投資信託の積立投資に使える個人年金制度「iDeCo」の概要と利用方法

投資信託は中長期的な資産形成に向いた金融商品です。単発での買付も良いのですが、長期にわたって積立投資を行うことでリスクを軽減しながら着実に資産形成をしていくこともできます。

投資信託の積立投資を行うにあたって利用を検討したいのが「iDeCo」です。私的年金制度のため60歳まで資産を引き出すことはできませんが、様々な税制優遇があるため、老後資金の形成のために積立投資をする場合は重宝します。

今回はiDeCoの概要やメリット、デメリット、利用方法などを解説します。

目次

  1. iDeCo(個人型確定拠出年金)とは
    1-1.日本の年金制度
    1-2.iDeCoのメリット
    1-3.iDeCoのデメリット
    1-4.つみたてNISAとの違い
  2. iDeCoの様々な手数料
    2-1.加入・移管時
    2-2.運用期間中に必要な手数料(毎月)
    2-3.給付手数料
    2-4.その他の手数料
  3. iDeCoを効率良く使うには
    3-1.金融機関の選び方
    3-2.銘柄の選び方
  4. まとめ

1 iDeCo(個人型確定拠出年金)とは

iDeCoは国の私的年金制度で、税制上の優遇措置が講じられています。掛金が所得から控除されるため、年金を積み立てながら節税をすることができます。iDeCoを始めるには金融機関で口座を開設し、金融機関が指定する金融商品の中から自身で銘柄(主に投資信託)と積立金額を決める必要があります。

1-1 日本の年金制度

日本の年金制度は、各自が属している組織によって3つに区分けされています。その3つとは、自営業やフリーランス(第1号被保険者)、会社員や公務員(第2号被保険者)、専業主婦(第3号被保険者)です。

日本の年金はよく3階建てビルに例えられ、1階部分は全国民が加入する国民年金、2階部分は厚生年金(第2号被保険者)と国民年金基金(第1号被保険者)、3階部分は企業年金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、厚生年金基金、私的年金のiDeCoです。

第2号被保険者である会社員や公務員の年金は2階建て、企業によっては3階建となります。一方、第1号被保険者の自営業やフリーランスの方の年金は1階部分のみで、2階、3階部分については自身で積み立てる必要があります。

1階部分の国民年金の支給額は2021年度で月額約6.5万円と、家賃や光熱費を考慮すると年金だけで生活するには厳しい金額です。そのため、第1号被保険者の方には2階部分の国民年金基金、3階部分のiDeCo(個人型確定拠出年金)が用意されています。

第1号被保険者の方の積立額は、国民年金基金とiDeCoの合計で月最大6.8万円(年間81.6万円)と定められています。金額の内訳は自由です。

iDeCoは会社員、公務員や専業主婦の方も加入することができます。ただし、掛金は所属している会社等によって異なり、勤務先によっては加入できない場合もあります。興味がある方は、自身の勤務先の担当部署に確認するようにしてください。

国民年金基金とiDeCoの違いは、満期時の支給額です。国民年金基金は積み立てた金額が基準となり、あらかじめ決められた金額が支給されます。一方、iDeCoは運用成績次第で受け取る金額が異なります。運用成績が良ければ、国民年金基金を大幅に上回る支給額が期待できます。

1-2 iDeCoのメリット

iDeCoは、20歳以上60歳未満が加入対象(2022年5月以降、65歳までに延長)なので、20歳の時に加入すると40年間の運用が可能です。そのため、株式を組み入れた投資信託で運用すると資産を大きく増やせる可能性が高まります。過去の主要株式指数の騰落率を検証すると、いずれの指数も大きく上昇していることがわかります(表参照)。

主要株式指数の円換算騰落率

※2021年9月末基準(円換算%)

指数 / 期間 10年 20年 30年
日経平均株価指数 240 203 23
TOPIX 168 99 11
ダウ工業平均 355 263 856
S&P500指数 462 295 852
ナスダック指数 791 830 2,272
DAX指数 254 333 197
FT100指数 73 24 75

米国では主要指数が30年間で8倍以上に上昇しました。iDeCoは長期間にわたる運用が可能なため、受取金額を大きく増やせる可能性があることがメリットです。

1-3 iDeCoのデメリット

iDeCoのデメリットは、現金が必要となった場合でも現金化できない点です。積立を止めることはできますが、iDeCoは年金制度のため引出しは60歳以上と決められています。そのため、無理なく積み立てられる金額から始めることが重要です(最低金額は5,000円)。

また手数料が単体の投資信託を購入・運用するより高い点もデメリットです。iDeCoは開始時、積み立て時、給付時などに手数料がかかります。

1-4 つみたてNISAとの違い

同じ国の制度であるつみたてNISAとの違いは、つみたてNISAはいつでも現金化できる一方でiDeCoはできない点です。その他では手数料の違いが挙げられます。つみたてNISAの手数料は主に信託報酬ですが、iDeCoには信託報酬のほかに複数の手数料が必要です。

2 iDeCoの様々な手数料

iDeCoの手数料をみていきましょう。iDeCoの主な手数料は、年金を管理運用している国民年金基金連合会に支払われます。

2-1 加入・移管時

iDeCoに新規加入する時や、企業型確定拠出年金からの移管時(退職や転職時)に手数料として2,829円が必要です。この金額は国民年金基金連合会に支払われます。

2-2 運用期間中に必要な手数料(毎月)

運用期間中(毎月)に、最低171円(国民年金基金連合会に105円、委託手数料として信託銀行に66円)の手数料が必要です。金融機関によっては、加えて運用管理手数料が必要な場合もあります。

運用管理手数料は金融機関によって異なり400円以上に設定している会社もあります。そのため、iDeCoを始める際には、運営管理手数料が0円の金融機関を選ぶようにすると良いでしょう。

2-3 給付手数料

2021年10月8日現在の制度では、年金給付時には1回につき440円が必要です。この金額はいずれの金融機関も同額です。

2-4 その他の手数料

その他の手数料としては、還付手数料、移管時手数料などがあります。

還付手数料は、限度額を超えて拠出した掛金や加入資格のない月に拠出した金額を加入者に返済する際の手数料で、1,488円(国民年金基金連合会:1,048円/1回、信託銀行:440円/1回)かかります。

移管時手数料は、金融機関の変更をする場合にかかり、4,400円が必要です。この手数料は移転前の金融機関に支払われる手数料です。

3 iDeCoを効率良く使うには

iDeCoには様々な手数料が必要なため、始めるにあたっては金融機関や銘柄選びが重要となります。

3-1 金融機関の選び方

iDeCoは証券会社、銀行、信用金庫、生命保険会社など幅広い金融機関が取扱っています。まず、運用期間中に必要な毎月の手数料が171円に設定されている金融機関を選ぶようにしましょう。毎月1万円積み立てた場合、171円は1.71%に相当します。現在の日本の金利は歴史的な低水準で推移しており、1.71%を上回る運用は厳しい状況です。

同時に金融商品が充実している金融機関を選ぶようにしましょう。銘柄選択は多いほど過去の運用成績の相対比較ができるためです。

3-2 銘柄の選び方

iDeCoの運用商品は「元本確定商品」と「投資信託」の2つに分類されます。このうち、元本確定商品は定期預金や保険商品です。日本は低金利のため、毎月の手数料(171円)を上回る定期預金は皆無です。元本確定商品を選択してしまうと、元本が棄損する可能性が高く、若い世代(20代から40代)の方にはあまりお勧めできません。

若い世代の方は、長期にわたり運用できるため、株式型の投資信託を選ぶことで資産を大きく増やせる可能性が高まります。株式型の中でも、日本の株式だけに投資する銘柄ではなく、先進国を中心とした株式に分散投資された銘柄を選ぶことが重要です。世界経済成長の恩恵を享受することができるからです。

まとめ

iDeCoは60歳まで引き出せなかったり、手数料負担が通常の投資信託より高いというデメリットがある一方、掛金が所得控除の対象になったり、運用益が非課税になったりするメリットを享受できる制度です。長期的な投資信託の積立を考える場合には、iDeCoを選ぶのも選択肢の一つです。

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  6. 個人年金制度「iDeCo」の概要と利用方法

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