ベトナム不動産投資で注意すべきリスクは?他国との比較も

2015年に外国人による不動産所有の規制が解禁されたこともあり、ベトナムは海外不動産投資においても利益を狙える投資先です。しかし、ベトナム不動産投資には新興国ならではのリスクもあります。

ベトナム不動産投資のリスクとともに、他の国とリスクを比較した時の考え方などについて解説します。

目次

  1. ベトナム不動産投資で特に注意すべきリスク
    1-1.不動産会社に関するリスク
    1-2.新築物件にまつわる竣工リスク
    1-3.外国人に対する規制変更のリスク
    1-4.家賃が入ってこない空室リスク
  2. ベトナム不動産投資のリスクは他の国より大きい?
    2-1.先進国と比較するとリスクは大きい
    2-2.新興国の中では不動産会社次第
  3. まとめ

1.ベトナム不動産投資で特に注意すべきリスク

ベトナム不動産投資では、主に物件の購入および賃貸運用に関するリスクがあります。特に、不動産会社に関するリスクには要注意です。

1-1.不動産会社に関するリスク

海外不動産投資では、デベロッパーが投資家向けに直接物件を販売せずに、販売代理店を介して取引することも少なくありません。ベトナム不動産投資において注意すべきリスクの1つは、このような不動産会社に関するものです。

ベトナムで不動産取引を取扱うためには、2006年から営業資格が求められるようになりました。また、不動産仲介会社を営業するためには、日本でいうところの宅地建物取引業主任者に該当する資格を持ったスタッフが最低2名必要です。

しかし、実態としては無免許で個人間の取引を仲介する人も多数存在しています。また、日本人向けに投資用物件を取扱う人の中には、デベロッパーから孫請けのような形で取引を取扱う人も少なくありません。

ベトナム不動産投資では、取引を仲介する不動産会社についてあらかじめ確認しないと、手付金などのお金をだまし取られてしまうことも起こり得ます。お金の支払先がデベロッパーではなく、仲介会社宛になっている場合は特に要注意です。

ベトナム不動産投資を進めるのであれば、現地に進出していて不動産取引の実績を確認しやすい日系不動産会社などを通じて取引することも検討してみましょう。

1-2.新築物件にまつわる竣工リスク

東南アジアの新興国では特に、建設工事着工前もしくは工事中のコンドミニアムに対して投資することも多いものです。未完成の物件を指してプレビルドと呼びます。

プレビルドの物件に投資する場合は、売買契約を締結した後3年~5年など、長期間を経て物件が完成するケースもめずらしくありません。

あるいは、物件の工事が途中で中断されてしまった結果、物件の引渡しを受けられずに支払い済みの資金が戻ってこないことも起こり得ます。プレビルドの物件に投資した結果、引渡しを受けられず資金回収もできないリスクのことを竣工リスクと呼びます。

物件の工事が中断されてしまうのは、工事を完成させられるだけの経営体力をデベロッパーが持っていないことが原因です。この場合は、物件の売上がそのまま工事資金に充当されていることも多くなります。

物件の売れ行きがあまり良くないと、工事が中断されてしまう可能性も上がるので要注意です。

1-3.外国人に対する規制変更のリスク

海外不動産投資では様々な国が投資先として候補になりますが、ベトナムはその中でも数少ない社会主義国家です。社会主義国家では、資本主義の国よりも自国民優先の政策などが採用されることも多くなります。

このため、ベトナム不動産投資では特に、外国人投資家に対する急な規制変更のリスクに要注意です。

なお、社会主義の国ではありませんが、過去にはマレーシアやオーストラリアなどで、外資に対して不動産購入に関する規制が敷かれたこともありました。

マレーシアやオーストラリアでは、中国系の投資マネーが不動産市場へ大量流入して不動産価格が高騰した結果、自国民がなかなか不動産を購入できなくなってしまった過去があります。外資の流入を抑制する意図で外国人に対する不動産の最低購入価格が敷かれています。

2021年時点では、日系企業が続々と現地へ進出するなど、ベトナムも様々な国や業界から注目されている国の一つです。今後、物件の最低購入価格に関する規制などが入らないとは言い切れないため要注意です。

1-4.家賃が入ってこない空室リスク

ベトナム不動産投資で購入する物件の選択肢としては、都心部で建設される高級コンドミニアムなども多くなります。

しかし、ベトナムは2021年時点で人口増加や経済発展が著しい国ではありますが、ベトナム人の平均所得はまだそれほど高くありません。ベトナムで高級コンドミニアムに住めるのは、一部の富裕層か外国人駐在員などに限定される点に要注意です。

一方で、外国人駐在員などの賃貸住宅に関する需要は、新型コロナウイルスの感染拡大やその対策、世界経済などの外的な要因に左右されます。いわゆるパンデミックや世界恐慌などが発生すると、外資企業がベトナムから撤退したり、外国人駐在員が帰国したりしてしまうことなどもめずらしくありません。

外的な要因による空室リスクをケアするためには、日本も含めた複数の国で投資を進めるなど、分散投資の考え方が重要です。

2.ベトナム不動産投資のリスクは他の国より大きい?

ここまでベトナム不動産投資に関するリスクを解説してきましたが、結論としてベトナム不動産投資は他の国よりもリスクが大きいのか気になる人も多いのではないでしょうか。先進国と新興国とに分けてベトナムとリスクを比較します。

2-1.先進国と比較するとリスクは大きい

ベトナム不動産投資は、社会主義国家であることや不動産市場の整備が進んでいるとは言い切れない点などから、アメリカなどの先進国と比較するとリスクが大きいと考えられます。

既に解説したとおり、ベトナム不動産投資の主な選択肢は未完成のプレビルド物件です。また、多大な分譲実績を持ったベトナムのデベロッパーはそれほど多くありません。必然的に、外資の不動産会社がベトナム国内で開発している物件も選択肢に入ってきます。

しかし、物件の売れ行きがよくなかったり、景気が悪くなったりすると外資の不動産会社は撤退してしまうことも多いものです。そのほか、無資格者による資金持ち逃げなどのリスクもあります。

その一方で、例えばアメリカ不動産投資では中古不動産を購入するのが主流です。また、不動産取引にエスクローという第三者が入るなど、不動産取引の合法性や透明性が確保されています。

先進国の投資であっても首都圏エリアなどでは物件価格が高く、先進国と同程度の低利回りになってしまうことがあります。海外不動産投資に関するリスク抑制を優先するのであれば、先進国で投資することを並行して検討してみるのも良いでしょう。

2-2.新興国の中では不動産会社次第

他の新興国とベトナムとを比較すると、不動産会社によってリスクの大小が決まると考えられます。例えばフィリピンやマレーシアなどには、国内で株式上場している大規模なデベロッパーも少なくありません。

新興デベロッパーや外資のデベロッパーが分譲している物件については、ベトナムと周辺の新興国とでそれほど大きな違いはないと考えられます。また、外資であっても日系の不動産会社が開発に入っている物件は実績の確認もしやすいでしょう。

そのほか、例えば物件所有権の登記などに関していえば、タイは比較的に法整備も進んでいますが、カンボジアやマレーシアなどではベトナムとそれほど大きな違いがありません。新興国では、登記済証がなかなか発行されないなどのトラブルも起こり得ます。

しかし、デベロッパーによっては登記局へ積極的に働きかけてくれる場合もあるので、デベロッパーの助力を得られれば早期に登記済証を取得できる可能性があります。

新興国同士でリスクやメリットを比較するのであれば、不動産会社に関するリスクの見極めが大きなポイントとなります。

まとめ

ベトナム不動産投資でリスクを軽減するために重要なポイントは、不動産会社を見極めることと、分散投資の考え方で運用することです。不動産会社に関しては、無資格者による物件の仲介や引渡しを受けられない竣工リスクなどがあります。

また、無事に物件の引渡しを受けられても、外的な要因によって空室が発生するリスクや急な規制変更のリスクなどに注意が必要です。

外的な要因や政府による規制の動きなどを投資家がコントロールするのは難しいため、万一の場合に損失を補填できる別の投資運用も並行して進めることが重要と言えるでしょう。

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