【重要ニュースまとめ(10/30~11/5)】FATFが改訂版ガイダンスを公開、ステーブルコインやNFTに言及。Facebookは社名変更でNFT含むメタバースへ注力
今回は、10/30~11/5の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。
目次
- 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
1-1. Facebookが社名を「Meta」に変更、NFT含むメタバースへ注力
1-2. ペンシルベニア大学のウォートン校が授業料の支払いを暗号資産で受付
1-3. 新経済連盟がブロックチェーン官民推進に向けた提言を提出 - 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
2-1. BinanceがIGOを実施
2-2. ソフトバンクがNFTゲーム「The Sandbox」の資金調達をリード - 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
3-1. FATFが改訂ガイダンスを公開
3-2. FDICが暗号資産を対象にした銀行規制の整備に取り組む - まとめ、著者の考察
初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
Facebookが社名を「Meta」に変更、NFT含むメタバースへ注力
Facebookが社名を「Meta」に変更しました。注目のメタバースに注力する方針を全面に押し出した意思決定となっており、暗号資産市場ではメタバース銘柄と呼ばれる分類が定着しています。
仮想空間を意味するメタバースでは、これまでにDecentralandやThe Sandboxといったプロジェクトがブロックチェーン上に構築されてきました。いずれもメタバース内のアイテムや土地をNFTとして発行し、ユーザー間で売買できる点が特徴です。
Facebookは、メタバースを通してNFTへの取り組みも加速させる意向を示しており、今後さらにNFT市場が盛り上がることが期待されます。Facebookは、2019年よりステーブルコインプロジェクトDiemの開発を進めてきました。ブロックチェーンに関する知見はこの2年で十分に蓄積されていると考えられ、メタバースでも活かすことができるでしょう。
特に注目されるのが、プライバシーに関する取り組みです。Facebookはこれまでに度々プライバシー問題が指摘されてきましたが、ブロックチェーン業界では最も重要視されている要素なだけに、今後どのような姿勢を見せてくれるのか注目しましょう。
【関連記事】Facebook、メタバース進出を示唆する「Meta」へ社名変更
ペンシルベニア大学のウォートン校が授業料の支払いを暗号資産で受付
トランプ元大統領やイーロンマスク、スンダーピチャイなどを輩出したことで知られる、米国の名門ビジネススクールペンシルバニア大学ウォートン校が、授業料の支払いを暗号資産で受け付けることを発表しました。
まずは対象となる講義をブロックチェーン関連の一部に限定し、銘柄もビットコイン、イーサリアム、USDCに絞って試験運用するようです。ペンシルバニア大学ウォートン校は、ブロックチェーンビジネスの拡大に伴い、スマートコントラクトやDAOについて学べる講義を新たに設置しました。
講義は2022年1月から6週間にわたって開催され、授業料の支払いにはCoinbaseの決済システムが利用されるといいます。
米国では、ペンシルバニア大学ウォートン校以外にもブロックチェーンに関する講義を用意している大学が数多く存在しています。ブロックチェーン業界では給料水準が年々高くなっていることもあり、今後は人気の分野として生徒数を増やしていくことが期待されます。
【関連記事】米ペンシルベニア大学、授業料の支払いを暗号資産で受付
新経済連盟がブロックチェーン官民推進に向けた提言を提出
新経済連盟が、ブロックチェーン推進のための提言を、デジタル大臣や金融担当大臣および経済産業大臣宛てに提出しました。2020年に実施された内閣官房と新経済連盟の共同開催による「ブロックチェーン官民推進会合」の内容をまとめた形になります。
提言では、ブロックチェーンの推進に向けて「官民協議会の設置」「デジタルフレンドリーな法整備」「NFTの事業環境整備」「会計基準の整備」「税制改正」などが中心となりました。
特に税制改正では、単純な暗号資産取引の税緩和に限らず、法人がブロックチェーン事業を立ち上げる際の障壁となっている課題を解決するよう言及されています。
昨今話題のNFTに関しても、ユースケースやリスクを考慮した上でガイドラインを整備すべきとした上で、相談窓口を設置する必要性についても説かれました。
【関連記事】新経済連盟、「ブロックチェーンの官民推進に関する提言」を各省庁の大臣へ提出
初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】
BinanceがIGOを実施
BinanceがIGO(Initial Game Offering)を発表しました。IGOという名で行われる資金調達は初めての事例になるようです。
IGOとは、NFT事業者がユーザーに対して新たに発行されるNFTを販売することで資金を獲得する取り組みを意味します。これまでに、主にブロックチェーンゲームの運営企業が、ゲームキャラクターやアイテムをNFTとして発行および販売することで資金を獲得していました。
従来はこれをトークンセールと呼んでいたものの、今回はプラットフォーマーであるBinance NFTが協力していることからIGOと呼ばれています。Binance NFTは、ブロックチェーンゲームDeRace内のアイテムをマーケットプレイス上で限定販売するとのこと。
ICOから始まったブロックチェーン活用の資金調達の仕組みが、STOやIEO、IDOといった様々な方式に姿を変えて、今回のIGOに至っています。
【関連記事】Binance NFT、「IGO(イニシャルゲームオファリング)」実施を発表
ソフトバンクがNFTゲーム「The Sandbox」の資金調達をリード
NFTゲームThe Sandboxが、ソフトバンクグループの運営するビジョンファンドをリードに資金調達を実施していることがわかりました。
The Sandboxは、メタバース銘柄と呼ばれる暗号資産・NFTを活用したブロックチェーンゲームで、Animoca Brandsが過半数以上の株式を保有しています。累計4,000万ダウンロードを突破し、月間アクティブユーザー数は100万人を超えているようです。
今回の資金調達をリードするビジョンファンドは、昨今暗号資産関連の企業に積極的に投資しています。ファンドの性質上、創業直後の投資ではなくある程度成長したタイミングでの投資となるため、人気サービスを手がける企業に投資することが多いことからも、知名度が高まりつつあります。
【関連記事】ソフトバンクがメタバースNFT「The Sandbox」の100億円規模の資金調達をリード
初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】
FATFが改訂ガイダンスを公開
金融犯罪を取り締まる国際組織であるFATFが、ガイダンスの改訂版を公開しました。暗号資産に関しては、トラベルルールを中心に、ステーブルコイン規制やセルフカストディ型ウォレットの定義などに触れられています。
最大の焦点となっていたのは、トラベルルールの対象となるVASPの定義です。ユーザーの秘密鍵を預からないセルフカストディ型ウォレットがこの定義に含まれるかどうかが論点となっていましたが、対象にはならないことが明らかとなっています。
またNFTについても議論が行われました。現時点で明確な規制が定まったわけではないものの、NFTが暗号資産に該当するのかどうかを中心に、今後も慎重な議論が行われる模様です。
ステーブルコインを含むDeFiについては、DeFiプロトコルそのものに規制を整備することは難しいため、実質的な運営者やステークホルダーに対して規制が適用される可能性を示唆しました。
【関連記事】FATF、暗号資産ガイダンスの改訂版を公開
FDICが暗号資産を対象にした銀行規制の整備に取り組む
米連邦預金保険公社(FDIC)の会長Jelena Mcwilliams氏が、ステーブルコインの発行体に対して銀行規制と同等の規制が必要との見解を示しました。併せて、銀行が暗号資産やステーブルコインを取り扱えるようガイダンスの整備を行う計画も明らかにしています。
Mcwilliams氏は、ステーブルコインを低コストでスピーディな決済手段と評価した一方で、その用途から銀行に類似する側面を持っていると主張。実用化するには適切な政府監督下に置く必要があると説明しました。
FDICは、保険に関する預金の保護などを担当する行政機関です。FDICの見解としては、現状の銀行預金がステーブルコインに流れた場合に、保険を適用するための十分な資金を確保できないと危惧しています。
【参照記事】米FDIC、暗号資産を対象とした銀行規制の整備を検討
まとめ、著者の考察
今週は、Facebookの社名変更やFATFガイダンスの改訂版などが話題となりました。日本でも、新経済連盟がブロックチェーンの推進に向けて提言を出すなど、着実な取り組みが出てきています。
特にFATFの動きは重要です。ステーブルコインやNFTなど今後の産業を左右しかねない決定権を持っているだけに、事業者に限らずユーザーは動向を注視しておいた方が良いでしょう。
また、Facebookの社名変更によりメタバースに一層の関心が高まることから、暗号資産市場のメタバース銘柄にも注目が集まりそうです。
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