.40 |
※参照:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家(けんびや)「収益物件市場動向 年間レポート2020年」
上記の表は、2020年時点における各都市の一棟アパート(築10年未満)の表面利回りを比較したものです。東京23区が最も低く6.74%で、最も高い札幌市の10.51%とは約4%の違いがあります。東京都内でも23区の6.74%に比べ、東京市部の利回りは8.17%です。東京都内でも都心に近い23区内と市部では約1.5%ほどの違いがあります。
利回りが低いということはそれだけ利益が出づらいということでもあります。万が一、空室が増えると予定していた収入が得られず、ローン返済や税金の支払いが滞ったり、適切なメンテナンスや修繕ができない状態に陥る可能性もあります。
2-2 固定資産税をはじめ税金が高い
アパートに限らず、所有する不動産には税金がかかることになります。その代表的な税金は固定資産税です。固定資産税は土地や家屋の標準額に対して課税される仕組みです。つまり物件としての価値が高いほど税金が高くなるため、同じような物件でも地方に比べると都心のアパートは税金が高くなってしまうのです。
固定資産税の計算式は下記の通りです。
課税標準額×1.4%=固定資産税
課税標準額とは土地や家屋について自治体が評価した額のことです。毎年固定資産税と同時に支払う都市計画税や、アパートを取得したときに支払う不動産取得税もこの課税標準額に税率をかけて税額を求めます。そのため、これらの税金も都心の物件の方が高い傾向があります。
2-3 競合物件が多い
賃貸需要の多い都心では、その分、同じエリア内に同じような賃貸物件が複数あることも考えられます。このような状況であれば、競合物件と比較されて入居者の確保がうまくいかないこともあるのです。
そのため競合物件に負けないために家賃を下げたり、設備を新しいものに更新したりする経費がかかってしまうことで、想定通りの利益を出せない可能性もあります。
3 地方でアパート経営を行う場合のメリット
地方でアパート経営を行う場合は、反対に土地の安さがメリットになります。それによって利回りが高いというもうひとつのメリットにもつながっています。
3-1 物件価格が安く、利回りが高い
地方で行うアパート経営のメリットとしてまず言えるのは、都心の物件に比べて土地価格がそれほど高くないことです。そのためアパート経営を始める際に、手持ち資金がそれほど多くなくても物件を購入できる可能性があるのです。
下記の表は、収益物件の取引サイト「健美家」の「収益物件市場動向 年間レポート2020年」に掲載されている、都市別の中古物件価格(2020年、築10年未満)を表したものです。
都市 | 価格(万円) |
---|---|
札幌市 | 7,293 |
仙台市 | 7,947 |
埼玉県主要都市 | 6,977 |
千葉県主要都市 | 9,340 |
東京23区 | 12,228 |
東京市部 | 9,227 |
横浜市 | 8,132 |
名古屋市 | 7,714 |
大阪市 | 8,583 |
福岡市 | 6,509 |
※参照:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家(けんびや)「収益物件市場動向 年間レポート2020年」
物件価格が最も高い東京23区は、最も低い福岡市の約2倍ということが分かります。このように物件の購入価格を低く抑えることができれば、利回りも高くなります。そのため利益を出しやすく、購入時に想定していた通りのアパート経営を行うこともできるのです。
3-2 競合物件が少ない
都心と比べて人口もそれほど多くなく、賃貸需要があまり多くない地域であれば、アパートなどの賃貸用物件の数は限られています。つまり競合する物件が少ないことから、入居希望者がいれば、入居は決まりやすいという傾向があるのです。
同様に、競合物件が少ないので退去するまでの期間も長くなる可能性もあります。
4 地方でアパート経営を行う場合のデメリット
反対にデメリットは、人口が少ないこと、そして物件の価値に関してなどが要因になります。
4-1 空室リスクが高い
アパート経営ではできるだけ避けたい空室ですが、人口がそれほど多くなければ、空室リスクは高くなってしまいます。一旦空室になってしまうと、次に入居者が見つかるまでの期間が長くなりがちで、その間の家賃収入は途絶えてしまいます。
4-2 売却のタイミングが難しい
アパート経営には出口戦略も必要ですが、地方の物件の場合は売り出しても購入希望者が現れるのか、不透明な部分があります。
地方といっても、アパート経営がうまくいっていれば購入希望者もいますが、そうでなければ購入希望者がなかなか現れないことも考えられます。さらに、入居者がいなくなることも考えられ、そのまま放置せざるを得ないリスクもあるのです。
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まとめ
物事にはすべてメリットとデメリットがあるように、アパート経営も都心で始める場合、地方で始める場合のどちらにもメリットとデメリットがあります。どこにメリットを感じ、どこに納得しないかはオーナーによって違いますので、ご自身で適切な判断をして物件を選びましょう。
ただしどちらを選んだからといって、それで成功ではありません。その地域の特性に合わせたアパート経営の仕方があります。それをいち早く把握し、それぞれのエリアに適した方法で運営していくことが大切です。
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