マンション投資、築年数が古くなった時の家賃の下落率は?東京のデータを検証

マンション投資を検討する上では、長期的な収支のシミュレーションをすることが重要です。不動産投資では、築年数の経過によって家賃が下がる一方で修繕費等の必要経費は上がっていきます。

あらかじめ長期的な収支シミュレーションをしておくことにより、デッドクロスと呼ばれる赤字収支に転換する時期を見極めることが可能です。デッドクロスの時期に合わせて物件を売却して次の投資へ移れば、収益を長期的に維持できます。

しかし、マンション投資を続ける上で、築年数の経過によってどの程度家賃が下がるのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では、東京23区内の複数エリアに対象を絞り、築年数の経過に伴う家賃下落率を検証します。

目次

  1. 東京の駅別・築年数別の家賃と家賃下落率
    1-1.東京の駅別・築年数別の家賃推移
    1-2.東京の駅別・築年数別の家賃下落率推移
  2. 築年数が経過した投資用マンションの家賃設定の注意点
  3. まとめ

1.東京の駅別・築年数別の家賃と家賃下落率

築年数による家賃の変化について、東京23区の駅ごとにその傾向を検証していきます。

1-1.東京の駅別・築年数別の家賃推移

1R・1K・1DKの物件について、東京23区内で駅ごとに築年数別の家賃を検証すると、以下グラフのようになります。

駅別・築年数別家賃相場

※参照:LIFULL HOME’S「賃貸>家賃相場」(2021年10月29日時点のデータ)

なお、上記のグラフを表にすると以下の通りです。

エリア 新築 0年~5年 5年~10年 10年~15年 15年~20年 20年~30年
渋谷 14.62万円 14.42万円 13.77万円 13.15万円 12.57万円 11.73万円
池袋 10.3万円 10.17万円 9.74万円 9.34万円 8.95万円 8.4万円
上野 11.78万円 11.59万円 10.98万円 10.41万円 9.86万円 9.11万円
中野 9.15万円 9.04万円 8.7万円 8.37万円 8.04万円 7.59万円
吉祥寺 8.63万円 8.54万円 8.22万円 7.92万円 7.63万円 7.2万円
錦糸町 10.04万円 9.93万円 9.6万円 9.27万円 8.95万円 8.5万円
赤羽 8.95万円 8.84万円 8.48万円 8.13万円 7.79万円 7.32万円
蒲田 9.82万円 9.7万円 9.32万円 8.96万円 8.61万円 8.12万円

まず、どのエリアであっても程度に差があるとはいえ、築年数の経過とともに段階的に家賃相場が下落していく点が特徴的です。

不動産投資で物件を選ぶ前には、東京23区内の物件であっても、年数の経過とともに家賃が下がっていく前提で長期的に収支をシミュレーションする必要があると言えます。

なお、渋谷や池袋など、山手線沿線で都心の駅周辺では特に家賃相場が高い傾向が伺えます。渋谷については特に、比較している中では唯一築20年を過ぎても家賃相場が10万円以上です。

錦糸町は山手線エリアの東側ですが、家賃相場が比較的高く、池袋とそれほど変わりがありません。また、中野や吉祥寺など23区西部のエリアと赤羽や蒲田など北部・南部のエリアで家賃相場を比較すると、北部・南部の家賃相場は高いことがわかります。

1-2.東京の駅別・築年数別の家賃下落率推移

つづいて、1R・1K・1DKの物件について、東京23区内で築年数ごとの家賃下落率を駅ごとにグラフ化すると、以下のようになります。

駅別・築年数ごとの家賃下落率

※参照:LIFULL HOME’S「賃貸>家賃相場」(2021年10月29日時点のデータ)

こちらも上記のグラフを表にすると以下の通りです。

0年~5年 5年~10年 10年~15年 15年~20年 20年~30年
渋谷 1.37% 4.51% 4.50% 4.41% 6.68%
池袋 1.26% 4.23% 4.11% 4.18% 6.15%
上野 1.61% 5.26% 5.19% 5.28% 7.61%
中野 1.20% 3.76% 3.79% 3.94% 5.60%
吉祥寺 1.04% 3.75% 3.65% 3.66% 5.64%
錦糸町 1.10% 3.32% 3.44% 3.45% 5.03%
赤羽 1.23% 4.07% 4.13% 4.18% 6.03%
蒲田 1.22% 3.92% 3.86% 3.91% 5.69%

どのエリアであっても5年を過ぎると家賃下落率が高くなります。新築マンションに投資する場合でも、5年目以降は特に家賃下落率を高めに見積もって収支シミュレーションをすることが重要です。

なお、どのエリアの推移を見ても10年~15年の家賃下落率と15年~20年の家賃下落率とでそれほど大きな違いがありません。比較しているエリアでは、10年~20年までは一定のペースで家賃が下落していくと考えられます。

そのほか詳細な推移を見ると、上野を除いて新築後5年間の家賃下落率は1%~1.5%に収まっています。上野では唯一家賃下落率が1.5%を超えており、他のエリアと比較すると新築後の家賃下落が顕著ですが、それでも1%台で収まっているのが特徴的です。

その一方で、5年目以降20年目までの下落率推移を見ると、エリアごとの違いが顕著になってきます。上野は全体的に家賃下落率が高く、唯一20年目まで5%以上です。それ以外のエリアでは、渋谷や池袋などもともと家賃水準が高いエリアでは、家賃下落率も高い傾向があります。

また、20年を超えるとどのエリアでも家賃下落率が5%を超えてきます。10年~20年の推移と比較しても家賃下落率が高いため、20年以上の築古になると、東京23区内の物件であっても特に家賃が下がりやすいと言えるでしょう。

エリアごとの特徴を見ると、上野は他のエリアと比較して家賃が高めですが、全体的に家賃下落率も高めです。その一方で、錦糸町は新築時の家賃水準が10万円を超えている一方で、家賃下落率は30年目まで比較的低めになっています。

2.築年数が経過した投資用マンションの家賃設定の注意点

ここまで築年数と家賃の下落率の相関関係について見てきました。しかし、上記のデータはあくまでも全体の傾向であり、実際の不動産投資では同様の下落率とならない可能性が高いと言えます。

例えば、設定家賃の値下がりの起きにくいマンションブランドの物件であれば、周辺相場よりも高い家賃設定にしていることがあります。このような高い入居率の物件に平均値が押し上げられ、平均以上の下落率となるケースも考えられます。

全体傾向は投資を検討する際の参考としつつも、判断材料の一つとしてとらえ、多角的な視点で投資判断を行うことが重要となります。シミュレーションを行う際は、過去の下落率の傾向から誤差が生まれることを想定し、考慮しましょう。

まとめ

東京23区の中でも渋谷や池袋など都心のエリアでは、他のエリアと比較して家賃が高い一方で、築年数の経過による家賃下落の傾向が顕著です。もともとの家賃が下がるにつれて、家賃下落の傾向は緩やかになると考えられます。

なお、上野や錦糸町のように家賃下落の傾向に特徴があるエリアも見受けられます。投資エリアを選定するためには、エリアごとの特徴を比較することも有効です。

そのほか、都心エリアであっても全体的に家賃は下落していく傾向にあるほか、築年数によって下落率は変化しています。物件を購入する前には、築年数に応じた収支のシミュレーションが必要です。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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