親族間で不動産売買をするメリット・デメリットは?みなし贈与の注意点も
親族間で不動産売買を検討する場合、通常の不動産売買と比較してどのようなメリット・デメリットがあるのか気になっている人もいると思います。
この記事では、親族間で不動産売買をする際の注意点、メリット・デメリットを解説します。
目次
- 親族間の不動産売買とは
- 親族間で不動産売買をするメリット
2-1.不動産売買時・売買後のコミュニケーションが取りやすい
2-2.契約条件を柔軟に変更できる
2-3.不動産相続時のトラブルを回避しやすい - 親族間で不動産売買をするデメリット・注意点
3-1.みなし贈与を適用される可能性がある
3-2.利用できる税控除の制度
3-3.住宅ローンの審査が厳しくなる - まとめ
1.親族間の不動産売買とは
通常の不動産売買の場合、不動産会社に仲介を依頼して現れた第三者と売買契約を締結するケースが大半となります。
一方、親族間の不動産売買は売買契約を締結するのが第三者ではなく親族間の契約なので、不動産会社に必ずしも仲介を依頼する必要はありません。
また、通常の不動産売買では、売主は少しでも高く、買主は少しでも安く取引したいと考えているケースが大半となります。売主と買主で利益相反の関係となるため、不動産会社を介した交渉を行ったとしても、成約まで時間がかかることも珍しくありません。
しかし、親族間の不動産売買では、売主は高値売却を目指していないことも多く、買主の希望に合わせて相場より安く取引するケースが少なくありません。親族間の売買では、不動産価格をあまり重視せず、将来の相続への対策として、もしくは不動産利用の実態に則した名義の変更などを目的として行われることが主となっています。
2.親族間で不動産売買をするメリット
親族間で不動産売買する際のメリットとして、以下の3つが挙げられます。それぞれのメリットを詳しく解説していきます。
2-1.不動産売買時・売買後のコミュニケーションが取りやすい
通常の不動産売買では、不動産の状態について売主側の情報をもとに不動産会社が調査を行い、契約書類を作成します。しかし、売主側の認識や不動産会社の調査に不備があり、購入後に瑕疵が潜んでいてトラブルに発展するケースも少なくありません。
しかし、親族間売買では、売主との関係性によって事前に買主も不動産の状態を確認しやすいと言えます。この場合、適切な修繕が行われていたのか、リフォームやリノベーションが必要な場所がどこなのか、事前に把握した上で取得することが可能です。
2-2.契約条件を柔軟に変更できる
買主は買い換えに伴う資金や引っ越し手配の都合、売主は住み替えに伴う引っ越し手配や住宅ローン審査の都合などがあるため、契約条件を簡単には変更できません。
しかし、親族間の不動産売買は親族という間柄なので、契約条件を柔軟に変更できる場合も多いでしょう。例えば、鍵の引き渡しや引っ越し日を買主の都合に合わせる、引き渡し時に手付金を引いた残代金を一括で支払わずに分割払いに切り替えることも検討しやすいと言えます。
2-3.不動産相続時のトラブルを回避しやすい
親が不動産を所有したまま亡くなった場合、相続人間で不動産を含む遺産の相続について話し合うことになります。
しかし、不動産は現金とは違い、相続割合に応じた分割が容易ではないことから、遺産分割協議の際にトラブルに発展しやすいという特徴があります。
このような相続時の不動産の扱いに備え、相続が発生する前に親族間で不動産を売買しておけば、相続時のトラブルを回避することにもつながります。
3.親族間で不動産売買をするデメリット・注意点
親族間売買のデメリットについて詳しく説明していきます。
3-1.みなし贈与を適用される可能性がある
親族間の不動産売買では、売買価格を相場と比べて安く設定しすぎた場合にみなし贈与を適用される可能性があります。
具体的な基準が明確に定められているわけではありませんが、売買価格がおおよそ相場の80%を下回るとみなし贈与の対象になる可能性があります。
贈与税は相続税と比べると税率が高めに設定されています。多くの税金を納めなくてはならない可能性もあるので、どうすればいいのか分からずに悩んでいる人は、税理士や不動産会社などの専門家に相談しましょう。
※参照:国税庁「著しく低い価額で財産を譲り受けたとき」
3-2.利用できる税控除の制度
通常の不動産売買で利用できる税控除や特例が、親族間では利用できなくなる点に注意が必要です。2021年9月時点、利用できなくなる主な控除や特例は以下の通りです。
売主が利用できなくなる主な控除や特例
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除の特例
- 居住用財産を売った場合の軽減税率の特例
- 特定の居住用財産の買換えの特例
- 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
買主が利用できなくなる主な控除や特例
- 住宅ローン控除
- 直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税特例
これらの税控除・特例の利用を検討していた方にとって、親族間売買のデメリットとなります。
3-3.住宅ローンの審査が厳しくなる
通常の不動産売買で利用できる金融機関のローン審査と比較して、親族間売買におけるローン審査は厳しくなる傾向があります。親族間で不動産売買をする際、口裏合わせによる資金流用の可能性があるためです。
大手金融機関では、住宅ローンの申込対象から親族間の不動産売買を除外している場合もあります。事前に申込条件を確認しておきましょう。
4.まとめ
親族間での不動産売買は契約条件の柔軟性が高く、相続対策になるというメリットがある一方、住宅ローンや各種控除を利用できない可能性があるというデメリットも伴います。
一概に親族間での不動産売買を選択した方が良いとは言い切れないため、悩んでいる人は独断で決めずに、不動産会社や税理士などの専門家にサポートしてもらうことも検討してみると良いでしょう。
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